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地味な部下の正体は誰にも頼ることのできなかった初恋の人でした  作者: モハチ


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第38話:激励

「はあ・・やっと着いた・・。」

「着いたね、とりあえず中に入ろう。」


 アレックスとマークは休憩を一切取ることなく、ずっと馬を走らせ、やっとダスティン公爵家の門の前に到着していた。息を整えてから門番に声をかける。


「ふう。君、門扉を開けてくれないか。」

「・・え!アレックス様!?開けます。少しお待ちください。」


 門番はアレックスの急な登場にびっくりしながらもギギとゆっくり門扉を開け始めた。


「ありがとう。」

「いえ!」


 お礼を言って中に入る。進むと玄関前に頭を下げた使用人が立っており、玄関は開かれていた。


「・・これは、アルト君が叔父上に伝えてくれたのかな?」

「そうかも、ありがたいね。早く父上のところにいこう。」


 アレックスとマークは使用人に馬を預け、家の中に入りヴェイユの執務室まで早足で移動した。

 ヴェイユの執務室のドアをノックしようとすると、急にドアが開いた。2人が部屋の前に到着したタイミングで爺やが中からドアを開けたのだ。アレックスが中を見るとヴェイユがゆったりとワインを飲んでいる姿が見えた。

 

「父上!!」

「お、アレックス、マーク。やっと来たか。待ちくたびれたよ。」


 アレックスは中にズカズカ入っていく。ヴェイユはゆるりと笑いながら2人を歓迎しつつ、口に手を当て

「しー」

っとジェスチャーをし、静かにするように訴えてきた。ヴェイユの膝の上には涙の跡が頬に残っているアルトがすやすや寝息を立てて寝ている。


「アルト・・」

「ずっと、僕もアレックスを待つ!って言ってたんだけど、さっき、充電が切れたように寝てしまったよ。よく頑張ってたんだけどな。」

「アルトありがとう。」


 アレックスはアルトの頭を撫でる。アルトは身じろぎはしたが起きることは無かった。


「アレックス、話は聞いている。今からサンドル家に行くんだろ?」


 ヴェイユが真剣な表情でアレックスに話しかける。アルトを撫でていたアレックスは背筋を伸ばして父親に意思を伝えた。 


「はい、今から行こうと思っています。ただ、向こうが武力を使用してくる可能性があるので、公爵家から騎士を数名借りることはできますか?」

「ふふ、そう来ると思っていたよ。もう騎士の派遣準備はできている。お前たちの馬の準備もな・・。ここまで乗ってきた馬は休憩なしだろう?」

「父上・・何もかもお見通しなんですね。」

「ふふ。何年お前の父親を、公爵をしていると思っているんだ。これくらい予測できなきゃやっていけないだろ。」


 ヴェイユはくすっと笑う。それにつられてアレックスもホッとしたように笑った。

 ヴェイユはローテーブルの上に置いてある図を取り、アレックスに渡した。


「これは?」

「これはな、アルト君に書いてもらったサンドル家の地図だよ。お前の思い人がいる可能性のある場所に〇をつけてもらったんだ。・・。ほらマークがついているだろ?」

「はい・・ついてます。」

「これはしらみつぶしに探していくしかないぞ。やってのけろ、アレックス。」

「ありがとうございます。父上。」


 アレックスはその地図をジャケットの内ポケットにしまった。それを見ながらヴェイユは続けて話した。


「時間はまだあると思う。夜のうちに私の方から腐れ外道・・いや、()()伯爵には圧をかけているから、すぐお前の思い人が売られることは無いだろう。()()()も下手に動けないはずだ。だが、彼女は不安でたまらないだろうから早く行って助けてやれ。」

「はい!ありがとうございます!父上!」


 アレックスは笑顔で答えた。ヴェイユはくすっと笑いながら、アレックスの後ろに立っているマークを見た。


「マーク、いつもアレックスが世話になっている。これから数日もよろしく頼むよ。ありがとうな。」

「叔父上。・・お任せください。これからも頑張ります。」

「ありがとう。マークも気を付けて行ってくるんだよ。」

「はい。」


 マークは激励に対し笑顔で頷いた。

 元々マークは公爵家の分家筋でアレックスの従弟であり、幼馴染であり、アレックスの付き人になる予定だった。そのためヴェイユとはアレックス関係でよく連絡を取る仲であり、その誠実さからマーク自身もヴェイユを慕っていた。そのヴェイユから褒められ、よろしくと言われたマークはとても嬉しそうだった。


 2人は急ぎ軽食を摂った後、派遣予定の騎士団たちと打ち合わせを行った。騎士団は精鋭を集めてもらっているようで、アレックス自身顔見知りが多かった。


「坊ちゃん!私たちがついていきますので!百人力と思ってもらっていいですよ!」

「そうだよ坊ちゃん。俺等がついていくんだから。後ろは任せとけ!」

「・・ありがたいけどさ!俺のこともう坊ちゃんって呼ばないで!特に、女性を救出した時はやめてよね!」

「「「はっはっはっは」」」


 豪快な笑い方をする騎士団たちを見ながら


(こいつら絶対坊ちゃんって言うつもりだ・・・)


 と心の中で思いつつヴェイユからの情報と、騎士団と地図を手に入れたアレックス達は急ぎ馬に乗りサンドル家を目指した。


「行くぞ!サンドル家へ!」

「「「おおー!!」」」


 皆が馬に乗り出発した時、丁度朝日が昇り始めていた。

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