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地味な部下の正体は誰にも頼ることのできなかった初恋の人でした  作者: モハチ


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第32話:偵察

 アルトが出発してから毎日、アレックスはユリアナ宅まで行き、片付けの手伝いをしていた。ユリアナはそんなアレックスに感謝の気持ちを抱きながら毎日夕飯を作りってもてなした。

 アレックスはそんな日々が幸せだった。

 そしてユリアナも平和な日常に幸せを感じていた。


(こんな風に、好きな人と毎日一緒に過ごすことができるなんて思っていなかった。こんなに幸せな事なんて知らなかった。)


 ずっと続けば良い。こんな日々がずっと、ずっと続けば良いのに・・。ユリアナの心に少しずつ油断が生まれてきていた。

 

 アレックスは幸せを感じつつも、今、1人でユリアナが過ごす時間が長いことに焦りを感じており、彼女が早く入寮できるよう手続きを進めていた。


「ユリアナ。寮監から返答があって、女性寮に空きがあることと早くて今週中には掃除も終わるため入寮できるって言われたよ。入寮はいつ頃にできそうかな?」

「・・そうね。今週末かな?」


 ユリアナはちらっと家の中を見た後に答えた。


「・・今週末か、分かった。とりあえず入寮日が決まって良かった・・。本当は早く入ってほしいけど、仕方がないんだろう?」

「うん。ここの家の人と最後に挨拶する日が決まったから・・。」

「入寮してからでも良いだろうに。」

「でも、しっかり筋を通したいの。」


 真剣な表情で話すユリアナを見てアレックスは折れた。


「分かった。ユリアナに従うよ。

 そういえば今度、一緒にアルト君の所に行ってみない?鳩便でアルト君から手紙が来ているだろうけど、楽しくやっているみたいだしね。」


 ユリアナはくすっと笑った。

 アルトはガスティン公爵家から物凄く歓迎されたようだった。自室には自分が好きだと話した本が山になるほど置かれ、医者も専属で配置してもらい毎日の健康チェックをしてもらっているようだ。

 最近は体力作りのため爺やと一緒に外を歩き始めていると手紙には書かれていた。


「ここよりも良い環境を与えてもらって・・本当に感謝しかないです。」

「そんなことないよ。アルト君が素直でいい子だから、俺の家族たちがそう従っているんだろう。」


 2人はにこやかに笑った。


「さて、今週末に入寮できるように掃除を進めよう。あと1時間したら俺は寮に帰るから・・。」

「そうね・・。そうしましょう。」

「今日もご飯美味しかったよ。ありがとう。」

「うふふ。明日も作るね。」


 2人は新婚夫婦のような会話をしながら掃除を始めた。

 

 日は完全に沈み、夜になった。アレックスは外に出た後後ろを振り向き言った。


「必ず鍵をかけ、戸締りをしっかりすること!いいね?気を付けるんだよ。何かあれば社用の連絡機を使って連絡をしてね!本当はここに泊まりたいけど・・」

「ふふ。それはまだおあずけです。

 大丈夫ですから!アレックスこそ・・気を付けて帰ってくださいね。」


 その言葉を聞いても安心しきれないアレックスだったが、ユリアナ宅に泊まることは2人で話して自制していた為、後ろ髪を引かれる思いで帰路についた。


「ふう。」


 その後ろ姿を見送ったユリアナは自宅に鍵をかけて窓の戸締りを確認し、再度掃除を始めた。




「兄貴、あれがサンドル家の長女、ユリアナ・・ですかね?」

「・・そうみたいだな。あれが依頼された女性か。」

「なんか彼氏みたいな人いませんでした?あの人()()伯爵に売られる予定なんでしょ?処女じゃなかったらやばくないですか?」

「・・・俺は知らん。というか写真の見た目が違うな。まあいいけど。これ変装だってすぐわかるだろ。」


 ユリアナとアレックスのやり取りを大木の方から望遠鏡を使い見ていた黒ずくめの男2人が依頼用紙を見ながらこそこそ話をしていた。彼らはサンドル家から依頼された内容を思い出していた。

①ユリアナを無理やりでもいいからサンドル家に戻すこと

②伯爵家に連れて行き金を受け取ること

この①と②を達成しなければ報酬はもらえないと言われていた。が、あの伯爵は処女じゃなければ女を受け取る金を払わず殺すと噂があった。2人は自分たちが報酬をもらえるのかどうかが気になっていた。


「大丈夫かよ・・。俺等報酬もらえんのか?」

「わからん。どうする?サンドル家に一度報告してみる?」

「だなあ。とりあえずの偵察だし、一度戻るか。」

「だな。」


 男2人はそう言いあって一度サンドル家に戻ることにした。

 彼らは金さえ払ってもらえれば何でもする何でも屋だった。最近はこういう誘拐や殺人系の依頼が多かったため、ユリアナに対して何の感情も湧かなかった。ただ自分たちの報酬がどうなるのか、それだけが気がかりだった。


 ユリアナの両親は誰を先に売るのかを決めていた。それはユリアナだった。若く綺麗なほうが伯爵は金を沢山くれると聞いていたおり、タイミングを逃してはいけないと考えていたからだ。それにアルトはユリアナがいなくなったら必然的にサンドル家に戻ってくる確信があったため後回しにしていた。

 サンドル家のターゲットはユリアナだった。


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