表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地味な部下の正体は誰にも頼ることのできなかった初恋の人でした  作者: モハチ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/48

第24話:初デート

「・・おはようございます。」

「お、おお。おはよう。」

「!!おはようユリアナさん!」


 翌朝、始業始まり5分前にユリアナは職場に出勤した。装備である、瓶底眼鏡とカツラを外して。

 その姿を最初に見たアレックスは言葉を詰まらせたものの、通常通りの挨拶をした。マークは初見だったので驚いたが、元気よく挨拶を返した。


(良かった。)


 ユリアナはホッとしていた。とりあえず、職場で、素のままで受け入れてくれたと感じれたから。そう思うと、気分は晴れやかでまるで今日の天気のように明るくなれた。


(これから、頑張れそう!!)


 ユリアナは笑顔で自分の席に着き、2日間休んだことで溜まっているだろう書類の整理を始めた。

 そんなユリアナを見てアレックスは嬉しそうに顔を緩ませていたが、自分には問題が残っていることに気づいた。昨日依頼した情報収集についてだった。マークをちらっと見るとマークもこちらを見ており頷いてきた。手には書類があり、アレックスの手元に持ってきてくれた。


「・・サンドル家結構ごちゃついていると思うよ~。噂程度で済んでいてよかったなって思う内容。」

「・・ありがとう。」


 アレックスは受け取ったその書類をすぐ自分のカバンの中に突っ込んだ。ユリアナがいる場所で見るわけにはいかなかった。



 太陽が沈みかけ、終業の時間が近づいてくる。

 アレックスは休憩がてら窓から外を眺めた。


(ユリアナが定時で帰ったら、この書類をしっかり読もう。そして、俺は・・)


 思いふけっていると定時の鐘が鳴る。

 アレックスも帰り支度を始めた。その時、いつもは走って帰るユリアナがアレックスの席の前まで来た。


「?」

「あの・・」


 ユリアナは照れている様子でモジモジしていた。


「あの、昨日はありがとうございました。その、改めてお礼をしたいと思っておりまして・・。今日は良ければご飯でもどうですか・・?気になるお店があるんです。」

「え!!」


 まさかユリアナから夕ご飯デートを誘われるとは思ってもおらずアレックスは頭がショートした。


(・・これは初デート!という奴なのか!?!?俺から誘うべきだったのに!!)


 頭の中で花火が打ちあがる。

 元々予定していた情報書類を確認するということが頭からスポーンと抜けてしまい、何も考えずに頷いた。

 それを見たユリアナは声をあげ喜んだ。


「やったあ!実はずっと行ってみたかったお店があるんです・・。所長は行ったことがあるかもしれないけど・・。」

「仮に行ったことがあったとしても嬉しいよ・・。」


 そんな甘酸っぱいやり取りをしているのをマークは傍目に見ていた。


(昨日何があったんだ?こんなイチャイチャするとは・・。これまだ付き合ってないんだよな?)


 マークはチベットスナギツネのような顔つきになり、無の境地に至っていた。


(僕は・・昨日頑張ったから・・今日は帰ろう・・。)


 そそくさと、2人が2人の世界に入っている間にマークは退勤していった。




「ここが、私の行ってみたかったところです!いつも職場から帰る時に美味しそうなにおいがしていて。・・所長と一緒に来れて嬉しいです!」

「俺こそ、そんな言ってもらえるのは光栄だよ。」


 2人はユリアナの出勤ルートにある定食屋に来ていた。雰囲気も良く、中を覗くとデートをしているようなカップルも見かけられた。


(俺たちも、カップルに見えるかもしれない・・)


 ドキドキしながら2人で案内された席に着き、メニューを見る。

 ユリアナはオムライス、アレックスはハンバーグ定食を頼み、お互い軽く飲もうということでワインも注文した。


 食事も進み、何気ない、他愛のない会話が弾む。この会話が自分たちを更に近づけてくれていると感じた。ワインを飲むユリアナはとてもかわいくて、初めて会った時のようにキラキラ輝いて見えた。

 そんな姿に見惚れていたらワインを、シャツと床にこぼしてしまった。


「あっ」

「所長、大丈夫ですか?」

「大丈夫・・。ちょっと洗ってくるよ。ごめんね、席を外します。」

「はい。大丈夫です。」


 ユリアナは離席したアレックスを見送った後、床にこぼれたワインを拭き始めた。その時、アレックスのカバンが近くに置いてあるのが見えた。


(カバンにワインがかかってなければ良いんだけど・・。)


 ユリアナはカバンに手を伸ばした。カバンを見たが、外見上ワインがかかった様子はなく、ホッとした。

 カバンを置きなおそうとしたところ、カバンの安定性が崩れて倒れた。その拍子に中に入っていた書類やペン等が少し外に出てしまった。


(い、いけない・・!大事な書類かもしれないのに!汚してしまったらどうしよう!)


 ユリアナは焦り、カバンの中に書類やペンを直そうとする。そのうちの1枚の折れ曲がった書類を手に取ると、そこには『サンドル家』と記載されていた。

 

(え?)


 ドキっとした。

 見てはいけないとは思っていたけど、その名前を見ただけで時が止まった気がした。書類に自分の生家の名前が書かれているとは思っていなかった。

 ユリアナが見たのは情報屋に頼んだサンドル家の調査報告書だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ