砂漠
双銃剣製作の依頼をお願いしてから、2日後。
俺たちは30分弱かけて、河合町にある3つ目のEランクダンジョンに来ていた。
今回挑むEランクダンジョンは――砂漠だ。
砂漠となると、サラサラした砂で足が取られ、動作に支障が出るし、体力消費もヤバいだろな。
でも、いい訓練になるし、砂漠での動きが良くなれば、普通の地面で動く時にもっといい動きができそうだ。
「ダンジョンに入る前に、神社に御参りして行かない?」
今回挑むダンジョンの横に神社があったから、巫咲が御参りしようと提案してきた。
「それいいね〜。安全祈願できるもんね〜」
優聖も御参りに賛同した。
「そうだな。横に神社があるのも何かの縁だし、御参りしていこう」
歩いてすぐだしな。折角だ……御参りに行くか。
俺たちは、鳥居をくぐる前に軽く一礼したあと、中央は神様の通り道のため、鳥居の端からくぐった。
端を歩いて進み、拝殿に到着した。
拝殿に着き、軽く会釈したあと、賽銭箱に5のつく硬貨を全て奉納した。
奉納が終わったあと、深くお辞儀を2回し、拍手を2回した。手を合わせ、優聖と巫咲が幸せになるように願った。最後にもう1度深くお辞儀をした。
鳥居をくぐり、帰る前にもう1度1礼し、ギルドに向かった。
ギルドに入り、〈ギルドカード〉を提示し、砂漠ダンジョンのゲートをくぐった先は、名前の通り砂漠が広がっていた。
ダンジョンの砂漠だからか、暑くも寒くもない過ごしやすい気温だった。
それに、砂が舞うほどの風も吹いていない。
「靴の中に砂が入ってきて、足が少し気持ち悪いわね」
巫咲が少し気分が沈んだ様子で、不満を漏らしていた。
「確かにね〜。でも、サラサラの砂の感触気持ちいいよね〜」
優聖はサラサラの砂を楽しむように、踏んだり手で触ったりしていた。
「でも、優聖。この気持ちいい感触が、これから地獄に変わるぞー」
俺は悪い笑顔をしながら、優聖に伝えた。
「そんなに辛くなるの〜? わたしたち海に行ったことないから、サラサラの砂の上歩いたことないんだよね〜」
「そうなのか。じゃあ今度、3人で海に遊びに行こうか」
「「うん!」」
2人とも嬉しそうな表情で返事をした。
俺も楽しみだ! なんでかって? そりゃ、優聖と巫咲の水着姿が見れるからだよ。夏の楽しみが1つ増えたな。
2階層に行くゲートを探し始めてから30分。
優聖と巫咲の表情が悪くなってきていた。
歩く度に砂に足が取られると、疲労感がいつもの何倍にも感じてしまうからな。
「2人とも一旦休憩しよう」
周りを確認したが、モンスターが居なかったから休憩することにした。
「「うん、ありがと」」
2人とも慣れない環境での動きに疲れ果てていた。
〈アイテムバッグ〉から買っておいたベニヤ板を取り出して敷き、その上に折りたたみの椅子をセットして2人を座らせた。
「「足を引っ張って、ごめんなさい」」
椅子に座って、息を整えた2人が姿勢を正して、申し訳なさそうに謝ってきた。
「気にするな。慌てずに慣れていけばいい」
俺も前の世界で、和歌山の白良浜のビーチで慣れていなければ、2人と変わらない状態になっていただろうしな。
「「分かった、頑張るわ」」
2人の目には気力が満ちていた。
その後も、休憩を挟みながら探索したが、ゲートを見つけることができなかった。
◇◇◇
砂漠を探索するのに時間がかかり、7階層に挑む時には6月に突入していた。
まぁ、実際に7階層に着いていたのは6月になる3日前だったが、7階層に挑むのはキリのいい6月からにしようと決めたからなんだけどな。
砂漠での歩きに慣れてきたから、探索時間も長くなった。
優聖も巫咲も慣れようと頑張った結果だな。
「7階層に来たな。新しいモンスターが出てくるの楽しみだな」
6階層まではゴブリン種しか出てこなかったし、リボルバーオンリーで倒してきたから、単調な毎日だったんだよな。
「そうね。新しいモンスターと戦うのは、銃翔の楽しみだもんね」
「やっとだね〜」
「おう。じゃあ、さっそく探しに行こうか」
「「そうだね」」
休憩を挟みながらの探索をすること2時間ほど。
新しいモンスターのシルエットが見えた。
新しいモンスターは、ゆっくりと砂漠を徘徊していた。
慌てずに近づいていくと、シルエットがはっきりと見えてきた。
体長は2メートルほどで、分厚い鱗が頭から尻尾まで、びっしりと覆われていた。
あのモンスターの特徴的に名前は、アーマーリザードだな。鎧トカゲ……硬いんだろうな。
いつも通り優聖と巫咲には待っててもらい、俺が単独でアーマーリザードに近づき、2人とある程度離れてから、ホルスターから引き抜いたリボルバーで、狙いを定めて左右5発づつ計10発の弾丸を速射した。
全弾命中したが、全弾弾き飛ばされた。
「ギュアアアァァ」
攻撃されたことで、俺に気づいたアーマーリザードが、吠えながら向かってきた。
なんかアーマーリザードの吠えてる声って可愛いな。
アーマーリザードが俺に向かってきてはいるが遅い。
もしかして、分厚い鱗が重いんじゃね?
でも、そうか……Eランクダンジョンだしな。砂漠という動きづらいフィールドで、鱗の装甲が硬くて動きが速いモンスターが居たら強すぎるよな……。
魔法を使わずに、【無限魔弾装填】のスキル――通常弾――で、やれるとこまでやってみますか。
装甲が硬いモンスターといえば、目を狙うよな。
アーマーリザードの動きが遅いといえど、俺も足を取られて動きが鈍ってるから、いつもよりも余裕を持って動いて、目を狙って撃っていく。
目に狙いを定めて撃っていくが、瞼に弾かれた。
瞼も硬いのかよ。まぁ簡単に倒させてはくれないよな。
俺は諦めずに、何度も、何度も、何度も撃ち続けて、100発の弾丸を当てることができた。
すると、100発目の弾丸が当たった時、パキッと割れるような音がした。
そこから撃ち続けて5発目の弾丸を瞼に当てた時、目を貫通することに成功し、アーマーリザードを倒すことができた。
倒すのめんどくさかったが、いい練習になった。
優聖と巫咲を呼んで、アーマーリザードをひっくり返すのを手伝ってもった。
予想通り、内側は柔らかくナイフが簡単に刺さった。
アーマーリザードの魔石を回収したあと、探索を再開したが8階層へのゲートと、もう1体の新しいモンスターを発見できなかった。
が、アーマーリザードを帰るまでに、3体遭遇することができた。




