鍛冶屋
森林ダンジョンを制覇してから翌日。
今日は俺の武器をオーダーメイドで作るために、鍛治屋に1人向かっていた。
なぜ1人かというと、鍛治屋の主人が男だからだ。
さらに、胸の大きさ関係なく女が苦手とのことだ。
苦手といっても、全く話せないわけではなく、女と話したりするのを最小限に抑えたいんだと。
じゃあ、どうやって仕事受けてるんだって思うだろ?
嫁が1人居て、武器を作る以外の仕事は嫁に任せているんだと。
女は苦手なのに嫁が居るの不思議に感じるだろ?
馴れ初めなどは詳しく知らないが、嫁のことは全く苦手と感じたことがないらしい。
話の途中だが、目的地の鍛冶屋に着いた。
車を駐車場に止め、車に乗せていた〈アイテムバッグ〉背負い、鍛冶屋に入った。
「佳織さん、おはようございます。鉄冶さんは居ますか?」
鍛冶屋に入り、受付に居た女の人に声をかけた。
この受付の女の人が、この鍛冶屋の主人――創地鉄冶の嫁の佳織さんだ。
佳織さんは金髪ロングの170センチ前後の高身長で、スレンダーな体型をしている。物凄い美人な女性だ。
「銃翔くん、おはよう。鉄くんは中で待ってるよ」
鉄冶さんが鍛冶場で待っていることを、佳織さんが教えてくれた。
「わかりました、ありがとうございます」
受付を通り過ぎ、鉄冶さんが待ってる鍛冶場に入った。
鍛冶場に入ると、普通はあるはずの火床がない。
あったとしても現実世界の火では、魔鉄石を熱することができないんだけどな。
ダンジョン産の鉄類などは、魔力を纏っていない火を使わない限り、加工することができないのだ。
仮にスキル魔法以外で熱して加工しようとするなら、ダンジョンの中にある火を使うしかない。
「おはようございます、鉄冶さん」
鍛冶場に居た、鉄冶さんにあいさつをした。
「よう、銃翔。やっと来たか……魔鉄石は持ってきたな?」
鉄冶さんがドスの効いた声で問うてきた。
鉄冶さんは黒髪のオールバックで、俺とはまた毛色の違う強面の人だ。
身長は低く、150センチほどだろう。だが、身体つきは筋骨隆々だ。ファンタジー世界のドワーフに似ている。
まぁ、スキル魔法がある時点で、この世界もファンタジーだけどな。
面白いことに、鉄冶さんの職業名が――武器の神職人なのだ。
体型がドワーフに近いのは、たまたまなんだけどな。たぶん。
「もちろん、ばっちり持ってきましたよ」
俺は背負っていた〈アイテムバッグ〉を、鉄冶さんの前の木製でできたテーブルの上に置いた。
「ならいい。で、作って欲しい武器ってのは、どんな武器なんだ?」
声のトーンはぶっきらぼうに聞こえるが、瞳の奥には少年のような好奇心が、宿っているように感じた。
鉄冶さんに俺が思い描いている双銃剣のデザインと案を伝えた。
「双銃剣か……なかなかロマン溢れる武器じゃねーか。全身全霊で最高の双銃剣を作ってやる」
泣く子も黙るほどの笑みで、最高の職人が、最高の武器を作ってくれると約束してくれた。
「ありがとうございます。楽しみに待っておきます」
頭を下げてお礼を伝えた。
やばいな……自分が欲しくて堪らなかった武器が、最高の職人によって作られると思うと、ワクワクが止まらない! 楽しみ過ぎる!
「おう、楽しみに待っとけ。最後に手の握りだけ測らせろ」
「わかりました」
どの太さが握りやすいか、握ったあとの人差し指で引き金を引きやすい位置などを測ってもらった。
鉄冶さんが俺の双銃剣の作製に、すぐに取り掛かってくれるという事なので、鍛冶場から退出した。
出来上がったら連絡するとの事だった。
「佳織さん、鉄冶さんがすぐに取り掛かってくれました」
鍛冶場から出て、受付に居た佳織さんに声をかけた。
「そうだと思ってたのよ。だって鉄くんね、銃翔くんが来るのを今は今かと待っていたからね」
佳織さんが楽しそうに話し出した。
「そうだったんですか?」
「そうよー。ダンジョンに男性が挑戦し始めたって噂を聞いてから、銃翔くんのことを調べ出したのよ。どんな体格で、どんな武器を使うのかとか。鉄くんは自分ができなかった、ダンジョンに挑戦するという夢に挑んでいる男性――銃翔くんの1番のファンだと思うよ。私も応援してるから頑張ってね。けど、この事は秘密よ? 鉄くん恥ずかしがり屋さんだからね」
鉄冶さんの事を幸せそうな表情で語り、最後に人差し指を唇の前に持ってきて、お茶目に内緒のポーズをした。
「わかりました」
「それはそうと、銃翔くん。パーティーメンバー女の子なんでしょ? どんな関係なのよ?」
佳織さんがニヤニヤしながら、優聖、巫咲との関係を聞いてきた。
「最近付き合い始めたばかりの恋人関係ですよ」
「あらぁ、そうなの? 次来る時連れてきてよ」
「鉄冶さんは大丈夫ですか?」
「鉄くんは基本的に鍛冶場に籠ってるから、ここに来るだけなら大丈夫よ」
「わかりましたよ。次来る時は連れてきますよ」
俺は両手を上げ、諦めたポーズをしながら返答した。
「うん、よろしくね。楽しみにしてるよ。その代わり、彼女さんたちに作りたい防具があれば、私に任せなさい。すぐに取り掛かってあげる」
「まじですか?」
「まじよ」
「ありがとうございます!」
佳織さんも、鉄冶さんと同じで、防具の職人として凄い人なのだ。予約を取ろうにも何年も待たないといけない。
そんな凄い人の予約を取らなくても、すぐに作ってくれると言うのだ。これほど嬉しいことはない。
「じゃあ、楽しみにしてるね。気をつけて帰ってね」
「はい、失礼します」
鍛冶屋を出て、病院に行き、精液を提出して家に帰った。




