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並行世界の俺に俺が憑依する  作者: 緑黒猫


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18/21

野良猫

 あれから3日が経ったが、まだ7階層だ。

 ホーンラビット以外の新しいモンスターにも、8階層に行くゲートにも出会えていない。


「今日こそは新しいモンスターか8階層へのゲートを見つけるぞー!」

 気合いを入れて声を出した。


「「おー!」」

 優聖はノリノリで、巫咲は恥ずかしそうに手を上げてレスポンスしてくれた。


 新しいモンスターと8階層のゲートを探し始めて15分ほどして、初めて見るモンスターの数だった。

 ホーンラビットが10体で群れていた。


「モンスターが2桁の群れで居るの初めてだな」

 俺は驚き半分ワクワク半分だった。


「すごい数居るけど行くの? 本当に?」

 心配そうな表情で巫咲が聞いてきた。


「おう。あれぐらいの数対応できないと駄目だしな」


「楽しむのはいいんだけど、無茶はしないでね〜」

 優聖も心配そうに声をかけてくれた。


「任せとけ」

 2人にサムズアップして応えた。


 ホルスターからリボルバーを抜きながら、ホーンラビットの群れに歩いて向かった。


 俺に気づいたホーンラビットが一斉に跳んで向かってきた。ワクワクする気持ちを落ち着かせて、冷静にリボルバーの二挺拳銃を前に突き出す構え、ホーンラビットを狙って速射しながら歩いて近づいていく。


 1体、2体、3体倒していき、攻撃されるまでに5体倒すことができた。

 そのあとは避けながら撃って撃って撃ち、数分でホーンラビット10体を全て倒した。


 なんやかんや面倒くさいのが、魔石と角の回収だ。

 例えると料理を作るまでは楽しいが、後片付けが面倒くさいのと一緒だ。


 報告が遅れたが、俺たちのパーティー名は〈野良猫〉に決まった。理由としては野良猫のイメージが自由気ままだったのと、俺がリボルバーを好きになった切っ掛けの漫画のキャラクターに憧れたのもある。


 ついでに言うと双銃剣を好きになった切っ掛けは、リボルバーが好きになった切っ掛けのキャラクターが使っていた、オリハルコン製のリボルバーが攻防一体になっていた事と、とあるロボットアニメに出てくる長距離射撃戦を得意とした、2代目の機体が装備していたビームピストルの影響だ。

 

 そんな事を説明したって、誰に言うてるんだって話なんだけどな。


 そんな事を考えている間に剥ぎ取りが終わった。


 そのあと1時間ほどゴブリン系やホーンラビットを倒しながら進んでいると、8階層に行くゲートを見つけた。


「やっと見つけたぞ。今回は近くに出てきてたんだな」

 ゲートは24時間毎に移動するから、探すのが面倒なんだよな。

 毎回同じ方向に向かうか、自分の勘を信じて進むかの2択だ。だから、〈マークウォッチ〉が無いとダンジョンから出られない可能性もあるって事だ。

 まぁ俺たちは今のところダンジョンで1日を過ごす事はないから、〈マークウォッチ〉がなかったとしても大丈夫だけどな。


「運がなかっただけなのは分かるけれど、あれだけ探し回ったのがバカみたいじゃない」

 巫咲が複雑そうな表情をしながら、俺たちが思ってる事を代弁してくれた。


「でもさ〜、みーちゃん。そのおかげで銃翔に抱き上げてもらえる回数増えたと思えば、嬉しいことじゃない〜?」

 優聖は隠すことなく、俺に対しての好意を言葉にして伝えてくれる。恥ずかしがるが、グイグイくるタイプだ。

 今は2人とも寝る時に、俺の腕をデケェ乳で挟んでくるが、初日からデケェ乳を挟んできたのは優聖だ。巫咲は俺の腕をデケェ乳で挟むまで2日かかっていたからな。


「まぁ、そう考えたら……良かったわね」

 巫咲が最後の方を呟くように言ったが、しっかりと聞こえていた。

 俺は鈍感系主人公じゃねぇからな。


「よしっ、ゲートを通って8階層に行こうか」


「「うん」」

 優聖と巫咲と手を繋ぎながらゲートを通った。


 8階層に着いた。周りをぐるっと見たが、特に変わりはなく草原が広がっていた。


「分かってはいたが、景色が全然変わらないなー」


「そうね。でも、緑色は目に優しいって言うじゃない? だから、銃翔にいいんじゃない?」


「確かにな。知らない間に目が癒されてるのかもな。まぁ1番癒されるのは優聖と巫咲を見てる時だけどな」

 キリッとした表情を作って決めた。


「「うふふっ。ありがとう」」


「探索を始めるか」


「「うん」」

 まだ見つけていない新しいモンスターと9階層のゲートを探しに歩き始めた。


「なかなか新しいモンスターが見つからないな」


「そうね。さっきからホーンラビットばかりだものね」


「わたしたちは気にしないけど、銃翔は新しいモンスターと戦いたいよね〜」


「早く出てきてくれー」


 そのあともホーンラビットばかりを倒しまくった。

 昼飯休憩を取ったあと、探索を再開した。


 ホーンラビット、ホーンラビット、ホーンラビット、ゴブリン系、ホーンラビット、ホーンラビット…………。

 今日は全然ダメだ。ホーンラビットばかりだ。

 楽しくないわけではない。楽しくないわけではないのだけど、やっぱり新しいモンスターと戦いたい。


「銃翔、大丈夫よ。きっと新しいモンスターが出てきてくれるわよ」


「そうだよ〜。新しいモンスターも出るタイミングを計ってるだけだよ〜」

 巫咲と優聖がテンションの下がってる俺を慰めるように声をかけてくれた。


「2人ともありがとう」


 探索を続け、ホーンラビットと時々ゴブリン系を倒しまくった。

 そろそろ帰る時間だなと〈マークウォッチ〉で確認して、顔を上げた時――ついに。ついに、見たことないシルエットが現れた!


「優聖、巫咲! 新しいモンスターのシルエットが見えた!」

 やっと……やっと新しいモンスターを発見できた。長かった。


「「うふふっ。良かったね」」

 2人の目の中に優しさと温もりを感じた。


「すまん、はしゃぎ過ぎた」

 心が30歳の大人が新しいモンスターを見つけただけで、喜びが溢れ出てしまっことに恥ずかしくなった。


「やっと見つかったのだし、嬉しくなっても仕方ないんじゃない?」


「そうだよ〜。最後の最後に見つかったのも、やっぱり出るタイミングを計ってたからかもね〜」


「あははっ。確かに、帰るタイミングで見つかるのは印象が大きくなるもんな」

 そんなこんなで話してるうちに、新しいモンスターのシルエットもハッキリと見えてきた。

 

 新しいモンスターの名前はファングボア。イノシシだ。

 名前の通り、下顎からデカい牙が生えている。あの牙に突き刺さったらヤバそうだな。


「行ってくる」


「「行ってらっしゃい」」

 2人に見送られつつ、ファングボアに近づいた。

 今回のファングボアの数は1体だ。それでも油断はせずに戦うがな。


 ホルスターからリボルバーを引き抜きながら、小走りで近づいた。

 ファングボアも俺の存在に気づき、前脚で地面を蹴り始めた。

 地面を蹴ってはいるが、動く気配がないから頭を狙って撃った。これで終わるかなと思ったが、予想以上のことが起きた。俺が撃った弾丸が弾かれたのだ。いいね、いいねー! こういうのを待ってた!


 遠目から見てた時はそれほど大きくないかなと思っていたが、近づいて大きさをしっかり確認すると体長は150センチほどあり、結構大きかった。


 ファングボアのサイドを狙うために、横移動をしたがファングボアは俺に身体の向きを合わせてきた。


 俺は一旦サイドからを狙うのを諦めて、二挺のリボルバーで正面から撃ちまくりながらファングボアに近づいて行った。


 ファングボアとの距離が10メートルほどとなった時、ファングボアが凄い勢いで突っ込んできた。

 難なく避けることができた。避ける際にファングボアの横っ腹に弾丸をプレゼントしてあげた。すると、正面の時より弾丸がめり込んだ。まぁ、めり込んだだけで、貫通できるほど柔らかくもなかったが。


 弱点としては、真っ直ぐしか走れないということだ。走ってる最中に方向変換しようとすると、一旦止まってからじゃないと無理みたいだ。


 避けては撃って避けて撃ってを繰り返した。柔らかい部位がないか探したが特になかった。

 弱点を探してるうちにファングボアの動きが遅くなってきた。弾丸が貫通しないとはいえ、めり込んで出血してるからな。長引かせるとモンスターと言えど可哀想だしトドメを刺すか。


「【無限魔弾装填アンリミテッド・リロード 衝撃弾(インパクト)】」

 衝撃弾を内部に浸透させるイメージでファングボアの頭に発射した。

 頭に衝撃弾が直撃したファングボアは前に進みながら倒れた。


「「お疲れ様」」


「さんきゅ」

 ファングボアの魔石を剥ぎ取るのに時間がかかった。腹以外の部分に剣鉈がなかなか突き刺さらないから、ファングボアを仰向けにしてからじゃないと剥ぎ取れなかった。


 そのあとは俺の魔力を使い切ったあとに、優聖と巫咲を抱えて走って帰った。

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