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第一章〜罪悪感

引き続き 書かせていただきました。になっていただけましたら幸いです。よろしけお願い申し上げます。

佐倉大和正一は、【敵】=しわの寄ったグレースーツサラリーマン風を一撃のもとに粉砕ふんさいした。

佐倉大和の繰り出した渾身こんしんの右拳が、男の顔面にヒットしたのだ。

男は、変なふうに(うめ)きながら、駅員への引き渡しの為に降ろされたホームに崩れ落ちていった。

ゼン転マンは、同じくホームに降りて事情を訊かれている被害女性の方は振り返らなかった。礼を期待している訳ではなかったし、何の見返りも期待していないつもりだったから。

彼は、駅員らから手続き上、個人情報を訊かれなければならなかったが、必要ならばこちらから連絡すると言い張って断固としてそれを明かさなかった。警官も、彼のスーパーヒーロー的な見た目からもそんなものだと納得したようで、とくにそれ以上言及はしなこった。

で、佐倉大和正一は帰途に着くのだったが、その道すがらやはりいつものよえに一抹の罪悪感と後悔とに(さいな)まれるのであった。

といえのも、彼がゼン転マンに変身すると同時に何処かで地震が起きることを、もはや彼自身も確信的に知っていたからである。

ひたすら思う。願う。

──地震によら被害者は出ませんでしたように。大きな地震ではありませんでしたように。

彼の脳裏には、かつて両親を奪っていった大地震の映像がフラッシュバックした。

それほ決して、思い出したいものではなかったが。佐倉大和は被害に遭って困っていた女性をひとり、救った。しかし、同時になんらかの地震活動を引き起こし、被害者を産んだかもしれないのだ。

──仕方なかったのだ。痴漢の被害者をみて見ぬふりをして見捨てることなど出来なかったのだ。

佐倉大和は、自己の行動を正当化しようとした。

しかし、本当のところ、どちらを防ぐのが正しかったのか、彼にもわからないのだった。そう、地震による被害の大きさにもよるのだ。

佐倉大和は、スマホを取り出し、検索を始めた。◯時◯分 地震 被害 速報

と、検索キーワードを入力していった。得体情報はすぐひっとあした。

午前10時〇〇分 やや強い地震発生 震源は東京湾南方沖震源の深さは、30キロメートルと比較的浅い模様。地震の大きさを示すマグニチュードは、5と推測される。最大震度は東京東部千葉で震度5。尚、この地震による津波の発生はないもよう──

,5時間はちょうど、佐倉大和がゼン転マンに変身した時刻と一致しそうだった。マグニチュード、震度は確かに少し大きめとは感じるが、大地震という程ではなさそうだ。実際津波も大きな交通障害起きていないという。

そうだ──。

被害だ。各地の被害状況は?さらに検索を深める。

SNSへの投稿内容も含めて、キーワードの入る検索結果がディスプレイに表示される。

いつもこうだ。変身した後には必ずこんな作業をする。五年前。高校一年の時、自分が変身できるのだと気付いた時から。

佐倉大和は、移動中の電車の中で息を呑んだ。

お読みになっていただけまして 誠にありがとうございました。

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