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故郷捨テル  作者: 智葉亜紗芽
小学校編
7/19

キムタク(自称)に苦しんだ一年間

 5年生の担任もまた男で、しかも世矢小学校に赴任したばかりの先生だった。「今年こそは女の先生が担任」だと信じていたのに、運命とは時に残酷である。


 この先生は、かつて執筆した現代ファンタジー小説の主要悪役キャラクターのモデルとなっている。主要悪役となっている時点でお気づきの方もいるだろう。私はこの担任が、歴代担任の中で一二を争うほど大嫌いなのである。

 元SMAPの木村拓哉や、今は亡き野球選手の木村拓也にすら似てない上に、名前が「木村」でも「タクヤ」でもないのに「先生の事を「キムタク」って呼んで」ってその愛称を強制させたり、教え子の名前を小ばかにするように教え子の事を呼んだり…嫌だったことを数え上げればキリがない。言うまでもないが、今後この担任の呼び名は「自称キムタク」とさせていただく。つーか、当時は担任の「自称キムタク」が元SMAPのキムタクやキムタク選手にめっちゃ失礼な奴だと思った。

 そもそも、自称キムタクは苗字的に競走馬で呼ぶ方がしっくりきていた。顔は馬面ではないが、髪型はてっぺんつるつる、横はふわふわ…と、当時は流行前であったが、たまごっちのおやじっちみたいな髪型をしていた。


 自称キムタクは体育が専門で、教え子を何としても「体育好き」にさせたかったようだ。私はその態度も気に入らなかった。というのも、私は体育の授業自体が大嫌いだったのである。当時は体育が楽しいと思ったことすらない。寧ろ、体育を楽しく感じたのは高校生になって、親しみやすく、教え方が良い体育教師に出会ったからだ。

 そんな私と自称キムタクとは最初からソリが合わず、何かあるたびに私の事を名指しして他の教え子たちの前でボロクソに言ってきた。

 休み時間の事もそうだ。自称キムタクはあろうことか、全校児童に「行間体育」なるものを強制したのである。私にとっては、これは一番の悪手だと思った。私みたいに昼休みを屋内で静かに過ごしたい子達の事を何も考えやしない。寧ろ、自分のエゴを押し付けているとしか思えなかった。


 自称キムタクのそれらの言動が一番のストレスとなり、私はこの時期脱毛症を引き起こしたのである。あろうことか、自称キムタクはそんな私を馬鹿にしてきたのである。ご丁寧にも我が家に電話で。脱毛症が落ち着いたのは、母に泣きつかれたこともあるが、3学期になって自然に収まった。

 6年生になって、自称キムタクが担任でなくなったのは本当に安心したし、担任に対するストレスから解放され、ポケモンという好きなコンテンツもできて、内心安心した。


 弟が5年生に進級した頃、自称キムタクは日立市内の中学校に異動になってからは消息がつかめなかったが、大学にいた頃に母の職場で人を馬鹿にする言動をとったのは、本当に担任だった頃と変わってないと思った。

 そして、2023年3月31日付けで、自称キムタクは教師という職業から退いた。定年前だったが、理由はわからない。ただ、思うのは私が担任だった頃のような言動で誰かからの怒りを買ったのだろうなという事だけである。さすがに今は自分のことを「キムタクって呼んで」とは言わないだろうが、教え子にその愛称を強制させたのはキムタク本人に失礼だから謝れ!

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