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故郷捨テル  作者: 智葉亜紗芽
幼稚園編
2/19

ラディゲに似た先生

 幼稚園の中で、未だに記憶に残っている先生がいる。名前は伏せるが、当時放送していた「鳥人戦隊ジェットマン」の敵組織・バイラムの幹部・ラディゲに似た女の先生である。顔を青く塗って、派手な衣装を着たら、もうラディゲにしか見えない…そんな先生だった。青い服をよく着ていたので、尚更そう見えたのかもしれない。


 そんな先生は、とにかく園児に怒鳴るわ、叩くわ…まさに鬼のような…いや、ラディゲ並に怖い先生だった。そんな先生に当時の私が目につかない訳がなく、担任ではないにもかかわらず、よく怒鳴られるわ、叩かれるわ…それが夏休み以外、毎日のように続いた。


 一番酷かったのは、運動会で棒を使ったお遊戯の練習で、なかなか棒を上手く扱えなかった私に、容赦なく頭や肩を棒で叩かれたものだ。正直言って、運動会当日は休もうかと思ったくらい、棒を使ったお遊戯を回避しようと思ったくらいだ。


 そんなラディゲのような先生に心配されたこと…そんなこと、思い出せるくらいなら苦労はしない。逆に、怒鳴られたり、叩かれたりしたことなら、いくらでも思い出せる。先述の棒を使ったお遊戯が一番いい例だ。そんなこと、時間も場所もお構いなし。謝恩会など、保護者のいる前でも園児を怒鳴っており、それを止めようとする他の先生や保護者なんていない。今となっては大問題だらけの先生だ。令和の今のご時世、こんな園児を怒鳴ったり、叩いたりする先生など、保護者に強く言いくるめられてクビになるのがオチである。


 私が卒園し、3歳下の弟が世矢幼稚園に入園した頃には、ラディゲのような先生はすでに他の幼稚園に移動したようで、その先生の行方はそれっきりである。


 弟もなんやかんやで世矢幼稚園を卒園して、2、3年経過した頃には、小学校のグラウンドから園庭を見て、「よくこんな狭い場所を走り回ったよな」と思った。


 当時2年保育だった世矢幼稚園も、私が社会人になった頃にはとうとう3年保育に変わり、令和を迎え、2023年3月31日、世矢幼稚園は53年の歴史に幕を閉じた。私が卒園して31年後のことだった。それなりにみんなとは打ち解けてはいたが、結局2年間で世矢の空気に馴染むことはできなかった。世矢幼稚園の卒園生となれても、私は周囲にとっては「知らないところから来たよそ者」、「こいつになら冷たくあしらってもいい」などと思われ続けていたのである。


 2025年現在、私は小学6年生の子供がいる。彼には保育園に通わせていたが、その保育園にラディゲのような怖い先生は1人もいなかった。いや…どんな時世であれ、園児に罵声や暴力、そしてトラウマを植え付ける、戦隊ヒーローの悪役もドン引きするような先生は、存在してはいけない先生だったのかもしれない。

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