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序章~始~
燃えるような夕暮れ時この世の物とは思えない災難を経験したはずの俺は見とれていた
「大丈夫かえ童よ」
そう声を掛けて来る女性に心奪われた
金糸を束ねたように美しく長い髪、通りを歩いていれば自然と目を奪われるような美しい肢体
そして妖しい雰囲気を醸し出すように纏っている着物姿
そのどれもが俺の目を奪って離さない
「うん?見たところ怪我も無い様だがどこか「障った」か?」
気付けば絶世の美女の顔が目の前にあった
どうやら返事の無い俺を見て心配になったようだ
「いやいや!!だ、大丈夫です!!」
驚いて急に立ち上がろうと動く、しかし
「あ、あれ?」
立ち上がれず倒れ込み意識が暗くなっていく……
「な……んで」
「な!?……っぱ……わ……」
意識が薄れていく中美女の心配する声を聴きながら俺は今日一日の出来事を思い出していた。