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007

優斗は昨日何もなかったかのように朝8時まで熟睡していた。起きたら食事の終わりまで1時間しかないのに気づき、慌てて服を着がえて食堂に行く。食堂につくと宿の従業員が飲み物の注文を取りに来た。


「お飲み物は何にしましょう?」


朝から酒はまずいと考えて


「果物の絞ったものをお願いします」


「では、オリンジのジュースをお持ちいたします」


しばらくすると宿の従業員が木のコップを持ってきた。中をのぞくとオレンジ色の飲み物が入っていた。飲んでみると蜜柑の味がする。ジュースを飲んだ後に木のコップにカフェオレを創造魔法で作って注ぐ。


カフェオレを飲んでいる間に朝の食事がコース料理のように一皿ずつ運び込まれてくる。特に美味しいのはジェネラルオークの燻製肉だった。サラダも地球の野菜とさほど変わらないものが出てきた。食文化に関しては地球と大きな違いがないと優斗は感じた。


優斗は食事を済ませると宿屋を出る。宿屋の入り口で声をかけられた。


「優斗、昨日は大活躍だったそうじゃない」


「そうでもないですよ。カトリーナさん。おはようございます」


「おはよう。昨日の件でギルバート様は昨日から寝ずに賊の拠点つぶしや証拠集めをしているのよ。私たちも朝早くから起こされて働いていたの。」


「それは大変ですね。でも、襲ってきた賊の黒幕が分かったからもう襲われることはないのではないですか?」


「そういうわけにはいかないわよ。一応、襲ってくるのがあの賊だけとは断言できないでしょ。だから王都に帰るまでは気を引き締めないといけないのよ」


「頑張ってください」


「優斗はこれからどこに行くの?」


「俺は冒険者ギルドに行こうと思っています」


「優斗ほど強いと冒険者でも十分やっていけるわね」


「ありがとうございます。まずは登録してみようかと思っています」


「お邪魔したわね。私は皇女様に報告があるからこれで失礼するわ」


「はい。俺も失礼します」


優斗はカトリーヌと別れると冒険者ギルドに位置をマップで確認する。ホゾマは5万人の都市で結構広い。歩いて冒険者ギルドを目指すと40分もかかってしまう。優斗は走っていくことにした。


普通、冒険者として暮らしている人たちは冒険者ギルド近くの安い宿に泊まる。優斗は皇女様たちと一緒だったのでホゾマの中心にある高級宿屋に泊まっていた。その分他の冒険者より出遅れていた。


優斗が余裕をもって走ってもかなりの速度が出ていた。5分ほどで冒険者ギルドにたどり着くことができた。冒険者ギルドは優斗が思っていた以上に綺麗な建物だった。両開きのドアを開いて中に入る。


中には多くの冒険者でごった返している。テンプレのように優斗に食って掛かるようなものはいない。優斗は受け付けと書かれているプラカードのあるカウンターに向かう。そして空いている席に座った。


「冒険者ギルドにようこそ。受付のレイナと申します。今日はどんな御用でしょうか?」


「えっと、冒険者ギルドに登録したいです」


「はい、登録ですね。ギルドへの登録は15歳以上ですが、お客様は大丈夫ですよね? フードを取ってもらえますか?」


優斗の身長は160cm程しかなく、プードで顔を隠した状態では成人しているようには見えなかった。優斗はこれから成長すると思っているので背が低いことを気にしていなかった。優斗はフードを外す。レイナは優斗の素顔を見てあまりの美しさに顔を赤らめる。


「ウン、俺は15歳ですよ」


「は、はい、それでは、この用紙に必要事項を記載していただけますか?」


そう言って出されたのは目の粗いパピルスのような紙だった。一応手書きで書かれた枠と文字があり、名前、年齢、得意スキルを記載するようになっている。それらを記載して、レイナに渡した。


「はい、ユウト様ですね。では、こちらの魔核に右手を触れていただけますか?」


優斗は言われた通り、その直径10センチほどの水晶玉のような魔核に手を触れた。


「大丈夫ですね。犯罪履歴はないようです」


レイナちゃんが独り言のように呟く。それから5分もかからずに、レイナちゃんが優斗の名前が刻印された薄い鉄板のカードを渡してくれた。


「はい、これはGランクの冒険者カードです。Gランクは見習い期間です。ですから登録料も取りません。相応の実績があればFランクに上がり正規会員として認められます。その時には正規の登録料として銅貨30枚が必要ですので、必ず用意しておいてくださいね。登録が初めてならば、冒険者ギルドの規則や注意事項をご説明しましょうか。ここで説明を受けずとも構いませんが、以後は、一応規則や注意事項は知っている者として扱われます。後で訊いていませんという抗弁は認められませんので注意してください。」


「はい、全くの初心者なので説明をお願いします。」


それから小1時間ほどは、レイナ嬢の懇切丁寧な説明が続いた。お陰で、ちょっと別の冒険者に白い目で見られたことは間違いない。どうやらレイナ嬢目当てでギルドにやってきている冒険者たちも少なからずいるようだ。


要約するとGランクのカードは鉄板、Fランクも鉄板だが赤い縦ラインが右脇に入る。Eランクは、それにもう一本の赤い横ラインが下部に入ることになる。Dランクになると銅と灰銀と呼ばれる金属との合金からなる板になり、全体が薄赤色になる。


Cランクは、黒がねと呼ばれる黒色合金となり、Bランクではそれに白い横ラインが一本入り、Aランクでは縦のラインが加わり右下隅で交差するようになる。更にその上はSランクで、金と灰銀の合金で金色を呈している。


SSランクは、白金と呼ばれるプラチナ合金で白色を呈し、SSSランクになると紅白金と呼ばれるピンク色に近い色合いで光を浴びると虹色を呈することからレインボーカードと呼ばれるらしい。


それぞれランクアップには必要な実績を上げなければいけないのだが、冒険者カードを取得してからの魔獣や魔物討伐の実績などは、カードを身に着けている限り自動的に記録される様だ。 因みにCランクからAランクまではランクアップに実地試験があるようだ。


実績についてはカード単体では見られないが、ギルドの解析機にかければ実績履歴が一望できるらしく、その記録はその都度ギルド内にある大きなデータ保存用魔核に複写される様だ。


優斗はレイナの話を聞き終わると依頼をこなすことにした。


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