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006

宿でぐっすり眠っていたが、急に嫌な感じがして目が覚めた。危険察知スキルが反応したようだ。マップを確認すると宿の周りに悪意を表す赤い印が13個あった。その13の内、1人が宿屋の壁を上ってくる。


赤い印は優斗のいる部屋を通り越して6階へ達していた。6階は全室シャーロットたちが抑えているはずだ。マップを確認すると窓際の部屋にシャーロットの印がある。前もってシャーロットとキャサリンの二人にマーキングしておいてよかったと優斗は思った。


「こうしてはいられない」


優斗は直ぐに会談を駆け上がり近衛が立つスイートルームのドアをけり開ける。近衛たちは自分たちを無視して部屋に入る優斗を止めようと動くがあまりにも優斗が素早いので止めることができない。


仕方がなく近衛は剣を向き優斗の後を追う。近衛たちは優斗を不審者とみなしたのだ。


優斗は迷うことなくシャーロットのいる窓際の部屋にドアをけり上げて駆け込む。その音にシャーロットが目を覚まし驚きの声を上げる。


「何事ですか!?」


「シャーロット様。襲撃です」


「優斗・・・」


シャーロットが優斗の名前を口にするかしないかの間に優斗が彼女と窓の間に立ちふさがる。次の瞬間に窓ガラスが割れて賊が入り込んできた。このことにシャーロットと近衛の部屋番の二人が驚いた。


部屋に入ってきたのは3人だった。優斗はそのうちの一人の腹をものすごいスピードで蹴り上げる。


「ウッ」


意識を失いそうになる賊に優斗はスリープの魔法をかけて眠らせる。賊が毒で自殺をするのを防ぐためだ。


残る二人も首に手とうを打ち込み気絶させる。念のためにスリープの魔法をかける。


「シャーロット様。賊です。隣の部屋に移ってください」


「シャーロット様。どうぞこちらに」


正気を取り戻した近衛がシャーロットと優斗の間に入り彼女を窓際から遠ざける。

その間にまた3人の賊が入ってきた。優斗はためらわずストーンブリットをそれぞれの賊に放つ。賊はどてっぱらに穴をあけて倒れ伏す。


優斗はその3人が死なないように「ハイヒール」で穴が開いた腹を治し「スリープ」の魔法で眠らせる。そしてベランダに出る。


賊はあと七人残っている。壁を這い上がりベランダに乗り移ろうとしている3人を優斗は待つ。そしてベランダに上がった瞬間にすごい速さで三人を蹴り上げる。そしてやはり「スリープ」の魔法で寝かせる。


残りの三人は優斗に勝てないと思い6階の壁に張り付いていたがそこから飛び降りて逃げようとする。優斗はベランダから飛び降り逃げていく三人の背中からストーンブリットを放つ。


3人とも走り去る勢いのまま転がり倒れる。優斗は三人に「ハイヒール」をかけて命は助けると「スリープ」で寝かした。


悪意のある赤い印は後一つある。優斗はそのしるしに向かった。その印の人間は木の陰に隠れていた。優斗がベランダから飛び降りて仲間の賊を倒すのを見て驚いていた。でも自分が他の者たちと違う位置にいることで安心しきっていた。


そんな彼のもとに優斗が現れた。目の前に一瞬でだ。逃げる暇などない。優斗は直ぐにでも男を無効化するくらいの勢いでいる。それに慌てた男はあっけにとられる。


「俺に何をするする気だ」


「お前も賊の仲間だろ」


男の問いに優斗は答える。この男の悪意は消えていない。今でも真っ赤な印のままだ。


「私はこの都市の代官だぞ。私に手を出せば一族郎党処刑だぞ」


「そんなことはどうでもいい」


そういって優斗は男を殴り「スリープ」で眠らせた。そこに寝間着姿のギルバートが現れた。


「優斗。こいつも賊で間違いないかい?」


「ああ。間違いないです。でもこの都市の代官と言っていたんですけど・・・」


「ほんとうかい?」


ギルバートはそう言い倒れている男の髪の毛を引っ張って面を拝む。そして厳しい顔になる。


「確かに夕方にあいさつに来た代官で間違いない。本当にこいつが賊の仲間なのかい?」


「俺のスキルでこの男がなんらかの悪意を抱いていることがわかるんです。あとはそちらで調べてくれるとありがたいです。そのために賊たちが死なないように今回は寝かしてあります」


「ありがとう。今回も君に助けられたよ。まさか6階まで壁伝いに上ってくるような刺客がいるとは思ってもいなかったよ。一応、昼間の件があるから敵があきらめずにまた襲ってくるとは思っていたんだけどね」


「たしかに。諦めが悪そうな顔をしていますね。この代官は」


こうしてシャーロットの暗殺騒ぎは収まった。優斗はギルバートに後を引き継ぐと自分の部屋に戻り朝まで眠った。


その間にギルバートは職務に勤しんだ。まずは賊の全員の身体検査をして武器と毒を奪って自殺できないようにした。そして代官は別室に軟禁した。


次に賊の尋問に入る。賊はなかなか口を割らなかった。だが、キャンベル代官が捕まっていることを話したら。何人かが素直に話をし出した。今回のシャーロットとキャサリンの暗殺を依頼したのはギャンベル代官だということだった。


その証拠に賊のアジトの場所にキャンベル代官との取引記録があることが分かった。まだ陽も上がらないうちから近衛たちは都市を駆け巡った。賊のアジトに乗り込み暗殺組織の仲間を確保した。そして金庫に保管されていた書類を押収した。


暗殺組織はこの都市以外でも活躍している大手の闇ギルドだった。薬に人身売買、殺しとなんでも請け合う闇のギルドだ。そのアジトを襲撃して根こそぎにできたのはいい機会になった。


アジトには他の領地にある闇ギルドの情報もあった。そのため闇ギルドの襲撃は隠ぺいされた。その後各地の闇ギルドの摘発が行われた。その時の闇ギルドの摘発で闇ギルドと取引のあったいくつかの貴族や役人が処分された。


証拠がそろいキャンベル代官が言い逃れができなくなると彼の尋問に移った。彼の話では今回の皇女の視察で都市の財政の横領がばれることを恐れたことで皇女の暗殺を計画したというものだった。


結果的に闇ギルドとの繋がりまでばれてしまった。そのため代官は王都送りになることが決まった。重罪のため代官の家族もひっとらえられた。


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