第八話 ダンジョン三層への挑戦
ダンジョン三層への挑戦。
その前に準備を整えておかなければいけない。
三層からはコボルドが出没する。
3000個の銀の玉を換金すると銀貨3000枚。
金貨30枚になった。
ほんの少し前まで貧乏だった俺が、ちょっとした小金持ちだ。
「あ~ら、いらっしゃい」
道具屋のお姉さんは、あいかわらずセクシーに迎えてくれた。
今日は、胸の谷間に加えてふとももまであらわになっている。
「あの、道具袋を買いたいんですが」
「へ~。道具袋が必要になるなんて成長したわねぇ」
道具屋のお姉さんは、そう言うと目の前に3つの袋を並べた。
金色の道具袋 容量 1000立方メートル
銀色の道具袋 容量 100立方メートル
銅色の道具袋 容量 10立方メートル
「ちなみに価格は下から金貨1枚、金貨10枚、金貨100枚よ」
い、意外に高い。
しかし、これから先のこと。
ドロップアイテムのことも考えると出来るだけ容量が大きい方が良い。
それにギルドの依頼には、ゴブリンを生きたまま10体捕獲してくる。なんてのもある。
これからギルドの依頼を受けることもあるだろう。
ここは今買える一番良い物を買おう。
「銀色の道具袋ください!」
「へぇ~。やるじゃない」
道具屋のお姉さんは関心している。
「どうかしました?」
「1年と少しで、この銀の道具袋買えたのは、何年ぶりでしょうねぇ……」
「そうなんですか?」
「パーティーで1日に稼げるのは、せいぜい銀貨100枚。それを等分して各々の生活費や装備や道具に使ったら残るお金はわずか。金貨10枚貯めるには1年はかかるわね」
そうだったのか……。
ソロにも良い事あるな。
「はい、銀の道具ぶ・く・ろ」
道具屋のお姉さんは、道具袋をゆっくりと手渡してくれた。
白く冷たい指が俺の手に触れると、そのままアゴのあたりまでゆっくりとなであげた。
「うっ」
くすぐったいような気持ちいいような思わず声が出てしまう。
「それじゃあ、またね」
道具屋のお姉さんは笑顔で俺の方に手をふった。
高額な物を購入すれば、もっと過激な……。
「いや、良くない。そんな考えは」
俺は武器屋へ寄り道し、ダンジョンへと急いだ。
武器屋は怖そうな親父が店主なので長居はしなかった。
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1層、2層は、あっさりと通り抜けた。
ダンジョンの階段を降りるといよいよ3層だ。
「まずは1体コボルドと戦い様子をみよう」
ゆっくりと進むとダンジョンの奥からコボルドが現れた。
右手に剣を持ち、オオカミの顔をもった筋肉質な人型の魔物。
「強そうだな……スピード!」
俺は一気にコボルドへ近づいた。
「バッシュ!」
二連撃がコボルドへヒットする。
「グルァアアアアア!」
コボルドは剣を振り下ろしてきた。
「やはり、ゴブリンよりずいぶん硬いな」
俺はスピードで距離を取った。
「さらにスピード! バッシュ!」
間髪入れずに一気に近づき2回目のバッシュ。
「グブァッ!」
2回目のバッシュ1撃目でコボルドは倒れた。
青い光へと霧散した後には銀の玉が3つ残されていた。
「コボルドの強さはゴブリンの倍ぐらいか? そして報酬は3倍」
バッシュのレベルが、あと1上がれば1回の攻撃で撃破できそうだ。
それまでは慎重に1体ずつ倒していこう。
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8時間ほど、コボルドを倒し続けた。
手元には500個ほどの銀の玉。
「お金のことを考えたらゴブリンを倒す方が効率が良いか……」
しかし、弱い敵を倒しても強くなれる気がしない。
実際、スライムを倒し続けた俺はレベルが1上がるのに1年かかった。
多少無理してでも強い敵と戦い続けたい。
実際、戦いにもなれ少しづつコボルドを倒す時間が短くなっていっている。