第四話 はじめてのダンジョン
ダンジョンの入口へ向かうとスライムがあらわれた。
「今日の相手は、お前じゃないんだがな」
俺は剣を抜くと一気に近づいた。
「バッシュ!」
強烈な一撃がスライムに入ると青い光へと霧散した。
バッシュの効果、多段攻撃、更に強烈な一撃はスライムが消え去った後の空を切った。
「スライム相手じゃあ、バッシュの威力がはかれないな」
ダンジョンの入口へ入ると中は思ったよりも広かった。
壁がヒカリゴケでおおわれ明るく照らされている。
奥へと進むと岩陰から緑色をした人型の魔物が現れた。
「こいつがゴブリンか」
犬の低いうなりごえのような声を出している。
口からはよだれを垂らしている。
「グァグァグァ!」
ゴブリンは右手の混紡をふりかぶってきた。
「バッシュ!」
一撃目はゴブリンの右腕を混紡ごと吹き飛ばした。
そして、二撃目は胴を真っ二つに切り裂いた。
ゴブリンは口から青い血を吐き、内蔵を飛び散らせて地面に飛び散った。
次の瞬間。
全てが青い光へと霧散した。
後には小さな銀色の玉が転がっている。
「今までの苦労が嘘のようだ」
1年もスライムを倒すのに苦労したのに軽く一撃だ。
職業とスキルの力は偉大だ。
「これで銀貨1枚、スライムの100倍の稼ぎだ」
この調子でゴブリンを倒していけば生活には困らない。
まずはダンジョンの1層でレベルを上げよう。
ソロだと慎重に進まないと少しでも無理をしたら死に直結してしまう。
そう思ったのもつかの間、新たなゴブリンが現れた。
「グァグァグァ!」
ゴブリンは叫んだ。
もしかして、この鳴き声で仲間を呼んでいるのか?
「バッシュ!」
俺は、すぐにゴブリンを倒した。
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「ふうっ。さすがに疲れたな」
ダンジョンに入って4時間。
40体ほどのゴブリンを倒した。
ゴブリンは放置すると叫び声で次々と仲間を呼ぶためすぐに倒さなくてはいけない。
幸いバッシュは威力のわりに消耗が少なく効率よくゴブリンを狩れる。
しばらくはゴブリン討伐だな。
しかし、レベル1つ上げるのにスライム相手に1年かかった。
さすがに今からレベル1つ上げるのにゴブリン相手に1年は、かからないだろう。
けど、半年だろうか、いや、3ヶ月だろうか……。
「もっと効率よく戦闘しレベルを上げられないだろうか」
肉体的には限界だ。
一度、ギルドに戻って休まないと……。
「魔法使いにジョブチェンジできれば、魔法で戦えるんだが……」
俺が、そうつぶやいた瞬間、装備が急に重くなった。
だが、頭は、はっきりとし精神力がみなぎる感じがする。
「もしかして……」
俺は剣を背中におさめると両手を前に叫んだ。
「ファイア!」
炎の塊が前方を焼き払った。
「いける!」
ダンジョンの奥へ進むと3体のゴブリンが遠方に見えた。
「ファイア!」
炎の塊は3体のゴブリンを焼き払った。
3体のゴブリンは甲高い叫び声をあげて青い光へと霧散し消え去った。
後には銀色の玉が3つ残されている。
「これでまだ戦える」
いや、それ以上に大きな成果がある。
ギルドで登録せずにジョブチェンジが可能なのだ。
一般的に知られている職業。
戦士、魔法使い。
そして、武道家、僧侶、狩人、テイマー。
「ジョブチェンジ! 武道家!」
体が軽くなった。
素手で拳をくり出す。
空気を切り裂く音がする。
「俺のスキルすごくないか?」
俺は各職業とステータスを確認するためにギルドへと向かった。