コンセント
プルルルル……プルルルル……。
オフィスに備え付けてある電話が鳴る。
「タナカくん、出てくれる?」
「はい」
部長からの指示で、受話器を手にする。
「お待たせいたしました、営業課タナカでございます」
「スズキ商事のイイダです。先日の件について、ご連絡がありまして……」
受話器の向こう側から聞こえたのは、良く知るイイダさんだった。俺は、そのまま彼からの連絡事項をメモする。
「……それでは失礼致します」
要件を聞き終えると、受話器を置いた。
「お疲れ様。あ、コンセント抜けちゃっていたね……」
「……え?」
部長は立ち上がると、電話のコードをコンセントに差した。