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役立たず

大衆浴場の親方に相談するため連絡を取ることになり、向おうとするとティアから驚くことを聞かされた。


「そうだ、確かアシハラ様の所って妖精の子がいたわよね?」


ティアもやはりアミール同様、親方のことを知っているらしい。


「ええ、確か妖精のクーシーが居たはずだけど、姉さんどうしたの?」


「ここから大衆浴場までかなり距離があるじゃない。歩いて行くの面倒だし、それにうちにはマタタビくんがいるんだかさ」


マタタビが居ると言う言葉を聞くとアミールが手を叩き答えた。


「あ、そうか!マタタビさんに伝心の魔法を使ってもらえば、すぐに連絡が取れますね」


「伝心の魔法?」


状況が分からずアミールに尋ねるとマタタビ達妖精族は同じ妖精族ならば離れていても意思の疎通をすることができると言う。


「じゃあ、マタタビくん頼むわよ」


ティアの言葉にマタタビは難色を示す。


「え〜、ガジュマルに伝心するのかニャ」


さすがにティアからの頼み事でも、ガジュマルに伝心の魔法を使うのは嫌みたいだ。


「マタタビさん、お願いします」


アミールからも頼まれると、さすがのマタタビもしぶしぶ伝心の魔法を使うことにした。


「しょうがないニャ〜。気は乗らニャいがやってみるニャ」


マタタビは目を閉じ呪文を唱えだす、するとほんのりとマタタビの体の周りか白く光りだした。


「ガジュマル、ガジュマル。聞こえるかニャ?オイラだニャ」


少しするとマタタビの表情が変わり、小さな声でぶつぶつと話している。


しばらく経ったところで、


「………わかったニャ。明日店で待ってるニャ」


そう言うと、マタタビは目を開いた。


すぐさまマタタビにどうなったのかを聞いてみる。


「で、どうだった?ガジュマル君とは話せたのか?」


「一応話せたニャ。明日この店におっちゃんと一緒に来ることになったニャ」


大衆浴場は明日、休みだったらしい。


しかし、親方のほうからこちらに出向いてくれるとは思ってもみなかった。


「まさか、親方さんから来てくれるなんて驚きだな」


「ガジュマルがオイラに会いたいとおっちゃんに言ったようニャ………」


と、いうわけで明日、この店で親方を踏まえ話し合うことになったが、かんじんのフォルトゥナがまだ戻っていない。


そういえば、フォルトゥナ同様に先程からフェンの姿も見当たらないが何処へ行ったのだろう。


「あれ?そういえばフェンの姿も見当たらないけど、あいつはどこにいった?」


「あぁ、チビスケにゃらフォルトゥナにくっついてさっき一緒に出ていったニャ」


やはり、フェンはフォルトゥナにベッタリのようだ。


「大丈夫ですよ、ハルさん。すぐにフォルトゥナさんは戻ってきますよ」


何か確信でもあるのか、アミールはすぐにフォルトゥナは戻ってくると落ち着いている。


明日の話し合いを前に、事の次第を神父様に報告したいとティアは一度孤児院へと帰ると言い残し店を出ていった。


アミールの魔法が必要だとフォルトゥナは言っていたが、わからないな事だらけで先が見えない。


しかし、アミールが時間を戻せる魔法が使えるということには驚くばかりだ。


姉であるティアも時間を進める魔法が使えると言っていたが、姉妹揃ってさすがというか半分は妖精の血が流れているおかげなのだろうが。


だが、ここでふっと思い当たったことがある。


確か時間の魔法は妖精界特有の魔法だとティアは言っていた。


姉妹だから同じ血が流れていると思っていたが、よくよく考えてみるとアミールとティアは血が繋がっていなかったはずだ。


(あれ?でもそしたら何でティアさんも時間の魔法が使えるんだ)


もしかしたらティアの両親のどちらか、あるいは両方とも妖精なのか?


大きな疑問が残るが、プライベートなことにこれ以上踏み込むのはどうかと思い、あえてそのことには触れないようした。


その日の夜、フォルトゥナとフェンが、ふらりと店に帰ってきた。

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