不意の言葉
手紙にはこう書かれている。
もしも明日世界が終わるならあなたはどうする?
なんだこれ?
明日何か起きるのか?
世界が終わるということか?
そんな手紙ごときで世界が終わるとは思えない。
これはふざけているのか?
馬鹿らしいと思えたが、笑うまででもなかった。
やっぱり何かの間違いないで俺に届いたとしか思えない。
なんとまあ哲学的な質問である。
無人島に一つだけ持ってこれるとしたら何を持ってくるという質問と同じ感じだ。
ちなみに俺はというとスマホ。
電子マネーでデリバリーしてもらうから。
現代っ子って恐ろしいかもしれない。
デリバリーなんて余裕でできる分けたし。
やったことないけど。
しかしデリバリーピザが本当に来るとは思えんが。
さてこの手紙に視点を戻そう。
この手紙の質問は一体どう答えるべきだろう。
と俺は頭を悩ませた。
あっ、そうだ。
俺はいい事を思いついた。
これを皆に聞いてみるとかしてみよう。
そしたら皆とも仲直りできるかもしれない。
なんでそんな考えをしたのかはさておき。
今の俺では質問に答える事ができない。
俺は情けない奴、馬鹿だからな。
さてとりあえずこの手紙は捨てずに取っておこう。
そう思いバッグに押し込んだ。
それから風呂に入り、再び机に向かい、何か考え事していた。
まあそのまますぐに寝てしまった。
朝になりまた学校へ。
いやいや行くというほどでもないけど。
まあいつもどおり行かないとな。
今日こそ皆とも仲直りしよう。
そうすればわざわざ一人でいる必要ない。
そう思いながら学校へと向かった。
昼休みになり、俺は手紙を手に取り、教室内を彷徨い歩く。
そしてふと気づく。
「おいお前に聞きたい事あるんだけど。」
「げっ、日向か。どうした。」
「なんで驚くんだよ。」
俺はある男子生徒に聞くことにした。
そいつは一樹という奴だ。
まあ少しは話を聞いてくれて、面倒見が良い。
こいつが俺に対して卑しい態度を取るのもやはり俺とあいつとの間で起きた喧嘩のことについて彼もいたからだ。
だけどまあ俺が何度か彼にノート貸したりとかで少しは聞いてくれるようになったけど。
「まあ昨日屋上で拾ったものがあるんだけど。」
「屋上でか。というか屋上って入って良いものなのか?」
「まあだめなんだけれど。」
「まあそうだろうな。それで昨日お前怒られたんだろう先生に。」
まあ完全にこいつが言うことはあっている。
言い逃れはできない。
「正直、あの後怒られたけどな。というか屋上の事誰にも言わないでくれない?」
「誰にも言わないでか。どうしようかな。」
彼は考え込むふりをしている。
やはり俺だからか?
ならば俺も最終手段に出る。
必死に懇願する、そうしよう。
「なんでもするから。お願い。」
「えっ、なんでもするって言ったか?しょうがないな。そこまで頼まれたら良いよ。」
「えっ、良いのか?」
「まあな、まずは俺の頼み聞いてよな。」
「まあ良いけど。」
「良し。ならば行こうか。何、そんなに難しいことじゃないからついて来いよ。」
そして一樹に連れられ俺はある場所に行くことになった。
自販機前か。
「それで俺がジュース奢るんだろう?それ以外にここには来ないし。」
「まあな。そのくらいしたらお前の頼みは聞いてあげる。」
「はいはい。」
そう言いながら俺は一樹にジュースを奢った。
「おっ、ありがとう。今度俺が奢ってやるから。」
「まあそれは良いんだけど。とりあえず約束は守ってもらうぞ。」
「良いぜ。屋上の事は誰にも言わない。それに手紙の件も少しだけなら力になろう。」
「ありがとう。とりあえず場所を移そうか。」
と一樹に伝え、再び教室へと戻った。
「さて昼休みは後10分ってところか。それで手紙を見せてくれ。」
と一樹に言われて、例の手紙を出した。
名前は葛城日向と書かれた手紙。
そして一樹は手紙を黙読する。
「へー、なるほどな。随分と面白い質問する奴だな。それに屋上に手紙を置いて、拾ってくれることに賭けるなんて。手紙を書いた人は余程の強運の持ち主だな。そのおかげでお前に拾われたわけだし。それで誰がこの手紙を書いたのか分かるのか?」
「それが差出人がわからないからな。何も書いていない。」
「なるほどな。しかしこの手紙書いた人、結構面白い事聞くと思うだけどね。世界が滅ぶとか考えてんのか?危険思想広げようとしてんのかな。」
「まあどうなんだろう。世界ってスケールでかすぎだしな。まあ俺達学生はそんな哲学に答える暇もないけど。」
「まあな。俺らは勉強しなければいけないものだしな。」
世界の問と言った方が良いだろうか?
そのくらいの不思議な手紙の感じがするのだ。
仮にその質問みたいに明日世界が終わるなら俺はどうするか。
そもそも世界が終わるってどんな感じだろうか?
地球なのか、はたまた太陽系か。
規模がわからないな。
「それで一樹はこの質問に対してどう答えるべきか?」
「まあ何だろう。普通に自分の欲望を叶えるとかするよな。」
「それが正解だろうな。やっぱり正直に答えるとかかな。なんかその力ありそうだし。」
とりあえず手紙の渡された趣旨はそれであっているという事にしよう。
「あら、男二人で面白い事しているじゃない。ちょっと入ってもいいかしら?」
と今度は女子一人が話に入って来た。
確かこいつは普段俺みたいに一人でいるやつだったな。
こいつと俺の違いは頭の良さ位だろうな。
後、性格。
そいつは秀才過ぎて、俺と住む世界が違いすぎるだろう。
それと裏腹に性格は最悪。
虚言癖があるわけか知らんけど、こいつ何か恐ろしい事言うんだよな。
何かと彼女から避けようとしていたんだけど。
「お、橘氏。お前も興味あるのか。」
と一樹は親しげにその橘の呼ばれる女子に声をかけた。
流石、誰でも話せる奴だな。
「そんな事はないわ。ただ面白い話が耳に入って来て。」
「やっぱり興味あるのか?」
と俺は聞いて見ると、橘氏はそっぽ向いている。
やっぱり俺は嫌われているらしい。
あの教室での出来事があったからな。
教室であった喧嘩だ。
もう時期3月で、クラス替えがあるというのにその喧嘩の件に対しては俺は耐える事ができない。
むしろ別の解釈で他のところで俺の噂が一人歩きしているらしい。
実は不良と絡んでいたりしてとか喧嘩ばかりしているとか。
色々と迷惑な事されてしまっているみたいだ。
さて、橘に手紙の事聞いてみるか。
秀才のこいつならば何かと答えを導いてくれそうだ。
「そんな事より橘、お前はこの手紙がどういったわけかわかるか?」
「ん?知らないわよ。世界がどうとか?その前に私が世界滅ぼすわ。」
こいつ今滅ぼすとか言わなかったか?
完全に変なやつに絡まれたな。
やはり危険思想の奴だな。
「まぁまぁ、橘氏。それよりこれがその手紙な訳だけど。」
一樹に言われて、橘はその手紙を不思議そうに眺める。
それから何か考え事をして、思いついた事がある雰囲気を示した。
「あ、この文字誰が書いたかわかるわ。」
「本当か?」
「そうね。というか知り合いだわ。」
「じゃあそいつのところに連れて行ってくれないか?」
「そうね。」
と俺の質問に橘は再び考え込む。
やはり俺の頼みは聞きたくないものなのか?
しかしそれとは別の事を少女は言った。
驚くべき事だ。
「じゃあこうしましょう。明日土曜日だし、私とデートしましょう。」
「は?何言ってんの?」
理解が追いついていない。
おかしい事を聞いた。
この世界を滅ぼすと考える危ない女とデート?
絶対殺されるだろう。
もしするとしたら俺はその時が命日だな。
「お、日向おめでとう。周りに広めて置くよ。」
「いやいや、俺はそういうわけじゃないから。」
「あら、そうなるとあなたの頼みは聞けないよ。せっかくあなたに気があったのにね。」
「あーもう分かった。それに付き合うよ。そのかわり俺の頼みも聞いてくれるなら。」
「あらそう。じゃあ明日ね。」
こうしてなぜか橘とデートすることになった。
なぜかそのこともすぐにクラスで広まる事に。
一樹やつはやはり捨て置けないやつである。
昼休みが終わり、そのまま授業を受けた。