第1章「奇妙な夢」1
第1章「奇妙な夢」1
「大東……大東!」
目が覚めた。
「……あ、はい」
担任の北川が大東健を呼んでいる。
健は席から立ち上がって北川のもとへ向かった。
「お前、また寝てたのか……」
北川はそう言うと、健にテストを渡して言った。
「もう少し頑張れ」
52点。自分の中ではよくできた方だと思うが。そう思いながら健はため息をついて、席に着いた。
外は雨が降っていた。
何か面白いことが起きればいいのに。
そう思いながら、健はまた腕を枕にして眠るのだった……。
「......い。おい!」
「ん......?」
「お前いつまで寝てんだよ。もう授業終わったぞ」
健の友達、遠藤達也があきれた様子で健を見つめている。
「あ、あぁ......」
「ほら、帰ろうぜ」
「あぁ」
健は目をこすりながらカバンを手に取り、達也と教室を出た。
学校の外に出て、二人は家路に着いた。
「にしてもつまんねぇよなぁ。なんか面白いことねぇかなぁ」
達也がカバンを振り回しながら言った。
「そうだなぁ、なんか事件とか、でっかいことが起きたりしねぇかなぁ」
健はそう返した。
「お前、不謹慎だぞ」
その後、色々と話をしている間に、健の家に着いた。
「じゃあ、またな」
「おう」
お互い手を振って、別れた。
健は家の中に入った。
「ただいまー」
すると、母が健を出迎えた。
「おかえり。今日は寒かったでしょ?早くリビングに来て暖まりなさい」
「うん」
面白いこともなく、彼女もいない。
健は退屈で仕方なかった。
健はため息をついて、暖房の効いたリビングのソファーに寝転がった……。
「……健!ご飯よ!」
いつの間にやら眠っていたようだ。
そしていつものようにご飯を食べ、いつものように風呂に入り、いつものように髪を乾かし、いつものように歯を磨き、いつものように眠りにつく。なんて退屈で面白くないんだ。
「明日こそはなんか面白いことが起こりますように……」
健はそう祈りながら、目を瞑った……。