頭を空っぽにして楽しむ話
「やめろ!! やめてくれ!!」
悲痛な叫びが耳に入った。うるさい。
静かにさせる為に一度殴る。それでも黙らないから二発、三発。
黙るまで続けたら静かになった。
出るまでガチャれば出るというパワーワードがあったが、それは物事全てに通ずるものなのだろう。
黙るまで殴れば相手は黙るのだ。
ヒューヒューと折れた前歯から発する間の抜けた音だけが部屋に反響している。
これでやっと心地よい静かさになった。
精神を穏やかにし、これからの事に思いを馳せる。
ふう、とイメージの海から思考を引き戻すと、目の前の男の頭を綺麗に丸刈りにした。
「やめへぇ……」
か細い声が漏れでた。この程度なら別にいい。
しっかりと拘束した男の頭を撫でて、器具を当てる。
「いやだ、いやだ!! やめて!!」
ゴリゴリと音を立ててリズミカルに腕を前後に動かす。
男はもはや言葉ではなく、音を発するだけになる。
綺麗に骨だけを切るのには技術がいる。中身を傷つければダメになる。
ダメにするのは一番最後にやることだ。
「あがいぎぎぎぎぎぎぎげがああああああ」
「かんばれ、がんばれ」
薬の効果は素晴らしい。男はさぞ開放感に包まれているだろう。
「ほら、君に蓋をしていたものを取り払ったよ」
男の焦点の合わない目に、頭の蓋を見せてあげた。
最後の仕上げをこれから行う。
「あっあっへぷあふえ」
ぐりぐりとスプーンですくうたびに男の口から変な声が出る。声が出なくなってもビクビクと反応はする。それも最後にはなくなって、空っぽの器が出来上がった。
「頭を空っぽにして楽しめるのはいいなあ」




