チャラ男先輩の金言
バイト先の風景です。
先輩は剣護の癒しです。
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本当に、本当に、ありがとうございます!!
本当に嬉しいし、モチベーションもぐんぐん上がっております。
これからも楽しんでいただけるよう、頑張りますのでよろしくお願いいたします!
結局今日もアリスのことを考えていたら、いつの間にか終礼となっていた。
頭の中は、ドキドキであふれていた先週とガラッと変貌している。ただどちらにしても、また受験的に大事な高校二年の一日を棒にふってしまった事実に変わりはない。
いつものようにダッシュしてきた彩音を抱きとめ、彼女の入学以来恒例となっているお兄ちゃんパワー注入をする。
彩音曰く、こうして頭をポンポンしないと、明日の朝まで禁断症状の発症を我慢できなくなるとのことだ。
俺が注入している間、クソタツは妹にルパンダイブしたお仕置きとして、ずっと腕をひねりあげられていた。
五分くらい注入して、(週末だからとせがまれた金曜がめちゃ長かったせいか、ずいぶん短く感じた。)まだ未練がありそうな彩音をバイトを理由になんとか諭して別れる。そして幸せそうな顔で失神している達也を足蹴で起こして、学校を出た。
達也と別れる直前、「おまえも、バイトやろうぜ?」と日課となった勧誘をしてみたが、やはり取りつく島もなく断られた。
「何回誘われようとごめんだ。俺が部活やってない理由、わかってんだろ? この時間は、お袋がパートで家にいない貴重な時間なんだぞ! バイトなんかで無駄に潰すわけないだろ! そして、こっからが最重要事項だ。いいか、よく聞け。小林家はな、月曜日は洗濯しないんだよ! つまり今だけなんだよ! 洗う前の洗濯物をクンカクンカできるのはなあ!! ってことで、あばよおおおおおおおおとっつぁああああああん」
という声を残して、全速力でペダルを回して消え去った。
警部。どこかにいらっしゃるならば、早くあいつを逮捕してください。
呆れをため息に乗せたあと、俺はバイトに向かうため達也が消えた方角とは逆の道へ自転車をこぎ出す。
バイト先の場所を説明すると、高校から自宅へ帰る方角とは完全な逆側に位置している。自宅からの距離は一駅半くらい。
なので、はっきり言ってちょっと行くのが面倒くさい。そしてバイトが終わってくたくたになったあと、家に帰るまでの道のりがはんぱなく面倒くさい。
今冷静に考えれば、高校と自宅の間にあるような場所を選ぶべきだったんだろう。だが数か月前の俺は、そこがバイトには最高だと思っていたのだ。
そんなこんなでバイト先に到着すると、自転車を従業員用駐輪場に止めて従業員用入館口に向かう。
受付で座っている警備員に挨拶をして、もう手慣れた入館手続きを済ませる。
ほの暗い廊下をしばらく歩くと、見慣れた鉄製の扉が待ち構える。
ルールとなっている「おはようございまーす」の声とともにノブを回して押すと、ギギィという軽く不快な音とともに開かれて光が零れてくる。
「ちぃーっす! 剣護っち。今日もよろしく」
俺を出迎えてくれたのは、バックヤードの休憩室でくつろぐチャラ男の姿だった。
ここは俺のバイト先だ。
全国で上から三番目くらいのハンバーガーチェーン店。
駅前に鎮座する五階建ての商業施設の一階にあり、チェーン店の中で一、二を争うほど売上の高い繁盛店だった。
このファーストフードの繁盛店というのが、俺が場所などを深く考えずに選んだ唯一の理由なのだ。
忘れているかもしれないが、俺がバイトを始めた理由は一つだけ。
そう、彼女を作るためだった。
俺は中学の頃から、何度もこの店を訪れていたから知っていた。
ずらっとレジに並ぶ、可愛い女の子のバイトの光景を。
レジだけではない。お客の多い店だけあって、フロアでも所狭しと女の子のバイトが働いている。
その印象が強く熱く俺の脳髄に刻み込まれていたのか、女の子目当てでバイトをしようと思い立った時、ここしか思い浮かばなかったのだ。
今振り返ってみると、なんとも馬鹿な選択をしてしまった。
若さゆえの過ちとは、こういうことを言うんだろうか。
ぶっちゃけアリスという存在ができた今、スパッと辞めてしまってもいいのだ。いいのだが、どうもだらだらと続けてしまっている。どうにも辞めづらいのだ。
ほかのバイトの人とコミュニケーションを重ねたり、仕事を覚えていくことで店から頼られるようになったり。そして、今俺が抜けたら店が回らなくなる状況を察し始めたり。
いくつもの鎖が俺の足に絡みついて、逃さないと邪魔をする。しかも時間が経つごとに増殖し、どんどん重くなっていく。
その鎖を、俺はいまだに引きちぎれずにいた。というか、とうぶんできる気がしない。
「中村先輩。おはようございます!」
手前にある社員室でシフトを作ってた男性社員に挨拶してから、休憩室のチャラ男――中村武先輩に挨拶を返す。
中村先輩を、俺は心の中でチャラ男先輩と呼んでいる。
そのニックネームの通り、とにかくチャラい。
挨拶は「ちーっす」。顔は日焼け。ジャラジャラした銀アクセサリーに、耳にはピアス。
大学生で、バイトの理由はバンド活動の費用とのことだ。
とにかく女好きで、口を開けばどんな女とやったかということばかり。
ゼミの先輩を喰っただの、ナンパしたOLにはめただの、バイトの新人とやっただの。
すでに俺にはアリスがいるのでチャラ男先輩が誰となにをしようがどうでもいいのだが、このバイトの女の子を喰ったという話が困りものなのだ。童貞にとってこれほどきつい話題はない。
べつに好きでもないのだが、バイト仲間レベルあっても知ってる女の子がやってるという話は下半身にくる。休憩室でその子と二人きりになんてなってしまった時は、まさに地獄である。
この子が一昨日エッチした。この子が一昨日エッチした。この子が一昨日エッチした。
頭の中がこんな感じで、まともに会話なんてできない。顔を赤くしないようにするだけで、手いっぱいなのだ。
もうすでに今年高校に入学した人が、複数人バイト採用されている。
チャラ男先輩なら、速攻で喰っていても不思議じゃない。もしそうなら今は二人きりなので、間違いなく自慢げに話してくるだろう。
これさえなければ、本当にいい先輩なのだが残念だ。
俺はこのあとあるだろう話題に心底うんざりしながら、意識的にゆっくりとユニフォームへ着替えた。
できれば喰われた新人が、俺の教育担当の子じゃありませんように。
まともに話せなくなるんで、ほんと頼みますチャラ男先輩!
脱いだ制服をロッカーにかけて、テーブルを挟んで先輩と向かい合う席に座る。
「剣護っち。今日から新しいキャンペーン始まるから、これ見といたほうがいいっしょ」
「あ、ありがとうございます」
差し出されたファイルを受け取って、目を通す。
チャラ男先輩は風貌も言動もチャラいけど、仕事に対してはかなり真面目だ。
同じ入り時間にもかかわらず、結構余裕持って到着してる俺よりも、さらに早く店にいる時点でわかってもらえると思う。先輩は後輩の様子見もいい。モテるには、それなりの理由がちゃんとあるのだ。
キャンペーンの内容を頭に入れて、シフト表を眺めて今日の動きを自分なりに組み立てる。
「今日剣護っちは新人教育担当だから、基本戦力としてみられないっしょ。剣護っちいないのは、ピーク時間結構きちいな」
「というか、ほんとに俺でよかったんすかね? まだうまく教えられるほど、理解できてるか心配で」
「剣護っちなら大丈夫っしょ。てかこの時期、新人が多いからね。ベテランだけじゃ手が回らないっていうか。そこで剣護っちが抜擢されるってことは、それだけ期待されてるってことっしょ!」
う、……また新しい鎖が追加。
「それに桜ちゃん。剣護っちと希望曜日や時間が丸被りなんっしょ? だからそういう面でも、一番効率がいいって。店長からもそう言われたんしょ?」
「ま、まあ……って、もしかして先輩……もう桐生さんに会ったんですか?」
シフト表に記載されてる新人の名前は、桐生桜。赤文字で、本日一日目と追記されている。
チャラ男先輩は基本名前呼びだが、始める前にちゃんと了解を取っている。チャラいけど非常識なことはしない男なのだ。
つまり少なく見積もっても、すでに先輩と俺の担当新人は接触している。
お願いだ桐生さん。せめて教育期間が終わるまでは、粘膜接触はせんといてくれ!
「こないだ桜ちゃんが、雇用契約しに来た時に会ったっしょ。可愛いよねえ、桜ちゃん」
「あ、あの……まさかもう桐生さん、喰っちゃったんですか?」
あれ? 考えてみるとまだ直接会ったことのない女の子の名前出して、「喰ったんですか?」って、俺かなり最低なこと言ってね?
「まだ喰ってないっしょ! というか、きっとあの子は喰えないっしょ。まるで脈なしっしょ」
「そ、そうですか」
よかった! 俺の担当新人は、ガードの固い人だった! 桐生さん、バンザイ!
「喰ったといえば、剣護っちはどうだった? 俺のアドバイス通りやれば、ちゃんと喰えたっしょ?」
「捕まるわ!!」
「っしょおお!?」
俺の迫力に驚いたのか、チャラ男先輩が椅子から転がり落ちる。
っと、やばい。先輩はまさか俺の相手が小学生だなんて思いもよらないんだから、悪気なんてないのに。
慌てて立ち上がって、先輩に手を差し伸べて引っ張り上げる。
「す、すみません先輩!」
「いちち。いきなりどうしたっしょ、剣護っち?」
「い、いやその。せっかく先輩にアドバイス貰ったのに、全然活かせなくて」
活かしたら、疑う余地なくタイーホだけどな!
「それで、あの。……そ、そう! 雰囲気よくするなんて、お洒落なバーに行くくらいしか思いつかなくて。それやろうとしたら、相手の子に補導されちゃうよって止められて。あ、あははははは」
苦しい。どう考えても苦しい。小学生が親について、すぐばれる嘘レベルで苦しい。
でもチャラ男先輩なら。チャラ男先輩ならきっとなんとか――
「もう、しょうがないっしょ剣護っちは。じゃあ今度は、やれそうな雰囲気の作り方を具体的に教えてやるっしょ!」
してくれたああああああああ!
いやもしかしたら俺が何か隠してることには気づいてて、話しを合わせてくれてるだけかもしれないけど。
基本かなりいい人だからな、この人。
……この人に相談してみようか? アリスのことを。そして、俺のことを。
少なくとも俺とは比べられないほどの人生経験、女性経験をしている人だ。
この人なら本当に、なんとかしてくれるかもしれない。
昨日カフェを出たあと、俺とアリスはすぐに解散した。
もちろん、できればもっと一緒にいたかった。でも、もともとアリスに午後から用事が入っていた日に、早く会いたいからと俺が無理やり午前に時間を作ってもらったのだ。
まあ、「時間があればカラオケで密着したかったのに、残念です」なんて言ってたから、ハーレムゲーム的にはよかったのかもしれない。
童貞のディフェンスは、速攻攻撃にえらく脆い。経験値がなさすぎて、うまく対処できないのだ。
寄り道もせずに帰った俺は、さっそくネットでひたすらに調べた。
でもいくら検索しても、有効そうな情報は何も出てこなかった。
『動物と触れ合う』だの、『音楽を聴く』だの、『自然を感じる』だの。
しまいには、カウンセラーにかかりましょう。精神科に行きましょうだ。
そんな普通の方法で、あのアリスの心を癒せるとは思えない。
当然、そんな簡単に具体策を見つけられるなんて思っていなかった。
アリス自身がハーレムがないと無理、心は治せないほど粉々に壊れていると明言したくらいなのだから。
でも十五時間以上パソコンの前に座って、とっかかりすら発見できないのは少し心に来た。
ハーレムゲームという脱出不可能な迷宮。その壁を突き崩すための方針、壁崩壊の起点となる小さな穴。
それらにたどり着くための細い糸くらいは、発見できるんじゃないかとちょっとだけ期待していた。愚かにも期待してしまっていた。
そして、気づいてしまった。これらはすでに、何年も前にアリスが通過した道なのだと。
それ以降、マウスから手を離した俺はゴールのない思考のトラックを何百周と走っている。
俺はアリスさえ手に入れば満足なんだから、おまけのハーレムがついてきてもいいんじゃないか?
そんな考えすら浮かぶことがあった。
まだアリスにまともな誘惑なんてされてないのにこれじゃ、俺はハーレムゲームに不戦敗のようなものだ。
とにかくこのトラックから、コースアウトで飛び出さなきゃいけない。ハーレムゲームに参加しなきゃいけない。
でも情けないことに、今の俺には一人で脱出するすべがなかった。
「……あの、中村先輩。一つ、聞いてもいいですか?」
「ん? なんしょっ?」
「どうしても欲しいものがあって。でも、手に入らなくて。どうしようかといろいろ調べたり考えたけど、糸口すら掴めなくて。ついには動けなくなってしまいそうなとき、どうしたらいいと思いますか?」
俺の質問は、かなり突拍子もなかったと思う。
俺が先輩の立場だったら、いきなりどうしたんだろこいつと思ってしまったかもしれない。
でもその時先輩は、今までに見せたこともないような真剣な表情で耳を傾けてくれていた。
「……剣護っち。俺さあ、好きになってはいけない人を、好きになったことがあるっしょ」
「はい」
「でも俺、そんないけない立場だからなんて理由で諦められなくて、積極的に猛アタックしたっしょ。あの手この手を考えて、小細工したり、友達にシチュエーション作りを手伝ってもらったりもして。何度も何度も、何度も。でもある日、かなりキツめに拒絶されて。そっからはずいぶんと、なにもできなくなったっしょ。もう諦めてしまおうかもと思った。でも……」
「はい」
「やっぱり立ち止まったままでも、好きだって気持ちはそのままだったから。いつまで経っても、消えることはなかったから。だからまた動き出したっしょ。今度は小細工とかせず、とにかく一人で真正面から突撃してるっしょ。やっぱり、相手に気持ち伝えたかったらそれが一番って気づいたから。気づけたから」
「先輩、その人には今も?」
「当然っしょ! 昨日もアタックしたっしょ! こっ酷くフラれたけど。でも友達とかに協力してもらってた頃より、相手も正面から受け止めてくれてるというか、真面目に聞いてくれてるっしょ! 欲しい気持ちがなくならない限り、どんなにしんどい気持ちになっても動き続けて、ぶつかり続ける。これっしょ」
「先輩、なんかかっこいいです」
「そうっしょ、そうっしょ!」
「でもその人へのアタックと並行して、いろんな女の人喰ってるのはマジでないと思います」
「剣護っちぃ、それは言わない約束っしょ」
先輩、ありがとうございます。
なんとなく、光が見えた気がします。その光はまやかしかもしれないけど、動く原動力にはじゅうぶんすぎる。
動物が癒す? 否!
音楽が癒す? NO!
自然が癒す? NO! NO!!
俺が癒す? YES!
『剣護クリニック! 剣護クリニック!!』
頭の中に、いつかテレビで聞いたCMの曲が流れた。
そう。特別な癒し方を探す必要なんてない。
俺がアリスと会い続けることで、話し続けることで、触れ合い続けることで癒すんだ。
当然一緒にいる時間が増えれば増えるほど、アリスからの誘惑も激しくなるだろう。
大好きな女の子から誘惑され続けるなんて、普通は嬉しいけど今の状況じゃきっとキツイ。
でも俺は耐えきってみせる。この世には純愛ってものもあるんだと、アリスが思えるようになるまで頑張るんだ。
間違った方法かもしれない。まったくの無意味かもしれない。
でも俺だけがアリスを癒せる。恋を諦めたアリスに、恋をさせた俺だけができるんだ。
そう信じて、見えた光が本物だと信じて突っ走るだけだ!
もう一度言います。先輩ありがとうございます!
もうチャラ男先輩なんて呼べません。あなたは、心の中でも中村先輩で――
「お、おはようございます!」
「おお、ちーっす桜ちゃーん! 今日もめちゃ可愛いね?」
やっぱり、いつまでもチャラ男先輩すわ。
ため息をつきつつ、椅子に座ったまま声のした後ろを振り向く。
そこには、たしかにかなり可愛い女の子が緊張気味に立っている。
軽く茶色がかった髪を後ろで一つにまとめ、首下くらいで揺らしている。
顔は美人系というよりも可愛い系で、なんか小動物みたいな雰囲気だ。
そしてこれが一番に強烈な印象で視界に飛び込んでくるんだが、とにかく胸が大きい。目のやり場に困る。
この子にうちのユニフォーム着せたら、童貞バイト皆前かがみになってしまうんじゃ。
ほんと、先輩に喰われてなくてよかった。そんな話聞かされてたら、絶対にまともに教育なんてできない!
椅子から立ち上がって、目の前まで歩いていく。
「そ、相馬さん、初めまして! 桐生桜です。きょ、今日からよろしくお願いします!」
ゆっさ、ゆっさ。目に毒だ!
「うん、よろしく。……って、あれ? なんで俺の名前……」
「えっ!? ……あっ、そのっ、えっと……あ、写真です! あそこの写真で、わたしの担当の人どんな感じなんだろうって」
「ん? ああ、そっか。あそこで見てたのね」
焦り気味の桐生さんが指さす先を視線で追うと、バイトメンバーの写真がずらっと並んだ組織図がある。
雇用契約をした日にユニフォームのサイズ確認もするのだが、その際に全員インスタント写真を撮る。
そこに一言自己紹介を書いて、誰でも見れるように貼っておくのだ。
よくよく見ると、一番下に巨乳の美少女の写真があった。
それにしても、ちょっと失敗しちゃったかな。
初対面の男になんで名前知ってるのなんて聞かれたら、怖がったり焦ったりしてもおかしくない。
俺は気になっただけで怒ってるわけじゃないんだけど、相手がどう受け取るかはわからない。
こっからは信頼関係が大事なんだから、今後は気を付けていこう。
「なんか、ごめんね。変なこと聞いて。ちょっと考えれば、わかりそうなもんなのに。誰だって、自分の担当はどんな人か気になるもんね」
「い、いえ。その、謝らないでください! そ、その、全然気にしてませんから! わたしこそ相馬さんの自己紹介奪ってしまって、すみませんでした!」
ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。……ええい、まっこと目に毒だ!!
「そ、相馬さん!? お、お腹痛いんですか!?」
「い、いや、大丈夫だから。とりあえず、着替えてきてくれるか?」
「は、はい! わかりました!」
「ふふーん。なるほどっしょ」
そんな俺たちを、チャラ男先輩はニヤニヤ眺めている。
「そりゃ、脈なしのはずっしょ。桜ちゃん頑張るっしょ! 俺は応援してるっしょ」
「中村先輩、どういう意味っすか?」
「せ、先輩! な、な、な、なに言ってるんですか!?」
「しょっ、しょっ、しょっ!」
「わ、わたし着替えてきますね!!」
どうやらチャラ男先輩が言った意味を理解できていないのは、この中で俺だけのようだった。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!
楽しんでいただけてたら幸いです
次回もよろしくお願いします