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幸せな人々

作者: 玖波 悠里

世界中の人口は増え続け、戦争は勃発し、人類の社会は混迷の一途をたどっておりました。しかし、その混迷に一石を投じた者が居りました。それは一人の老科学者でありました。彼はひどく年を取っておりましたが、それでも彼は彼の人生すべてを賭した発明を完成させました。

その発明品は幸せを感じることのできるものでした。どんどん悪くなってゆく世の中に彼は一筋の光明をもたらしました。ですが、やはり彼は老いていました。彼は自らの生があまり長くないと悟りました。そこで彼は各国に充てて声明を出しました。すべての技術、発見を公表する。だから、絶対に人類の発展に貢献しないような使い方だけは、してくれるなと。

やがて老科学者は亡くなりました。それでも、各国は彼の言葉に従って、技術を公開し、占有されることのないようにしました。また、国家レベルで生産ラインを確立し、すべての人にいきわたるようにと心を砕きました。それによって治安は劇的に改善し、戦争も中断されました。民族間の抗争もなくなり、軍隊は儀礼のみに使われるようになりました。

そして、しばらくの時が経ちました。人々は相変わらず、しあわせでした。人々は幸せで、満ち足りていました。足りるということを知った人々はそれ以上のものを望みませんでした。それ以上の幸せを望まず、それ以上の発展も望みませんでした。

そして、人類は緩やかに衰退してゆきました。


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