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転生大魔導士は異世界で命の尊さを学ぶ  作者: Billy Berry
決意の旅立ち
23/26

魔物の襲来と謎の男

今回から数話暗い話が続く予定です。

しばらく待つと60代くらいの男性がギルドの食堂に設置された台の上に登る。


「ヒロ、あれがギルド長だ。」


ダズさんが小さな声で教えてくれた。

俺はギルド長を見るのは初めてだが一目見ただけでも只者じゃないのが分かるくらい威厳のある立ち姿だ。


「待たせてしまってすまない。

今回は緊急依頼の為、強制召集させてもらった。

理由は現在、魔物の群れがアイリーンの街に向かって来ている。

その数は推定5,000、中にはAランクの魔物も確認されている。

街への到着時間は3時間後、これから2時間後に街の東門に集合してくれ。

それまでは各々準備をしておくように。

以上、解散!」


ギルド長の話が終わると冒険者達は一斉に動きだす。

フレンドシップは何をするのか気になったのでダズさんに訊いてみた。


「フレンドシップの皆さんは何かやる事あります?」


「ん?俺はちょっくらギルドに用があるから先に行っててくれ!」


ダズさんが答えると他のメンバーも答えてくれる。

どうやら皆用事が有るようだ。

俺は1人で屋敷まで戻り屋敷の皆に魔物が攻めてくるので屋敷の中に隠れているように言った後に投げナイフを作製出来るだけ作製する事にした。


投げナイフの材料が無くなると、ギルドに行って屋敷のゴーレムを街の防衛に参加させる事を許可してもらう。

今回は屋敷にいる半数のゴーレムを防衛に参加させるつもりだ。

残りの半数は屋敷を守らせる。


話が終わると東門に行かないと間に合わない時間だったので、その足で東門に向かう。


東門には既に半数近くの冒険者達が集まっていた。

俺もそこで一緒に待っていると、しばらくしてギルド長がやってくる。


「皆しっかり集まってるな!これから作戦の説明をする!

今回は騎士団と連携して街を守り抜く!冒険者はパーティ単位で行動してもらう!ソロで活動している者は臨時でパーティを組んでもいい!ソロでやりたいなら好きにしろ!

作戦は総勢約500人の冒険者が先陣を切り騎士団は街へ魔物が行かないように防衛線を築く!

万が一街に魔物が入り込んだ場合は街の中に待機している騎士団が対処してくれる!前線の状況次第では冒険者にも街の中で魔物の討伐を頼むかもしれないから頼んだぞ!

それと教会から回復魔法の使い手が5名来てくれた!怪我をしても無償で治してくれるから安心してくれ!

作戦は以上!俺たちがやる事は単純だ!

魔物をぶっ殺す!それだけだ!

あと報酬だが、参加した者には半金貨1枚が支払われるぞ!

サッサと終わらせて美味い酒を飲もう‼︎」


『『おぉーー‼︎』』


ギルド長の演説に冒険者達が雄叫びを上げる。

最前線で戦闘するのは危険かもしれないが怪我しても治してくれるし、報酬は良いしでテンションが上がっているのだろう。


かく言う俺もテンションが上がっていて、雄叫びを上げてしまった。


「魔物達をぶっ殺す手段だが!まずは俺の合図で魔法使いと弓使い達は攻撃を放ってくれ!

魔物が近付いてきたら各々魔物の迎撃を開始!

高位ランクの者は積極的に高位の魔物を狙うようにしろ!

討ち漏らしは騎士団が片付けてくれるから無視しろ!

では!街の外壁に沿って広がってくれ!

その後は魔物が来るまで待機だ!」


『『おう‼︎』』


冒険者達は言われた通りに外壁に沿って広がり、魔物が来るのを今か今かと待ちわびる。


しばらくすると遠くに土煙が舞っているのが見えて、徐々に魔物達の姿が見え始める。


魔物の先頭からの距離が50mくらいになった時に攻撃の合図が来たので、俺も今使える1番攻撃力のあるファイヤーストームを放つ。

魔法と矢の嵐は魔物の群れに直撃してその数を減らす。


また合図があったので2撃目を放つ。

魔物は3500程まで数が減っている状態で乱戦に突入する。

魔物の種類が多くて全ては把握出来ないが、ゴブリンナイト、コボルトソルジャー、ウルフリーダー、オーク、オーガ、などが確認出来た。


俺は襲いかかってくるゴブリンナイトの攻撃を右に躱して、通り過ぎる時にナイフでゴブリンナイトの喉を裂く。

絶命したかは確認しないで、目の前のオークの頭を狙って手に持っているナイフを投擲する。

オークが直前で気づいて躱そうとしたのでナイフはオークの腕に刺さる。

オークが激昂して手に持っている棍棒で襲いかかってくるが俺はその攻撃を躱しながら隙を窺う。

棍棒を大振りで振るった後に隙が出来たのでその隙に一気に接近して頭にナイフを突き入れる。

その後も数匹倒して、警戒しながらも周りを見ると全体的に魔物に押されているようだ。

後ろの方で街を守っている騎士団も魔物の物量に押され、徐々に後退している。

このままでは街の中に魔物が入り込んでしまう。

街の中に騎士団が待機していると言っても多少は一般人の犠牲が出るだろう。


「おーい!ヒロ!」


呼ばれた方に振り向くとフレンドシップが此方に走ってきていた。


「ヒロ!このままじゃ街の門が突破される!俺たちは此処で高位の魔物を惹きつけるから!ヒロは門の所へ応援に行け!」


「了解です!」


俺は門に向かってダッシュする。

向かっている途中に騎士団は冒険者を置き去りにして街の中へ撤退している。

そのせいで門は突破され、数体の魔物が街に入り込んでいるのが見える。

俺は門に到着して直ぐに氷魔法で門を塞いで、押し寄せる魔物の群を迎え討つ。

街に侵入した魔物くらいは騎士団に片付けてもらわなければ困る。


俺はクレイゴーレムを作製して押し寄せる魔物を迎撃させ手数を稼ぎつつ俺自身も戦闘に参加して次々と魔物を屠る。


どれだけ倒しても魔物達は次から次に現れる。

とても長い間戦闘しているように感じる。

遠くの方で冒険者達の屍が見える。

中には内臓が散乱し、血が飛び散り、魔物の屍か、人の屍か、わからないような物もある。

俺は吐きそうになりながらも必死に魔物達を殺していく。


するとその時、急に魔物の群が2つに割れる。

その合間を縫って1人の男性が此方へとやって来る。

肌は薄い紫色で耳が尖り角が生えている。

瞳は真赤に染まっており、禍々しい紅色だ。


「そこの君、邪魔しないでくれるかな?」


声をかけてくるが言っている意味がよくわからない。


「邪魔するな?一体何のことだ?」


「折角この子達が一生懸命人間達を殺そうとしてるんだ。

少し特殊な能力を持っているみたいだけど、だからと言って邪魔されたら困るんだよ。」


男は魔物をこの子達と呼び、人間を殺すのを邪魔するなと言う。

俺の中では悪者確定だ。


「止めろと言われて止めるわけないだろう?止めさせたいなら俺を殺せばいい。」


「殺そうとしたら抵抗するでしょ?

面倒なんだよね、そういうのはさ。」


何なんだこいつは人やこいつの仲間だと思われる魔物が沢山死んでるのに本人は特に気にした様子がない。

それどころか殺すのが面倒ときた。


「抵抗はするさ、死にたくないからな。

でも死にたく無いから此処を通すかと言われれば、それは無いだろう。

街には戦う力の無い一般人が沢山いるんだからな。」


「そっかそっか、退かないか、なら死んでもらおうかな。」


「やれるもんならやってみ…グッ!」


俺が喋り終わる前に男は視界から消えて次の瞬間腹部に激痛が走る。

今になってやっと男に攻撃されたのだと気付く。


「まだ退かない?このままだと本当に死ぬよ?僕はこれでも紳士だからね、最後のチャンスをあげよう。

そこを退け。」


俺は痛みが走る腹を左手で抑えて抵抗する。


「ゴホッゴホッ…嫌だね…俺が死んでも、まだまだ冒険者がいるんだ、お前は負けるぞ。」


「あっそ」


男は何でもないように返事をして、また動き出す。

次の攻撃は集中して見ていたからか動きが少し見える。

男はパンチをしようとしているがギリギリで攻撃を避ける事が出来た。

だが男は空いた方の手で俺の首を掴むんで持ち上げる。


「まさか、避けるとは思わなかったよ。」


「グッ」


首を絞められて声が出せない。

俺は朦朧とする中、咄嗟にサンダーボルトの魔法を発動させる。


男は手を放して後退する。


「反撃できるとは、君、まだまだ元気だね。」


元気なものか、首絞めから解放されて俺は咳き込んで喋る事が出来ない。


このままでは直ぐにやられると思い、俺は咳き込みながらも、必死に魔法を放つ。

多種多様な魔法で時間を稼がなければ俺は此処で死ぬだろう。


「君凄いね、こんな沢山魔法を使える奴を見るのは初めてだよ。」


奴は感心してるが、こっちはそれどころでは無い。

やっと息が整い始めた。

奴は俺の魔法を受けてピンピンしている、多少服が焦げた程度だ。


今の俺の魔法では決定打にはなりえない。

だが時間を稼げれば誰かが助太刀してくれるはずだ。

だから、俺は諦めずに魔法を放ち続ける。

だが奴は澄まし顔でドンドン距離を縮めて来る。


そこで遠くから声が聞こえた。


「ヒロ!今行くぞ!頑張れ!」


この世界で何回も聞いたダズさんの声だ。

人を安心させる、その声に俺は今にも倒れそうになりながらも気合で魔法を放つ。


「あらら、他の人が来ちゃったから、遊びはここまでだね。」


「グフッ」


気がつくと男が目の前にいて男の右手が俺の腹部に深々と突き刺さっていた。

飲みあげてくる何かを我慢出来ずに吐き出すと、それは俺の血だった。


「お疲れさん、君はここで退場だよ。」


男はゆっくりと突き刺さった手を引き抜く。

俺は足から力が抜けて倒れてしまう。

回復魔法を自分にかけようとするが激痛で集中出来ずに発動しない。

力が入らない、身体が重い。



奴の笑い声とダズさんの声が遠くに聞こえる。



俺な二度目の死を覚悟した。

いつも読んでいただきありがとうございます。

日々ブックマーク数が増えるのを糧に頑張っております。

なにか不満な点などございましたら感想などで訊いてください。

出来る限り返信いたします。

次回は9/17の21時に更新予定です。

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