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転生大魔導士は異世界で命の尊さを学ぶ  作者: Billy Berry
決意の旅立ち
17/26

昇格試験開始

今日はEランクへの昇格試験の日なので朝から準備をして冒険者ギルドに向かう。


ギルドに着いたら中に入りカウンターに行って、受付嬢さんに話しかける。


「今日、Eランクへの昇格試験の為に朝からギルドに来るように言われました。

Fランク冒険者のヒロです。」


受付嬢さんは書類を確認しながら、返答する。


「はい、確かに試験の書類に名前が記載されてますね。

まだ他の受験者の方々が来てないので、後ほど声をかけますから、ギルドの酒場で座ってお待ちください。

あ、お酒は飲まないでくださいね?」


「はい、わかりました。」


俺はギルドの酒場に移動して適当な席に座り呼ばれるのを待つ事にした。

周りには夜に依頼をしていただろう冒険者と、これから依頼をしに行く冒険者がパーティ毎にテーブルを囲んで食事をしたり酒を飲んだりしていて、とても楽しそうだ。


俺はその光景を見て考え無いようにしていた事を、つい考えてしまう。

今も地球で過ごしているだろう家族や、仲の良かった良介や健太の事を。


両親は元気だろうか、俺が死んで泣いているだろうけど、俺は今も元気に、この世界、アースガイドで生きている。

できる事なら今すぐ地球に戻って、親より早く死ぬような親不孝者でごめんなさい、と謝りたい。


良介や健太は彼女と上手くいっているだろうか、俺が死んだ事で喧嘩してないだろうか、地球にいた頃は、ただ漠然と、いつか3人とも女性と結婚して、それぞれの家庭を持つものだと思っていた。

なのに俺だけ先に死んでしまって、本当に申し訳なく思う。

まだアースガイドに転生して2週間も経っていないのに地球の思い出が遠い昔の事の様に感じてしまう。


そんな、もうどうしようも無い事を考えていたら、声をかけられた。


「Eランクへの昇格試験を受けるFランクのヒロさんですか?受験者が集まったので移動してもいいですかね?」


優しそうな顔つきの男性が声をかけてきた、どうやら他の受験者も集まったようだ。


「二階にある部屋で今回やる試験の説明をするので私についてきてください。」


俺と他の受験者達は、その男性の指示に従い後ろについていく。

俺以外の受験者は、3人いるみたいだ。

その内2人は剣を腰の鞘にさしていて、残りの1人はローブを着ている。

俺を含めた4人は男性についていき、二階に上がる、資料室の奥にドアが有り、その奥は廊下になっていて左右にドアがいくつもある。

その内の右側にある最初のドアに男性が入り、俺たちもそれに続く。

部屋には椅子が並べられており、着席を促され受験者が全員座った所で先程の男性が話し始めた。


「今回の昇格試験の試験官を務めるサーガスと言います。

この昇格試験で命を落とす可能性が有りますが、覚悟は大丈夫ですか?」


その言葉に俺以外の3人は緊張した顔つきになったが、俺は元々1度死んだ身だから、そこまで生に執着はしてない。

別に死にたい訳ではないし、死なないように努力するが、前世の様に、人間死ぬときは死ぬのだ。

だから俺が真っ先に答える。


「はい、出来ています。」


俺が直ぐに返答したからなのか、試験官のサーガスさんは少し驚いた顔をする。


「あなたは、ヒロさんでしたね?死ぬ覚悟は出来ているんですか?死ぬのが怖くはないのですか?」


「はい、覚悟は出来てます。

ですが死にたいとは思わないので、死なない様に努力はします。

それに当然の事ですが、死ぬのは怖いですよ、でも怖くて動けないのが原因で死んだんじゃ怖がるだけ無駄なので、そうならない為に覚悟を決めています。」


「それで結構です。

死んで貰ってはギルドも困りますからね。

他の受験者の方は?」


試験官が聞くと1人の剣を装備した男が声を上げる。


「お、俺も覚悟は出来れるぞ!」


それに続いて他の2人も答える。


「俺もだ!」


「僕も覚悟は出来てる!冒険者になったときに覚悟を決めた!」


4人の答えを聞いてサーガスさんはまた質問する。


「では、もしも死にそうになったら、貴方達はどうしますか?」


その質問にも俺は直ぐに返答する。


「死にそうになる原因を排除出来るなら排除しますね。」


「他の方は?」


「俺も同じだ!死に物狂いで生き残る!」


「俺もエーブと同じだ!」


「僕も原因を排除する!」


サーガスさんは返答を聞いて今回の試験内容を話し始める。


「それなら結構。

では試験内容の説明に入ります。

今回はこの街から30km程離れた所にある盗賊のアジトの破壊と、盗賊退治が依頼内容になります。

私は先程、皆さんに覚悟は有るのか、死にそうになったらどうするのか、質問しましたね?

盗賊達も覚悟は出来ているでしょうし、死にそうになったら皆さんが言った様に必死で抵抗するでしょう。

ですが貴方達は向かってきた盗賊を殺さなければならない。

でなければ貴方達が死ぬことになる。

下位の依頼は雑用や魔物の討伐、薬草採取などが殆どだと思いますが、中位の依頼は人を殺す可能性がある依頼が出てきます。

護衛依頼や盗賊退治などです。

その時に迷わずに人を殺せる様になっていただきます。

もう気づいてるかもしれませんが、人を殺す事がEランクに上がる昇格試験に必ず入ってくる条件です。

何か質問はありますか?」


人を殺す…か、いつかこんな事が有ると思っていた。

今まで俺の関わってきた人には悪人の人は居なかった。

でも、世界はそうじゃない。

俺が知らないだけで世の中に悪人は沢山いるんだ。

俺は誰かに殺されそうになったら、その人を殺すだろう。

でも迷ってしまうかもしれない、今回の試験は相手が悪人だとわかっているから殺すのに躊躇しないように覚悟しておこう。


俺がそんな事を考えていると、先程エーブと呼ばれた冒険者がサーガスさんに質問する。


「あの、出発はこれから直ぐですか?」


「はい、その予定です。」


「わかりました。」


「他に質問は大丈夫ですか?」


俺も気になる事を質問する事にした。


「今回の依頼は俺たち4人だけでするのですか?それともサーガスさんも手伝うのですか?」


「盗賊退治は皆さんにやってもらいます。

ですがその他のサポートは私も手伝います。」


「はい、わかりました。」


「他の質問は大丈夫ですか?……無いようなので早速出発しますね。」


その後、サーガスさんが部屋を出て行こうとするのを俺たち4人が付いて行く。


そのまま街を出て、俺がいつも利用している森の方に歩いて行く。

移動中にサーガスさんが話し始める。


「移動中で申し訳ありません。

私がギルドで見た書類には、エーブさん、シールさん、テッドさんはパーティを組まれているので、知り合いだと思いますが、ヒロさんと会うのは初めての人もいると思うので、自己紹介をしてくれますか?名前、ポジション、得意な武器、趣味なんか言ってみましょうか。

では私から、名前は先程言いましたがサーガスといいます。

ポジションは前衛で武器はカトラスです。

趣味は自分で淹れた紅茶をユックリと飲む事です。」


俺も知らない人達と依頼を受けるのは嫌だったので、俺も自己紹介する事にした。


「次は俺が自己紹介しますね。

名前はヒロです。

ポジションは前衛、中衛、後衛全て出来て、武器は短剣と投げナイフです。

格闘術を使うので武器を使う事は少ないです。

趣味は余り趣味と言える物は無いんですけど、あえて言うならゴーレム作製ですかね。」


「ヒロさんはオールマイティなんですね。」


オールマイティとかなんか厨二病みたいで少し嫌だ。


「次は俺が自己紹介する!

俺はエーブってんだ!俺たち3人はパーティで活動してる!

ポジションは前衛で武器はロングソードだ!趣味は武器の手入れだな!」


エーブさんは茶髪の短髪で瞳の色も茶色い、見た目は20歳くらいだ。

市販の革鎧を装備して、背中には大きなリュックを背負っている。


「次は俺だ!俺はシールだ!

ポジションは前衛で武器はエーブと同じロングソードだ!

趣味は美味い飯を食うことだ!」


シールさんは黒髪で短髪、瞳の色はグレーで、年齢はエーブさんと同じくらいだ。

バナーさんの所が作製している俺の鎧と同じデザインの鎧を装備している。

こちらも大きなリュックを背負っている。


「最後は僕だね!

僕の名前はテッド!ポジションは後衛で魔法を使うよ!

趣味は読書だよ!」


テッドさんは、金髪で長さは肩まであって長めだ。

瞳の色は薄い青色で他の2人と違って長いローブを着ている。

この人も大きなリュックを背負って杖をついている。


みんなの自己紹介が終わってからは雑談しながら街道を進む。


「ヒロはリュックとか背負って無いけどアイテムボックスを持っているのか?」


エーブさんが荷物の行方を聞いてきたのでアイテムボックスがある事を伝える。


「はい、持っています。」


次はテッドさんが声をかけてくる。


「いいなー、僕達もアイテムボックス欲しいからお金貯めてるんだよ。」


「そうなんですか?じゃあ頑張って一緒にEランクに上がりましょう。」


次はシールさんが言う。


「そうだな!頑張ろうぜ!盗賊なんてケチョンケチョンにしてやるぜ!」


そのまま夕方まで歩いて、そこで野営の準備をして夕飯を食べ見張りの順番を決めて。

今日はもう寝る事にした。


いつも読んで頂きありがとうございます。

次回は9/11の21時更新予定です。

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