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夢ってさぁ、持たなきゃいけないもんなの?  作者: 蒼柳洋
流されてただけの高校生まで
7/11

中学生3

中学2年生の冬が来ると、田中のような奴らはどんどん増えた。

田中とは2年生ではクラスが分かれたが、テストが終わった後の

だるい、だるいという言い合いは変わらず続いていた。

中2のクラスで、仲が良かったのは同じ美術部の相沢だった。

田中とは違って学校外で会うことはなかった。

けれども、一緒にいるのは悪くなかった。

細くて、白くて、THE美術部の男子!って感じのやつだった。

見た目通りの繊細な性格をしていたと思うし、なんていうか達観している感じがあった。


相沢とは、いわゆる世間話が普段の会話の内容だった。

会話の内容はおおかた、進路のことだった。

相沢はテストの順位や何点取ったということを俺に言うことはなかった。

ただ話しぶりや先生にあてられた時の答え方をみていると、そんなに成績は悪くないように思えた。


「清水君はやっぱり知葉高に行くの?推薦とか取れるでしょ?」

「あー、どうだろ。まだ決めてない。相沢だって成績悪くないんだろ?知葉高に行けるんじゃないか?」

「僕は無理だよ、知葉南高を狙ってる。」

「へー、そうなんだ。」


こういう会話をしているときの相沢は、いつもどこか遠くを見ている感じがした。

俺は相沢が達観してると感じたのは、こんな会話からだった。

穏やかな声のせいもあったからかもしれない。

こいつ仙人っぽいと思っていた。

それに、俺にとって相沢のような、自分の限界を設定するやつは初めてだったように思う。

一番上があるなら一番上を目指す。そんな風にいつもどこかで思っていた。

スポーツなら才能のある、ないで限界はある程度決まっている思う。

でも、勉強はやればやるだけ伸びていくと思っていた。

俺の成績が良かったのは、何1つ夢中になれるものがなく、時間がただただ膨大にあって、その時間を勉強にあてていただけだった。

(一緒に遊ぶやつはいなかったしなぁ。うわっ、悲しくなってきた。)

だから、相沢も勉強時間を増やせば、成績は上がると思った。

けれども、相沢はそうは思ってはいなかったらしい。

結局、相沢は話していた通りに、知葉南高校に進学した。

ちなみに俺は、知葉南高校の偏差値を知らなかった。いいのか、悪いのかさえも。

卒業式くらいに相沢の進学先を聞いて、気になったから田中に偏差値を聞いた。

田中の答えは普通、だった。



今、相沢はどうしてるだろう?

成人式の時の同窓会に行ってない俺は

中学校の同級生の進路をまったく知らない。

会いたいとまでは思わないが、何をしているかくらいは知りたいよな。







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