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夢ってさぁ、持たなきゃいけないもんなの?  作者: 蒼柳洋
流されてただけの高校生まで
5/11

中学生1

中学生になって、この「将来の夢」問題は俺をさらに悩ませていった。

なんでかっていうと、それはテストで学力に順位が付けられるからだった。


「りん、お前何番だった?」

「え、一位。」

「うわぁ、まじかよ、やっぱすげーわ。」

「ども。つーか、中間終わったのにすぐ期末の勉強しなきゃなんねーな。」

「だよなー、くそだるい。」


中学生になって、田中とつるむようになった。

小学校の時に通っていた塾が一緒で、中学にはいって、クラスが一緒になったのがきっかけだった。

お互い、塾に通っていたくせに中学受験はしなかった。俺の場合は、電車で中学に通うのはめんどくさかったし、

両親も俺がしたくないならいい、というスタンスだった。田中の場合は、…詳しくは聞かなかったと思う。

(聞いていたかもしれないが、忘れた。ちなみに俺のあだ名はりんだった。)

テストが終わるたびに田中とだるい、だるいと言い合うのがお決まりだった。

教室の机に突っ伏して、田中は自分の順位表を穴が開くほど見つめていて、

そんな田中を、俺は頬杖をついて眺めていた。

何もやりたいこともなく、小学校の卒業を機に、ピアノ、バレエ、習字は辞めていた。唯一続けていたのが塾。

部活は美術部で、ほぼ帰宅部と同義だった。時間がありすぎて、勉強くらいしかすることがなかった。

勉強はやればやるだけ、褒められるし、非難されることのない時間つぶしだった。


「あーあ、もっと順位上げないとやばいわ。」

「は?田中、お前10位以内だろ?十分じゃないの?」

「バカ。十分じゃないって。知葉高校に行きたいなら、もっと上じゃなきゃ。推薦もらいたいし。」

「へー。推薦ね…まぁ次があるじゃん?それにサッカーの試合が直前にあったし。それなのに10番以内ってすごいじゃん。」

「んー…、そうかもな!」


意識の高い系だった田中は、いつも順位を気にしていたし、将来と言わないまでも進学先のことをしっかり考えていた。

俺は田中から勉強のことでよく相談を受けた。どうしたら効率よく勉強できるだとか、苦手な教科の取り組み方とか。

うまく答えられた記憶は全くないが、真剣に俺の答えを聞いてくれた田中が懐かしい。

勉強ができて、サッカーもうまい。真面目で、真黒く日焼けしていた、さわやか系の田中。女子に結構、もてたんだよなぁ。

今どうしてるんだろうか?結構有名な大学に入ったことまでは知っているが、それきり連絡は取ってない。

けれど、きっと一流企業にでも勤めているだろう。俺の中で田中は、さわやかイケメンだ。


そんな田中と俺の違いを痛感する思い出はたくさんあるが、中1の夏休みに、高校の説明会に行こうと誘われた時は驚いた。

夏休みといえば、大会が目白押しだ。俺は運動でなかったから、大会の日程は全く知らなかったが、

盆前にたくさん大会があるのは知っていた。

試合に負けたとしても、秋の新人戦に向けて、練習試合などあったはずだ。

そんな部活で忙しかったはずなのに、田中は説明会に行こうと俺を誘った。

俺は夏期講習と1泊2日の家族旅行ぐらいで、予定はスカスカだったから全く問題なかった。

説明会に行く高校は県内トップの知葉県立知葉高校。

今の俺でも思う、なんでそんなに急ぐんだろう?って。中1で高校の説明会とか早すぎじゃないか?って思っていた。


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