表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢ってさぁ、持たなきゃいけないもんなの?  作者: 蒼柳洋
流されてただけの高校生まで
4/11

小学生3

俺の両親は、俺が高校生の文系か、理系かの選択する時まで、

将来の話を俺とすることはなかったと思う。

軽い世間話程度ならあったかもしれないが。

勉強しろって言われたことも皆無に近い。

放置されていたとは思わないが、長男の俺と、妹、弟への扱いが違うんじゃないかと何度も思った。

別に両親と仲が悪かったわけじゃない。長期休みのたびに1泊2日くらいで家族旅行をしていた。

でも実際は母は看護師、父は医者で忙しすぎたんだと思う。

母が家に帰ってくるのが遅かったから、習い事は他の友達よりも多くしていた。

習字にに水泳、ピアノ、バレエ、塾。どれも嫌いじゃなかった。けれど、夢中になれるものはなかった。


俺の小学校の卒業式では、1人1人卒業証書を受け取って、そのあと卒業証書を胸に抱いて、壇上で将来の夢を発表していた。

俺はなんて言ったか覚えていない。公の場だったから、おそらく何かの職業であるのは間違いない。

俺が小学校の卒業式で覚えているのは、2人の同級生の言葉だった。


1人は「将来は水泳でオリンピックに出て、金メダルを取りたいです。」

もう1人は「バスケットボールでプロになって活躍することです。」


俺はこの2人の顔をまったく覚えていない。けれどもこの言葉は覚えている。

鮮烈だった。衝撃を受けた。俺のように適当に言うこともできたはずなのに、

その言葉は、その声音は本気さを俺に伝えた。

水泳で金メダル取りたいって言ったやつは、市内の大会でいつも優勝していた。

バスケのプロになりたいって言ったやつは、学校中にバスケのうまいやつってことで知られていた。


すげーよな。プロとか目指すなら、小学生とか、もっと小さいころから練習するんだろう?

有名なプロ野球選手は毎日素振りをしていたって言うし。

なんで目指せるんだろうな?他にもスポーツならたくさんあるじゃないか。

スポーツに限った事じゃない。世の中にはたくさんのプロがあるじゃないか。

棋士もそうだろ?囲碁だってチェスだってある。

なのになんで、たった1つに決められるんだ?環境?運命?


もしそうなら、俺には運命がなかったってことか?まぁ、それなら、仕方ないか。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ