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夢ってさぁ、持たなきゃいけないもんなの?  作者: 蒼柳洋
流されてただけの高校生まで
2/11

小学生1

 俺が一番嫌いだった質問は、将来何になるの?だった。

大概、俺は答えられず、なんて答えようかと考えていると、

質問してきた相手は決まって

医者でしょ?お父さんはお医者さんだもんね、だった。

なんで決めつけるんだ?ってむかついたけど、

他に答えもなかったから、いつもそうだよって俺は答えてた。


本当に本当に俺はこの決めつけた答えが嫌だった。

親が医者だからって、子供も医者になるのか?そんなルールないだろうが。

質問するやつらにもイラついたが、そのイライラをさらに増したのは、

俺が他の答えを持っていなかったからだった。


俺がぼんやりと、「夢」について考えるようになったのは、

将来の夢を作文にしろっていう宿題が出てからだった。

一応記憶では小学校1年くらいだったはず。多分。

で、なんでこんなことを覚えているかというと、

将来の夢が思いつかず、真剣に悩んだからだった。


俺は(自分でいうのもなんだが…)真面目。宿題なんかは学校から帰ってきたら

さっさと済ませるタイプ。夏休みの宿題で、終わらずに焦ったことは皆無。

そんなタイプだから、作文もさっさとやろうとしたわけだ。

作文は楽勝な宿題の部類だった。(今もつらつらと文章を書いているわけだし、原稿用紙2,3枚なんて楽勝。)

その俺の手がまったく進まなかった…と記憶している。


その宿題は、たしか、学校参観日にむけて担任の先生が出したものだった。

作文を書く時間は通常の宿題より多くあった。

でも本当に書けなかった…


で、悩んだ末に、学校の先生って書いたような気がする。

書いた内容よりも、悩んだことが記憶に強く残っている。

それと同時にすごい違和感があった。

俺の夢は「学校の先生」じゃなかった。

けれど、じゃあ本当の夢は?って聞かれると、残念ながら

俺の頭にはなんの職業もなかった。


ただここで、医者って書かなかったのは、多分

周りのやつの決めつけた答えを否定したかったからだったと思う。

それ以降も、小学校の卒業文集の作文には、

将来の夢に医者以外の職業を書いた。


別に親父が医者であることを嫌っていたわけじゃない。

ただ周りの決めつけがどうにも耐えられなかった。

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