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逸般人たちが勇者召喚に巻き込まれたようですよ  作者: satori
第一章 逸般人が異世界からきたようですよ
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008

帰りは走らずゆっくりと帰ってきたのでもう空は赤くなっていた。


村の門が見えてくる。

門番をしているガロが俺が歩いて来ているのに気付いたようだ。


「遅かったなどこまでいってきたんだ?」


「結構奥までいってきましたね」


「………とんでもないものに追われたようだな」


「あれ………分かります?」


俺は以外に思った。

しっかりと埃は払ったし、髪も整えたし、わたされたジャケット含めて破損した所はないし。

後、考えられるのは、相手の臭いだけどあの熊には触れもしていないから、臭いはついていないと思うけど………


「何度も地鳴りがしたし、果てはあんな砂埃が見えれば、何かあったかくらいは分かるだろう」


「そうですか」


というか、ここからも見えたのか………それと感じられたのか、どれだけの衝撃だったんだよ。

本当にまともにやり合わなくて良かった………


俺は苦笑いしながら言葉を濁した。


「それでどんなやつとやり合ったんだ?」


「ええと、八メートルくらいの全長の鉄色の体毛を持った熊です」


「お前そいつは、どこで、どうやって振り切った?」


「ここから、場所は五十キロ程のあの砂埃の空に巻き上げられた場所で、どうやってかは、逃げる俺に嫌気がさしたのか、地面を弾丸のように飛ばす攻撃をしてきたので、その最中に逃げました」


「…………本当だな?」


「はい」


「まあ、ならいい。そこまで遠ければここまで来ることはないだろう」


「見つかって追われただけで、攻撃はしていないので来ないとは思いますけど」


「…………」


俺の発言にガロは難しそうな顔をしている。

何か問題があったのだろうか?


「あの………まずかったでしょうか?」


「いや、そこまでまずいことではないと思うが、警戒はする必要があるだろう。まあ、村長がいる限りこの村に近づいてくることはないだろう」


そういえば色が違ったけど、グエンさんの家の応接室の床に敷いてあった絨毯は、あの森の深部で遭遇した熊の背中と同じくらいの大きさだったな………

グエンさんは、あれと同じくらいの魔物モンスターを一人で討伐したというか……すごいな………


俺は、今、あれを倒せる気がしない。


俺はふと門番をしているのがガロだけで、村から出て行くときにいた他の人たちはいなかった。


「もしかして、もう閉じる時間でしたか?」


「いや、狩りに出ているものたちがもう少しで帰ってくる。そいつらが帰って来たら閉める。

お、ほら、丁度帰ってきたぞ」


ガロが指さしている方を見ると剣や槍、弓を持っている屈強な男たちと、多分狩りの見学と荷物持ち(ステータスカードにしまわせる)をさせることが目的だろうと思う、幼さの残る青年たちが歩いてくる。


門に近づくと、もう警戒する必要がないからなのか、武器をステータスカードにしまった。


「おう、ガロ今帰ったぞ」


先頭に立っている二メートル近い身長で、どことなくグエンさんに似ていて、もっとも屈強そうな戦士がいった。


「おかえり。ガウル」


ガロがガウルと呼んだ男が俺を見た。


「おい、ガロ。こいつはどうしたんだ?」


「森で亜人デミ・ヒューマン狩りをしていた人族ヒューマンから、リリを助けてくれたのです」


「もしかして、アイツらかまだいたのか………」


ガウルは歯から異音が聞こえる程食い縛っていた。


「おっと、え~と」


怒気は直ぐに霧散させ、俺の方を見てきた。


ん、名前だろうか?


「ハヤテです」


「ハヤテか、リリを助けてくれて感謝する」


「いえ、実は気付くとこの森にて、リリちゃんに案内してくれなかったら迷うところでした」


「あははぁ、面白い奴だな」


笑われた。


まあ、気付いたら森にいたという時点でもう迷っているか。


「あ、ガロさん。さっきまで俺も森で魔物モンスターを狩っていたのですが、それもここで渡した方がいいでしょうか?」


「ん、ああ。もらえるなら、ありがたいな。カードにしまってあるのか」


「はい」


「だったら、彼らが今から解体作業をするから、それについていくといい」


「分かりました」


「そういえば、ガウル。森の方で変な事はなかったか?」


それは俺があの熊に追われていたからか?


「ん?何度か地鳴りがしたが、あれは森の主が狩でもしていたのだろう。

そのおかげで、奥の方から魔物モンスターが逃げてきて狩りがはかどった。

それがどうかしたか?」


ガロが俺の頭に手を置いた。


急にどうしたんだ?


「こいつがその主に追われていたようだが、お前らに危険がなかったのならいい」


「ほう、そいつは………まあ、狩りが上手く行ったからいいか」


ガウルは本気でそう思っているようだ。

だが、他の戦士たちと青年たちはそう思っていないようで、思いっ切り睨まれた。

流石にこれは申し訳ないな………


「まあ、いい。保存庫の方にいこうぜ」


ガウルは俺の首元を掴んで、まるで猫掴みをするように持ち上げた。


「ちょ、ガウルさん」


「お前軽いな。ちゃんと食ってんのか?」


「食べてますって、下ろしてください」


俺がそういうも無視され、そのまま連れていかれた。





ガロのいった保存庫についた。

結局、俺はあのまま連れていかれた。

結構外を歩いている村人たちがいたので、かなり恥ずかしかった。


「それじゃあ、解体するからまずはあっちだな」


そういってガウルは横にある大きい倉庫のようなものを指さした。

俺に向かっていっているようだが、持ち上げられて運ばれている俺にとっては、いってくる意味があるのかと思う。


そこで俺はやっと下ろされた。


中に入るとガウルは扉の横についているスイッチのようなものを押すと中が照らされた。


魔力を光源から感じるので魔法の一種なのだろうか?

ガウルからは、魔力を発しているような感じはしないので、魔法を込めた道具といった感じか?


「よし、それじゃあ。解体を始めるぞ」


戦士や青年たちは、中にある机に魔物モンスターの死体を出した。


一人につき一匹しか出さないのは何故だろう?


俺は見ていてそう思った。

まあ、一匹づつ出して解体するのだろう。


俺が持ってきたのは、狼九匹と深部の手前で倒した猪二匹。

ふと、ガウルが机に向かって解体をしているのに、立っているものたちを見つけた。

解体ができないのかも知れないが、取り敢えず空いている机に全部出しておいた。


俺がそれを出すと、解体をしているものたちが、一斉にこちらを見て来た。


ガウルが俺の方に歩きて来た。


「お前がこれ全部狩ったのか?」


「え、はい」


「全部カードにしまってきた?」


「はい」


「………」


あれ、何かまずいことでもあったのだろうか?


「まあ、いい。

おい、本来は狩ったヤツが解体するのが習わしだが、手が空いている奴は手伝え」


取り敢えずは、解体するのが先なのだろう。


全員で解体を始めた。

もちろん俺もやる。


むこうの世界でも動物の解体をしたことがあるので問題ない。

何故かは知らないが、サバイバルのようなことを訓練でしたことがあった。

その時はまるで、軍隊みたいだなと思いながら一週間くらい森で生活した。

そこで何回かやってなれたころに何故か、他派のものとのゲリラ戦?遭遇戦?のようなこともした。


………今、思い出しても絶対におかしいよね。


〈スキル・生産〈解体〉を入手しました〉


全ての解体が終わるころにそんなスキルを入手した。


これって生産?


魔物モンスターには、魔石と呼ばれるもの心臓の横にあり、魔石が魔力を作っているそうだ。

それは加工すると、ここを照らしているような魔法具の動力になるそうで、街もしくは移動商店の店主に持っていけば売れるからといって、俺が倒した分はわたされた。


その後、皆自分用に肉の塊をもって帰るものをキープして、残った分を隣の保存庫に入れた。

そしてガウル以外のものたちは、その肉をもって帰っていった先に帰った。


「お前相当強いみたいだな」


楽しそうに笑って話しかけてきた。


「そんなことはないと思いますが?」


「ハハハ、謙遜するな。あの量の魔物モンスターを一日で狩ってこられるのだ。弱いはずがないだろう?」


声を上げて笑いながらそういわれた。


「明日は狩りに出ない。明日闘わないか?」


「明日ですか?」


「そうだ別にいいだろう?」


「明日はグエンさんにも戦おうといわれているのですが……」


「なっ!!マジかよ。ちっ!!親父め………じゃあ、その後ならいいか?」


「別にかまいませんが……」


「お、ホントか?ならいいか」


笑いながら答えた。


やっぱり親子か……そろってこれとか大丈夫なのだろうか?

まあ、俺がどうこう考えるだけ無駄だな。

それにしてもよく笑う人だ。


「ところで、リリちゃんに家に来てくれといわれているのですが、どこか教えてもらえませんか?」


ガウルさんはそれを聞いた瞬間、ピクリと聞こえそうな程表情が変わった。


「今なんていった?」


「家に来てくれとッ!?」


言葉をさえぎり頭部へ拳が飛んでくる。

俺は身体を横に倒し、ギリギリで拳を回避した。


「何をッ!?」


倒した方向から足が飛んできた。

その狙いは正確、顎を垂直に打ち上げるように狙ってきている。


集中。


急速に世界が凍る。

周囲から聞こえる音が遠くなっていった。


その中でも相当な速度がある。

俺は身体が多少重く感じた。

これはむこうの世界の時同様にで、今は自分が動くことができるよりも速く思考しているとうことだろう。


俺はつま先から足首、膝、股関節を一斉に駆動させ地面と垂直に跳んだ。

ガウルさんのつま先をギリギリで回避し、その跳んだ勢いを使い軸足を払う。

さらに蹴りあげ伸び切った足の膝を極め倒す。


「ごはっ!?」


そのような対応がされると思っていなかったのか、全く受け身を取ることなく地面にたたきつけられた。

さらに、肺の中にある空気を強制的に吐き出された時、独特の唸るような声を出した。


少々やり過ぎたか……


もう大丈夫だろうと思い集中をとく。

凍り付いた世界が動き出す。


物凄い低音のように聞こえていた周囲の音も、普通の高さに聞こえるようになった。


「いったい何なんですか?」


「ぐうぅ、すまん。娘がそんなことをいったと聞いたからつい身体が動いた。ところで身体がまったく動かんのだが離してくれないか?」


「え………娘?」


「ん?そうだぞ。というか、親父にあっているんだろ、知ってたんじゃないのか?」


「いえ、聞いてませんが?」


「まあ、いい。これ離してくれないか?」


ガウルは自分の足を見ていった。


「………分かりました」


俺は極めているのをといて立ち上がった。

その後、ガウルは立ち上がり腰に手をまわし、身体をそらして骨をならし、さらにのびをした。


「ふぅ。今のなんだ?見たことのない技だったが」


「流石にそれはいえませんよ」


「まあ、そうだろうな」


聞けるとは思っていなかったようだ。

あっさりと引いた。


「で、何でリリがお前を家に呼んだんだ?」


「え?お礼っていっていましたけど?」


「………まあ、いいだろう。

恩は礼をちゃんと返せと教えていたから、そういったんだろう」


「そういえば、リリちゃんが外にいた理由は、母が怪我をしたといっていたのですが、大丈夫なのでしょうか?」


「何!?」


「え?」


俺のいったことに過剰ともいえる反応をした。

リリが俺を家に呼んだことを聞いた時よりも反応が速い気がする。


「今すぐ、家に行くぞ。ついて来い」


ガウルさんは、そういうと一目散に駆け出した。

俺が声をかける暇もなく、完全に無視をする勢いで解体所を出た。

しかたないので俺も追いかけるべく走り出した。


日刊ランキング2位にランクインしました(#^^#)


評価、お気に入り登録、ありがとうございます<(_ _)>

皆さまに満足していただけるように頑張ります。


次話は2/4 12:00です

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