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逸般人たちが勇者召喚に巻き込まれたようですよ  作者: satori
第一章 逸般人が異世界からきたようですよ
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006

グエンさんの家から出た俺はガロに案内されて村の武器庫に来ていた。

それはもちろん俺が何も持っていなかったからだ。


「さあ、好きに選んでくれ」


「すごいですね」


「そうだろう。この森からとれる木や魔物モンスターの牙や骨等を使った武器は、他の町の武器屋にあるものよりもいいものだと、移動商店の店長はいっていたぞ」


中を見れば、様々な大きさや形の武器がきれいに整頓されていていた。

武器の一つ一つから結構威圧感が感じ取れる。


短槍を持ちあげてみると見た目以上に重さがあった。

元々の素材から重いのか、それともいくつもの木材を重ねて圧縮して作られているかは分からないがどちらかだろう。

見た目は結構凝っている。

持ち手は、大理石のようで滑らかそうな見た目をしているのだが、しっかりと肌に吸い付く。


その場で軽く振ってみた。


「………すごいですね」


意識していなかったが声が出ていた。

重心も完璧でとても振りやすい。


「そうだろう。人数は少ないがこの村には、〈鍛冶〉、〈研磨〉、〈木材加工〉、〈革加工〉のスキルを持っているやつがいてな、そいつらが作る武器や防具はいつもいいんだ」


いつもか……軽く見渡してそのことと古いものよりも、新しいものも方がほんの少しであるが、確実に品質がいいことに気付いた。

ガロのいった何時もいいということから予想して、スキルとは技能が衰えることがなくなり、常に最高のコンディションになるものではないかと思い浮かんだ。


証拠に森で動いた時、確実に今できる最高の動きができたと確信できるほどだった。


「グエンさんは何か持っているのですか?」


俺の予想では大剣とかかなと思っている。


「おいおい、個人のスキルを聞くのはマナー違反だぞ?まあ、使う武器くらいならいいか〈大剣術〉だ。

この村に昔からある巨体な牙から作られた大剣を使っている。あの森の主も真っ向から倒したのだ」


あれ?俺は武器のことを聞いたつもりだったのだが……スキルのことも教えてくれた。

後、スキルのことを聞くのは、マナー違反ということもついでに分かった。

さらにグエンさんは、複数のスキルを持っていることは分かった。

そしてあの大きさの魔物モンスターを真っ向から倒すほど強いということか………どれだけ強いのだろう?


了承してしまったことに後悔した。


「それじゃあガロはどうなんです?」


「俺か?俺は〈槍術〉だけだ。いくつも持っているやつは、毎日魔物(モンスター)の討伐や訓練を行っている様な奴くらいだ」


ふむ、村にいるようなやつは一つくらいなら持っていて、職業武人みたいなものならいくつも持っていることは不思議ではないということか。


「それじゃあお前さんはどうなんだ?」


「〈槍術〉、〈脚術〉、〈柔術〉」


「お前さんって見かけによらず結構強いのか?」


「………リリちゃんにも同じようなことをいわれましたね」


苦笑しながら答えた。

そこまで俺の見た目は酷いのだろうか?


「といっても、お前さんの歩いている所を見ればある程度強いやつなら、弱いとは思わないだろう。まったく頭や軸が動かない」


グエンもガロと同じような感じで俺がある程度できるっていうことを見抜いたのかな?


「ところでガロこれと………これとを貰っていっていいですか?」


俺は自分の身長と同じくらい短槍とそれの一,五倍くらいの長さの剛槍を持っていった。


「ああいいぞ。お前さんが俺達にまったく何か求めようとしないから困ってたんだよな」


「いや、別にリリにはここまで案内してもらいましたし、ガロやグエンさんにはここ一日いさせてもらいましたし」


「それじゃあ、恩を返していることにならない」


俺は気にすることはないと思いながら、まあ、それでももらえるものは貰っておけばいいかと考えて黙った。


「ところで、ガロこれの感覚をつかみたいので、森へ魔物モンスター狩りにいきたいのですが」


「俺に案内しろってことか?」


「そこまではいいません。外に出た後に中に入れるようにしておいてくれませんか?」


「そうか」


何というか逆に案内したかったのではないのかと思う感じがするが、色々と試したいことがあるから一人の方が都合はいい。

明らかにやばそうなもののあるから、まあ今日は全部試すつもりはないけど。


その後、そのまま外へ行こうとする俺にガロから外に出るのなら、最低限防具を着ろといわれた。

今、着ている学生服を預けてレザージャケットを借りた。

ガロがいうには、よっぽどのことがない限り破れないそうだ。


うっすらとだが、あの絨毯に見えた光が見えた。

だが、彼らが着ているレザーアーマーからは見えないので首をかしげた。


その時ガロは、やはりかと呟いていた。

俺は何かまずいことでもしたのかと思ったが、特にそれ以上何かあった訳ではなかった。

だが、それは逆に何かミスを犯したのかと俺を不安にさせた。


村から出る時、ほかの見張りの人が出して大丈夫かとガロへいっていたが大丈夫だと断言した。

だが、俺も他の見張りがいったことは、少しだがまあ仕方ないだろうと思った。

多分、俺が外に出てもし俺が、俺が連れて来たやつらの仲間だったとすると、村の中に仲間を入ることには成功している。

さらに外から仲間を連れてくる可能性があるから、恐らくそれを危惧しているのだろう。



彼にそんなに信頼されるようなことをした覚えはないのだが………






「ふぅ」


既に村から十数キロは離れた。

ここまで走ってきたがほんの十数分しかたっていない。

速く、速くと念じるとそれに応じ、足が地面を蹴る時に生み出す勢いが増していった。

しかも、剛槍を手に持っているにもかかわらず、重さをほとんど感じなかった。


村から十分に離れたと感じたところで俺は足を止めた。


ステータスカードを見ようと思うと手の中に即座に現れる。

リリも同じように手の中に出していたので、誰もがこれは持っているのだろう。

クノがいうにはこれは、表示を偽れるということだったが、それもまだできるかは試していない。



名前 : 黛 颯

職業 : 【魔王】【魔導士】【魔槍士】

種族 : 人族ヒューマン


体力 :E-

筋力 :E+

敏捷 :E+

器用 :B+

魔力 :S+


称号

〈魔王〉〈魔神継承者〉

スキル

・戦闘

〈槍術〉〈柔術〉〈脚術〉

・魔法

〈思考詠唱〉

・生産


・特殊

〈思考加速〉〈並立思考〉〈魔力操作〉〈時空庫アイテムボックス〉〈言語翻訳〉〈魔王化〉



取り敢えず自分の能力を表示させてみた。


以前と変化はない。


あの良く分からない場所にいた時は、動揺していてこれについて説明を聞くことを忘れていたので、ハッキリいってもう一度見たところでもこれらが何を意味しているか全く分からない。


特に自分の能力を表していると思う部分に首を傾げる。


多分、Aに近づいてくほど高くなってその上にSがあるのだろう。

その予想があっていれば、魔力という向こうの世界に存在しなかったものが、なぜこんなに高いのかと思った。


さらには、魔法という項目での〈思考詠唱〉、特殊という項目での〈魔力操作〉。

このスキルについて予想が正しければ、俺がすでに魔力を使う技能を持っているということを示しているのだろうか?


極めつけは〈魔王化〉だが……これは何だ?

今別っていることだけでは、いくら考えても分かる気がしない。


………考えるのは新しく情報を得られた時に、自覚はしてえるけど頭脳労働は得意じゃないからね。


取り敢えず、感覚を掴む為に戦闘行為をしてみよう。


結局、それが一番だろう。


俺は目を瞑り耳を澄ませ、周囲から情報を集めようとする。


目を閉じ、耳に意識を集中させたその瞬間、耳の拾う音が一気に増える。


丁度良く俺を狙っているからか近づいてくる音が複数あった。

その移動速度はかなり速い。

俺がここまで走ってきた速度と比べると多少早いくらいかな………いや、いくら速くなったといっても、野生動物に勝てるわけないか。


俺はさらに集中して足音から情報を得ようとする。

足音がする間隔からイヌ科に属している類いではないかとあたりをつける。


意識して辺りを探ろうとしていたからなのか、急に絨毯やジャケットを見た時に見えた光が目に直接映った。

光の数は八つ足音の数と一致する。

それは意図していなかったので、入っている情報が一気に頭の中に増えて正直気持ち悪くなった。

さらに集中するとその光は、俺に接近してくる魔物モンスターの輪郭を伝えた。

予想通りイヌ科系の動物で多分オオカミではないだろうか。


だが、予想以上に向かって来るオオカミは大きかった。

俺が知っているものの倍以上ある。

その割には足音が小さい。

見た目よりも体重が無いのだろうか?


俺はそれを意識しながら意識の外へ持っていくという。

言葉にすると矛盾が生じる行為をした。


これは、紫苑姉と稽古をする時に自分の身体を制御しながら視覚、聴覚、触覚をそれぞれ研ぎ澄まし、さらにその情報から先読みを為に編み出した技術だ。


今更ながらに、これができるからステータスカードに〈並行思考〉があるのかと思った。


それを考えると自分ができることと考えて、そんなものができると思っていないもので増えているものは、〈思考詠唱〉と〈魔力操作〉、〈時空庫アイテムボックス〉、〈魔王化〉ね……何故こんなものがあるのか謎が深まるな。


十数メートル先でオオカミたちは散開ばらけ始めた。


おっと、今はこちらに集中しないとか。


正面と背後から同時に襲い掛かってきた。

ちゃんと交差して互いにあたらないようになっている。


俺はそれをしっかりと引き付け、身体を倒し攻撃を回避する。


攻撃を空振りしスキをさらしている背後から迫って来るオオカミに、槍を短く持って短刀を使うようなイメージで、刃を首に滑り込ませて相手の勢いを利用し血管を切断した。


さらに倒れていく勢い利用して蹴りを放つ。


狙ったのは首。


さらに正確にいうと首の骨。


足から骨がずれていく手ごたえを感じた。


即死したようだが、俺の希望通りの結果にはならかった。

骨をたたき折るつもりであったが、そうはならず一応狙っていた次善の結果で、オオカミは骨をずらされて死亡した。

足から感じる感触で骨の硬度を予想する。


予想以上に硬いな………刃を骨にあたらないようにしたのは正解だったか。


そう思い次の目的に向かって動く。

後、一、二匹倒せば逃げるだろうと思いながら頭部へ向かい払いを放つ。


それをオオカミたちは身を引いて躱した。


俺はオオカミたちが動こうとする瞬間、光が集まっている心臓の辺りから足に流れていったことが見えた。


ん、これはもしかすると………


思い浮かんだが仮説を試す為に、躱せるだろうと思うくらいに少し速度を上げて槍を払った。


結果は予想通り。

より素早く動こうとする時は、そこからさらに多くの光が集まった。


これは筋肉の伸縮音や視線、相手の癖に加えて見切りや予想に使えそうなものが増えたかな?


さらに俺はもしかしたら、これが魔力ではないのかと思った。


その後は、かなりやりやすい戦いだった。

何故なら、攻撃に移るタイミングがより容易に予想できるようになったので、武器を動き先で固定して待っているだけで相手を倒せたからだ。


俺が五匹目を倒したところでオオカミたちは逃げていった。


「ふぅ」


完全に逃げていったことを確認して一息ついて身体から力を抜いた。


やっぱり実践に勝る発見はない。


俺はオオカミの死体をステータスカードにしまった。

これはすでに槍をしまうことできることは、事前に確認できているのでスムーズに終わらせた。


俺はもう少しで、何かつかめるそんな感覚をいだいた。


ここで帰るべきだったのだが、さらなる魔物モンスターを探して森の奥へ向かった。


本日12:00に次話を投稿します

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