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逸般人たちが勇者召喚に巻き込まれたようですよ  作者: satori
第二章 逸般人にテンプレ?が降り注ぐようですよ
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026

予定通り更新ができず申し訳ありませんでした

俺はロドリグさんとの話を終えた頃には、空は赤く染まっていた。

その変化は人が苦難の中にあっても、時の流れは不変であることを強く俺に感じさた。


はは……そんなこと昔からいくらでもあった。良くわかっていたはずじゃないか………


そんな考えが頭に浮かんだ自分を笑った。

こっちの世界に来て、こんな短期間で思考の傾向が変わったのではないかと思ったからだ。


道行くものたちが俺を見て呆然とした顔をしてきた。


俺はそんな顔を向けられたことが分からなかった。

笑ったとは言え、それは本当に一瞬のことだったからそれを見ていないものの方が多かったからだ。


俺は首を傾げながら、アンリさんの店に向かって歩いた。


っ!?


もう少しでアンリさんの店につく場所まで来たところで、ギルドの方向から巨大な魔力といえばいいのか、存在感といえばいいのかよく分からないがなにか巨大なものが発生したのを感じた。

さらにそれがアンリさんの店に向かっている。


俺はそれが今日やったことが関係しているのはないかと思った。

エマはあんな感じだから、俺の中では問題を何度も起こしていると勝手に思っている。

まあ、問題は起こそうがなんだかんだで、警備員沙汰にはなっていなかっただろう。

しかし、今回のことは見過ごせなかったのだろうか?

それとも俺がギルドでお越した騒ぎと今日のことが原因なのか?

どれかは分からないが、ギルドの方から出てきた強大な魔力を持ったものが向かっている。


今は何が原因かわからないが動いたほうがいいだろう。


俺は道にいるものたちの視線が外れた瞬間、地面を蹴り建物の上がり屋根から屋根へと飛び移りながら走る。


それにしてもアンリさんの話によれば、飛び抜けて強い奴っていないんじゃ無かったのかよ。


俺は走りながらそう心の中で毒づく。


感じる闘気と言えばいいのか、存在感と言えばいいのか分からないが、それは森で見た巨大な熊にに迫っていた。


かなり速い俺の〈心眼〉にうつるシルエットは女性のものだった。

だが、そのものが放つ魔力の前にはそんなもの、かけらほどの安心感も抱かせない。

今日シュカが見せた魔法といえばいいのかはまだ情報が少ないのでわからないが、それは魔力が大きければ性別や体の大きさは些細なことであると、言葉による説明を受けるまでもなくこの世界では魔力があれば関係がないと確信させた。


先につけるか……


俺はそう思いながら走っていると、急にそれはゆっくりと歩いてるような速度であったが、爆発的に加速し高速で動き始めた。


探知されたか?まあ、気配はできる限り消してはいるがそれは、下にいる住人たちに分からいようにしている程度だから気づくだろな。


気づかれてしまったのではしょうがないとし、俺はさらに速度を上げた。

しかし、それが急に方向をかえ俺の方へ向かってきた。


俺はハッとして建物の陰に隠れてる為に地上に降りる。


「…………」


降りている途中で急に加速して先程まで俺のたっていた場所に立っていた。

直接見たことの無いものを〈心眼〉を通してみる時は色のついおらず、モノクロのシルエットとして俺の脳裏に映る。


直接目に映ったその瞬間、そのシルエットに色がついた。


太陽は完全に沈み切り空はまたたく星と漆黒のベールに包まれていた。


そんな中であっても鮮明に目に映る腰まで届く真紅の長髪を風に揺らし、鷹のような鋭く怪しく光る金色〈こんじき〉の瞳で俺を視下ろした。

肌は幽鬼のように白く、着流しのようなものを着ている。

体格は筋肉質であるが女性的な膨らみもある。

だが、それ以上に目を引いたのは、こめかみ、前頭部、頂頭部の間より捻じれながら天を突くように伸びる長い角。


それを見て頭をよぎったのは鬼。


俺の知っているものとは細部は少々違うが、和服と思えるものを着ているのでよりそう思わせる。


…………しくじったな、はめられたか。


完全に軽率としか言えないような行動を取ってしまった。


「お前は………」


女性としては低い声。

俺の姿を見た瞬間、眉間にしわを寄せた。


「昨日登録に来た白い餓鬼か」


「いきなりなんですか?

餓鬼と言われるのは納得がいかないのですが?」


俺はその発言には多少いらだちを感じるふりをした。

どうにかして、誤魔化せないだろうかと頭の中で考える。


「ふっ」


彼女は俺の発言を鼻で笑うと、不意に彼女の姿が消えた。

それを確認した瞬間、〈思考加速〉〈並行思考〉〈心眼〉が発動し、脳が戦闘をするためのそれへと切り替わる。


下っ!


見つけると同時に顎の下から突き上げるような斬撃が飛んで来る。


俺は攻撃を探知した瞬間、全力で後方へ跳んだ。


なっ、何時抜いた!?


俺は急な攻撃といつの間にか抜かれていた大太刀を見て驚愕した。


俺は彼女が持っていた武器に一番驚いている。

それはおそらく過去にも【勇者召喚】があって伝えたのだろうと思う。

それと同時にこの世界は、どれだけ関係のない人間を巻き込んでいるだろうと思った。


だが、それは今考えることではないな。


「いきなり何するんですか?」


俺は内心を気取られないように隠し、余裕があると見せる為に呆れたような声を出し、まるで子供を諭すような口調で言った。


さてと、どう反応してくるだろうか………


彼女の返答ともいえばいいのだろうかそれは、俺の発言には返事も反応もせず攻撃を繰り出して来ることだった。


空を切る音が響く。

彼女の大太刀が凄まじい速度で振るわれる。


ちっ………


俺は内心で舌打ちし、地面を蹴り屋根に上がった。


俺は〈心眼〉を使って建物を瞬時に確認し移動する方向を決定させた。


俺が動いた方向はアンリさんの店の反対。


どう来るだろうか?


内心ではかなり不安だ。

もし目的が俺でなければ、無視をされて店の歩行へ行かれてしまっては、かなり恥ずかしい状態になる。


彼女は俺を追ってくる。

それを見て俺はステータスカードを空中に出し、そこから宙に短槍を出す。

槍を手に取りステータスカードを消す。


これは直接ものを出すことは〈時空庫アイテム・ボックス〉を使わないとできなかった。

その状態で直接ものを出すと〈異世界人〉であるか、時空神の加護を持っているものと思われかねないので、少し面倒だがかかる時間はほんの一瞬なので本当に切羽詰っていない限りそれをする。


「ふっ」


俺は息を鋭く吐き、振り返って彼女が屋根に着地する瞬間、大太刀を持っている腕の方を狙い槍を突き出す。

俺の槍と刀のぶつかり合う甲高い音が、夜の喧騒に紛れるようにして空気に溶けた。


突きを弾かれるのを思った瞬間、重心を下げ上半身を捻る。

体を回転させた勢いを使い地面すれすれから石突きを振り上げる。


俺と彼女は走りながら刀と短槍をぶつけ合った。

彼女の大太刀より繰り出される嵐のような途切れることのない連撃。


俺はそれと同時に〈心眼〉と〈並行思考〉を使い、高さの揃っていない建物のある場所に向かう。

高さの揃っている場所よりも羽振りの良さそうな住人たちと高そうな商品をおいている店が並ぶ。

多分、自由に建物を立てられるくらいには金を持っているものが集まっている場所なのだろう。


揃っていない建物を利用した上下の運動と、それらの間に入り込み壁を蹴ることによる横の運動を合わせて相手を翻弄するように動いた


だが、俺の考えは裏切られた。

常時、彼女は俺と武器を合わせながらそれらを利用さえしてくる。


ちっ。


俺は内心で舌打ちした。

どうやら地の利は相手の方があるようだ。

誘導されたのだろう俺と彼女は、十分に打ち合える広さの天井を持つ大きな建物の広い屋根の上で足を止めた。


俺とその女性はお互いを睨み合った。


「いったい何がしたいんですか?」


俺はこの状態なら話ができると思い声をかけた。


「………」


しかし、彼女は俺の問いかけには反応を示さない。


大太刀を肩にかつぎ俺をじっと見て来る。


ちっ、こいつは一体何がしたいんだよ。


表情は変えず、心の中で舌打ちをした。

俺を見る目はまるで値踏みをするような目をしていた。


「ふっ、聞いていたがなかなか手ごわい」


しばらくにらみ合っていると彼女は、ふっと笑って言葉を発した。


俺は慎重に相手を見る。


「………それは、どうも。ところでなぜ急に襲ってきたのか聞きたいのですが?」


聞いていたか………昨日見ていたではないのか?

まあ、いい………何が目的なのかを聞き出せればいいのだが………


「ふふ………登録をしに来たその日に喧嘩騒ぎに介入して、この街に攻めようとしてきている醜悪鬼ゴブリンの群れに少人数で切り込んだものの言う言葉とは思えんな」


「知っていたのですか?」


もしかして見ていたのか?

一応ではあるが気配は探っていたが感じなかったが………


「ああ、それをするのは私のはずだったのだな」


「どういうことですか?」


…………見ていたのか?

しかし、どういうことだ?今日のアレを見る限りでは、守りを固めてやってきたものを迎え撃つ感じだったが………


俺は目を鋭くさせ彼女を見た。


俺の視線を受けても飄々とした雰囲気で受け流す。


「言ったとおりさ」


「………聞いた限りでは、この街にはここまで実力のある人はいないと聞いたのですが?」


「ああ。誰に聞いたのかは知らんが私は今日の朝ここについた。

まあ、いいようによってはいなかったな」


醜悪鬼ゴブリンの群れの討伐のためですか?」


分かりきってはいるが聞いた。


「そうだ。ここにいるものだけでは、危ういからな」


「………………」


俺はそれを聞いて顔をしかめた。


たった一人でもこの状態をどうにかできるというのか?

…………おそらく可能だろうな。


彼女の放っている圧力から、それくらいはできてしまうのでは?と思わせる。


「まあ、そんなことはいい。続けようか?」


彼女はにやりと口を裂けさせて言った。


大太刀を上段に構えると右腕から、曲線が複雑に組み合わせられた模様のようなものが、赤い光を明滅させながら広がり行き刃先まで走った。


「行くぞ?」


それが切先まで到達すると彼女が一回り大きくなったような錯覚のようなものを感じた。


「なっ!?」


筋肉はほとんど動いたようには感じなかったのに、先ほどの攻撃など比較にならないほどの速度で斬撃が迫った。


「ちぃ………」


半歩引いいて上段からの攻撃を回避した。

刀身が地面につこうとした瞬間、跳ね上がるように方向を変えた。

上半身をそらし、前髪が大太刀の振るった風圧で揺れる。


普段は急に軌道を変える攻撃に対応するために余裕を持って回避しえるのだが、そんなギリギリでしか回避できなかったということは、予想していたものよりもはるかに速かったと雄弁に語っている。


だが俺は数回見ただけだが、なぜあれほどの速度で振るってきているのかは仕組みは分からないが、それをどう予想すればいいかは分かった。

あれは体が動く瞬間、体を覆っている魔力が同方向へ動くようにアシストしている。

故に動きは今まで通り、どれだけの速度で動くかは魔力の濃度を見ればわかる。


初見でそれを俺が反応できたのは、自分も同じような動きをしていると予想される加速の〈理法〉を使えるためだったからだろう。


彼女は再び大太刀を担ぐように構え振り下ろす。


振られてくる方向へ体勢を低くしてくぐり抜けるように回避し、そのままの流れで脇を抜けるように動き、すれ違いざまに膝に蹴りを入れる。

しかし、その蹴りをもろともせず背後に回った俺へ抜刀術のように大太刀を振り上げる。

〈心眼〉でそれを察知して短く槍を持ち背に回し、大太刀を受けその力を利用して跳んで間合いを開けた。


飛び退いだ俺が地面に着地する瞬間、彼女の手、大太刀に走るラインが一際明滅し……


「〈飛斬〉!」


と叫び、大太刀を振り切りこちらに体を向け、それによるひねりを利用し反転するように体を回転させ大太刀を振った。

その声が俺の耳に届いた時には、彼女の大太刀から放たれた赤い斬撃が前まで迫っていた。


跳んでいる最中に体を反転させていたので槍の柄は背に回したままだ。


回避は不可、斬とは言っているが刀身を伸ばしている鞭のようなものか………


俺は〈心眼〉でそれを凝視し、どのようなものか予想した。


〈魔力操作〉を使い手に放たれた斬撃よりも多くの魔力を手に纏う。

〈思考加速〉、〈心眼〉をさらに意識して使い斬撃の軌道を読む、〈柳体〉を発動させ上半身をそらし魔力をまとわせた掌で斬撃を情報へ逸らした。


〈スキル・特殊〈魔力操作〉派生〈魔鎧〉を入手しました〉


頭にスキルの習得の通知が来るが気にしている暇はない。

途切れることなく、同様の攻撃を繰り返す。


だが、その僅かな瞬間に槍を持ちかえて先ほどの手にしたように魔力を流し、同じように斬撃を逸らす。


(スキル・特殊〈魔力操作〉派生〈魔刃〉を入手しました)


ああ…………うざい!


頭に流れる通知にイラつきながら攻撃をしのいでいく。

この世界でスキルというものは、戦闘を行うものにとっては一つでも多くと、強く願望を抱くものだろうが、今の俺には集中したのに邪魔だとしか思えなかった。


「〈飛斬六花〉!」


っ!?


赤い魔力が腕と大太刀だけでなく全身に回り、〈心眼〉でも追いきれないほどの速度で体を動かし、さらに高速かつ同時に斬撃が飛んできた。


なんじゃそれ………


俺は憎々しげに顔をしかめた。


毒づいても仕方ないので対処を考える。


〈並立思考〉、〈心眼〉を使って斬撃を個別に軌道を読む。


下方からくるものに、受け流すのではなく弾くように槍、肘、掌へ〈魔力操作(魔刃)〉で魔力を纏わせる。

突きを放ち一つ目を相殺、当たると同時に上方へ槍を跳ね上げ、さらにもう二つ目、槍を反転させ石突きで三つ目、肘で四つ目をそらす、その勢いで体を回し五つ目を回避しつつ六つ目を逆手の掌で弾く。


そして…………


「〈剛剣〉!!」


〈飛斬六花〉を放つと同時に地面を蹴り、こちらに突っ込んできている彼女の大太刀を対処する。


当然、手数の多い遠距離攻撃をした後は切り込む………鉄板だな。


荒々しい赤い魔力を纏いなから大上段から振るわれる。


その魔力の質からそれは切るのではなく叩き潰すような目的のものと感じる。

石突きに〈魔力操作(魔刃)〉を使い同室の魔力を纏わせ下段から振り上げる。


大太刀と槍がぶつかった瞬間、〈心眼〉を通してそこにスパークが発生したのが見えた。

お互いがお互いを喰い合っているような印象を受ける。


大太刀と槍を振り切ろうと力を加えると、均衡が崩れ魔力が爆ぜお互いの体を吹き飛ばす。


「……………」


勢いを殺し停止した場所で睨み合う。


「ははは………いいな……つまらない依頼だったがお前のような奴がいるとは思わなかったぞ」


「はぁ………一体何がしたいんですか?」


よく分からない………


内心で彼女の行動と言動が全く読めず顔をしかめる。


「なあに………今回の依頼で楽しめる相手は、群れを引きているボスくらいだろうと思っていたからな」


「だからなんだって言うのですか?」


俺はイライラしながら返した。


「なんだ?分からないのか?」


「知りませんよ」


彼女はもったいぶったように言う。


「本当は分かってるのだろう?自分の能力を存分に振るえる相手がどれだけ希少か」


「…………」


ああ、こいつはあれか戦闘狂か…………下らない。


内心で心の底から下らないと感じた。

戦うことは俺にとっては手段であって楽しむようなことではない。


………そんなことのために、こんなことをしてきたのか………


腕と大太刀に走る明滅するラインを出してきてからは、対処法を謝れは命の危険があるものばかりだった。

彼女としては今日の戦いを見ていたのだから、これくらいは対処するだろうと思って攻撃をしているのだろうが、こっちからすれば迷惑なこと極まりないな………


俺は目をつぶり深く丹田に落ちる息を吸い込み、ゆっくりと吸い込んだ空気を全て吐き出す。


吸い込んだ酸素とともに魔力を細胞の一つ一つにめぐるように流す。


………こいつの性格を考えれば、話し合いは決着を付けるまでは不可能だろう………まずは、倒す。


魔力が体の細部まで回りきったこところで目を開く。


そして石突きを前に切先を頭の後ろに持っていく。

構え終えた俺と目が合うと彼女は口元に笑みを浮かべて八相の構えと呼ばれる体勢になった。


「とりあえず………話は決着をつけてからでいいですね」


眉間にシワを寄せて威圧するように彼女に問いかけた。


「ああ……………」


彼女は口元に笑みを浮かべた。


「そういえば、まだ名乗ってなかったな………名乗ろう……


調停国五代伯爵ヴィトゲンシュタイン家三女オルガ・ヴィトゲンシュタイン。


お前は?」


「マユズミ ハヤテ」


「そうかハヤテか」


俺の名前を聞くと彼女………オルガは頷いた。


「では………行くぞ」


「………」


オルガは地面にヒビをいれ轟音を鳴らし、俺は地面に瞬間的に魔力を流し、高度と反発力を強化し静かに加速した。


刹那のうちに両者の武器の間合いに入る。


オルガは俺に払いをさせないための踏み込みだったのだろうが、俺はさらに一歩深く踏み込み大太刀の間合いの内側に入る。


俺の踏み込みを見てオルガは、石突きによる攻撃をしてくると考え軌道上に柄をはさもうとする。


俺はそれならと握っている手を狙うが、それはさせまいと接触のその刹那までせめぎ合う。

ならばと、柄に当たる瞬間、手首を捻って持ち手に衝撃が伝わるようにする。


「ぐっ……」


腕に伝わる衝撃に顔をしかめさせ俺の足を払おうとしてくるが、そのままの勢いを使って中段に蹴りを放つ。


ちっ………


驚いたことに完全に裏をかいたと思ったのだが、それでもオルガは体の力を抜いて吹き飛ばされる。


それは足に伝わる感覚より自分の意思で逃げていることを読み追う。

後一歩でやりも間合いに入るところでオルガは左腕を俺へ掲げる。


俺は何かといぶしむがそこに反対の手と同じようなラインが走り、手の先に魔力が集まるのが〈心眼〉にうつった。


これは………魔法か!?


使い方は多少違うがこれは確かにシュカの使っていたものと同じ魔力の流れだった。


「〈炎華〉!」


オルガがそう言うと俺が次の瞬間いるであろう場所へ魔力の場が発生する。


「っ………」


〈減速〉の理法を発動させ急停止、瞬時に体勢を整えて後方へ跳ぶ。


轟っ!!!


宙に炎の花が咲いた。


急激に上昇する温度に肌を焼かれながらも〈心眼〉でオルガの動きを探る。


「くくく………………はっ、はははははぁ」


俺がどう動くかを警戒していると笑い声が聞こえてくる。


目の前の炎が消えると、背に炎を背負ったオルガが仁王立ちしていた。


もはや表情に至っては、喜色以外読み取ることができないほどの笑みを浮かべている。


…………ああ、これは………………殺そう………


俺はもうその時点で、どうにかなあなあで終わらせるという気が消え失せた。


頭の中を殺すことへ切り替え、槍へ殺気を含んだ魔力を流した。

すると、槍の方からカタカタと音が鳴った。


「オルガ!!」


俺が文字通り殺す手順を考え終え踏み込もうとした瞬間、俺とオルガの間に長さ五十センチほどの透明な剣が刺さった。


オルガに全ての意識を持っていたので乱入者を探知するのに遅れた。

俺はそちらを警戒しつつも声のした方向へ顔を向ける。


金髪の短く切り暗殺者のような黒い外套を着た碧眼の少年が、鬼のような表情をしてオルガを睨んでいた。


今後は週一を目標に更新します

なお更新は活動報告で予告しますのでよかったらご確認ください

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