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逸般人たちが勇者召喚に巻き込まれたようですよ  作者: satori
第二章 逸般人にテンプレ?が降り注ぐようですよ
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024

俺は窓の外から聞こえる喧騒で目を覚ました。


まわらない頭をどうにかまわそうとした。

俺は意識を集中させ眠気は霧散させる。


俺は手早くはねた髪の毛を整え、コートを羽織って俺は部屋から出た。


俺とシュカはアンリさんの提案で部屋を借りた。

エマもここに部屋を借りているそうだ。


「おはようございます」


「おう」


俺はカウンターのおいてある場所に入ると、アンリさんがキセルのようなものをふかせていた。


「これは?」


「ああ、お前らがいった通り上位種がいたみたいだぞ」


「そうですか」


「しかも、この街ではそれなりに強いパーティーで死人が出たみたいだぞ?」


「それでどの程度のものが出たか知ってます?」


「ふっ」


アンリさんは笑った後、口から煙を吐いた。

そして流し目で俺を見て来る。


「聞いた話によれば、王だそうだぞ」


「と言うことは」


「騎士も将もいるな。

しかも、かなりの量だそうだ。

かなり統率が取れているもしかすると、魔人の可能性もあるそうだ」


「魔人ですか?」


「何だ?殺すのが躊躇われるのか?」


意外だなと言いたそうな目で見てきた。


「いえ、そうなるとどのくらい強いか分からないでの」


「大丈夫だろう。あいつだと多分勝てないだろうが、お前かシュカなら勝てるだろう」


「思うのですが、この街で他に倒せそうな人っているんですか?」


単純な疑問だ。


「ん、いるぞ。ラエルの所のバレッタと上位級パーティーが二組いるから大丈夫だろう」


ラエルの所のバレッタさん?

え、個人?


「あ、何だ?バレッタから会ったって聞いてるぞ」


「会った……ああ、奴隷商にいた女性ですか」


「また、名前効いてないのかお前は」


呆れたような表情を向けられた。


いや、別に行かない可能性が高い場所にいる人の名前なんて聞かないだろう。


と言うか、知り合いだったんですね……


「おはよ~ございます~」


エマが上の階からふらふらと危ない足取りで降りてきた

かなり危なっかしい足取りで、今にも倒れてしまいそうだ。


「…………おはよう」


エマの髪の毛がもう何と言えばいいのだろうか、頭が爆発している。


シュカも降りてきた。

いつもの無表情とは違ってボーとした印象を受ける。


何だかいつもよりも幼く……いや違うか、年相応に見えるな。


俺はエマに近づき髪をなでつけて、どうにかしようとする。


「ふあぁ……」


ホント眠そうだな………つうか、全然なおらねえ……


俺は理法を使って指と指の間の温度を七、八十度くらいにして指で髪を梳かした。

かなり細いからこれくらいで大丈夫だろう。

まあ、細いならこんなに爆発しないと思うのだけど……


「おお~、きれいになりましたね~。どうもです~」


「はいはい、少しは手入れしようね」


「了解です~」


ホントかよ……


昨日の姿を見ていると全く信用がない。


………ねぇ?シュカ。羨ましそうに見ないでね………シュカはまったく、寝癖なんてついてないよね………


絹のような光沢と細さの銀髪だ。

一切の癖もなく地面に向かってまっすぐ伸びている。


「………」


いやね………まあ、いいや。


俺はシュカにもエマと同じように髪を梳く。

しばらくするとシュカは俺に体重をかけてきた。

一通りすいたと思うと頭上の耳が揺れ始めて俺の視界の端に映ってきた。


「…………」


これってさわっていいの?


俺がそう思うとさらに動いて目の中心に近づいてくる。


俺は毛並みにそってなでていく。


さらに重みを身体に感じる。

このままだと、また、寝てしまいそうな雰囲気だ。


まあ、当分はこのままでいいか。


「ところでハヤテお前はどうするんだ?」


頬がゆるみそうなのをおさえて、アンリさんが今日どうするのかを聞いてきた。


「今日ですか?

今日はロドリグさんの所に行った後、動こうと思ってます」


「成程」


そう言ってアンリさんは奥の厨房へ入っていった。


ふと気づくとシュカは眠っていた。


………これ、どうしよう?


エマの方を見ると机に突っ伏して寝ていた。

シュカをエマの隣に同じような体勢で寝かせてコートをかけた。


「ん?二人とも寝てんのか?」


アンリさんが厨房から手にポットとカップを持って出てきた。


「そうですね。気付くと寝てました」


「まあ、いいか。お茶だ飲むか?」


「いただきます」


アンリさんからカップを受け取りゆっくりと飲み干した。


「今ってロドリグさんって商会の方にいますかね?」


「いるんじゃないのか?

確かアイツは、むこうの村から戻ってきた後は、秘書子に半ば監禁されて書類仕事をしているからいるだろう」


そっちの人も知り合いですか、世界は狭いですね。


「俺はロドリグさんの所に行ってくるので、シュカのこと見ててくれませんか?」


「ん?ああ、分かった」


俺はアンリさんの店から出た。


昨日も言っているので迷うことなく建物の方へ歩いていく。

街を歩いていると街の人たちは意外と冷静そうで、せわしそうに動いているのは戦いを職業にしているものだけだ。


まあ、分厚い外壁もあるし籠城をする用意があるのだろう。


景色を見ながら歩いた。

俺はロドリグさんの商会の建物に入った。

当然だが忙しそうに働いている職員たちがいる。


食料や薬の備蓄量の確認作業をしてるようだ。


…………話しかけずらいな。

まあ、いいや。


俺は取り敢えず受付にいるものに入る許可を得た。


よくもまあいきなり現れたやつに許可出すな。

そんなに忙しいのだろうか?


それともこの分かりやすい髪色から、こういう奴が来たら通せって言っていたのだろうか?

考えても仕方ないかとして俺は教えてもらった部屋に向かう。


俺は中にいる人に気配を確認してドアをノックした。


「入って」


「失礼します」


俺は礼をして部屋の中に入った。


「あ、ハヤテ君。昨日はありがとね。先に教えてくれてたから、動くのが早くなって助かったよ」


ロドリグさんは疲れた表情でそう言った。

まあ、朝から馬車に乗っていて帰ったらそのまま溜まった書類仕事、しばらくすると俺が面倒事を持ってきて、おそらく徹夜で仕事。


…………まあ、どうせこのことは伝わったんだろうから、俺は悪くないよね?


「今日はこんな時間に何か用かな?」


「今日は、上位種の魔石や素材を持ってくるので、買ってくれるかの確認をしに来ました」


「ああ、成程ね。

いいよ。もちろんこっちの利益にもなるからね」


「ありがとうございます」


「いいよ、いいよ。

あ、でもさ」


最後に急に冷たい表情をした。


「ギルドの方には絶対に君が倒したっていうことがばれないようにしてね」


「分かりました」


正直かなり難しい条件だろうが、ギルドが動き出すと同時に流れを無視して動き出せば先頭がつく前には倒せるだろう。

何故分かるかと言えば、新しく得た称号で魔物モンスターだけに限られるが、かなり探知の出来る範囲が広まったので魔力の量を確認した。


あの熊よりも魔力の量は少なかったし、あの熊と戦う時よりもこっちの人数は多い。

問題があるとすれば、周りにいる上位種だがシュカの狐炎を使って貰えば、周りにるのは直ぐに倒せるだろう。


「要件はそれだけ?」


「そうですねそれくらいですね」


「早めに倒してね。僕のこの鬼のような仕事が減るから」


「なら、日が早ければ高く買ってくださいよ」


「…………」


ロドリグさんは俺の発言を聞いて真剣に考え始めた。


「え?そんなに忙しいんですか?」


「そうだね………本当に忙しいよ。

だから、考えてあげるから早く倒して来てくれないかな?」


「上位種を倒しても直ぐに終わるとは思えませんが?」


「いや、上位種がいなくなれば、統率もとれなくなる。

統率がなくなれば各個撃破をすればいいから、上位のパーティーじゃなくともどうにかできるようになるから、僕は仕事をしているふりさえしてればいいんだよね」


あれ、でもそう思うと。


「上位のパーティーって二ついるんですよね?

それくらいいるのなら、結構早く終わりそうですが?」


「緊急依頼はかなり冒険者は慎重になるんだよね。

適度に弱い奴を削っていって、取り巻きがいなくなった所で上位種を倒そうとするんだよね」


まあ、それも悪い考えじゃないよね。

犠牲を出さずにと言うことを考えれば、そっちの方がいいだろう。

籠城をする用意があるのなら、守る側は長期戦を考えるのはいいと俺は思う。


「何か今、少しゆっくりと行こうと思ってない?

できれば今日中に終わらせてほしいんだけど。

しかも、エマ君と一緒に居るんだよね。

彼は実力だけなら、アンリとバレッタに並んで本当にトップクラスだからどうにかできるんだよ。

だから、早目にね」


「そうですね。善処します」


正直にいうとかなり必死感を感じる。

それにしても、上位のパーティーたちはトップクラスの話に出て来ないんだね


俺は話を終えて商会を出た。

部屋から出る時に「ホントにお願いね!」と念押しをされた。

本当に本気なんだと言うことを感じた。

ここまで本気な感じがすると少しは早めにやろうと思えてくる。


まあ、安全第一だよね。


特にシュカには危険がないように動くことが前提だね。


俺は次にギルドの方へ行ってどのような感じで動くのかを盗み聞いた。

やっぱりロドリグさんがいった通り、かなり慎重に動くみたいだ。


大体一、二週間くらいと考えているようだ。


まあ、一日ごとにお金が出るみたいだし、冒険者たちも時間をかけてゆっくり安全に戦った方が儲かるみたいなのが、拍車をかけている。


これどうなんだろう?

外からものが届かなくなるのではと思ったが、そっちの方はしっかりと冒険者を送ってどうにかするようだ。


まあ、外からくるのも高く商品が売れるから来るのだろう。

それらを見ると危険な状況になれているのではないかと思う。


俺は昨日言ったクレープ屋に言って自分の分とシュカ、エマ、アンリさんの分を勝ってアンリさんの店に戻った。

アンリさんが食べなくともシュカかエマが食べるだろう。


「戻りました」


「戻ったか」


「おかえりなさいです~」


「………む」


俺が中に入るとそう声をかけられた。

何だか、シュカは置いて行かれたのが不満だったのか機嫌が悪そうだ。


俺が手に持っているクレープをわたすとエマは「わ~い」と言って食べ始め、シュカは子ども扱いするなと言いたげな視線を向けてきた。

ただ、シュカは耳や尻尾が嬉しそうに動いているので、まあ、機嫌は大丈夫だろう。

表面上の方を間違えないようにすれば問題はないだろう。


しばらくは咀嚼音だけが部屋の中でして、食べ終わると俺はどうするのかを話し始めた。


「なるほど~、なら今日はホブとかナイトとかを狙います?」


「そうだな、そんなもんでいいんじゃないのか?

いれば将を狙うのもいい。

王を狙うのは明日以降だな」


「了解です~」


「……分かった」


取り敢えず今日は様子を見ると言うことで決まった。


次話投稿は2/23 12:00です

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