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逸般人たちが勇者召喚に巻き込まれたようですよ  作者: satori
第二章 逸般人にテンプレ?が降り注ぐようですよ
25/39

023

木々の音にまぎれるように肉の切断される音が静かに響いた。


音の発生源はエマの持つ武器。


彼の背丈よりもはるかに大きな刃を付けた巨大な大鎌(、、、、、)


「ふっ」


エマは鋭く息を吐いて、全方位から彼に襲い掛かろうとしていた魔物モンスターの首が一斉に飛んだ。


大鎌から膨大な魔力を放っている。


彼が流しているのではなく、支柱から生み出されているように視えた。


一瞬たりとも動きを止めず、凶悪な光を放ち首が飛び血が流れる。


しかし、その中心にいるエマの身には、攻撃の受けるどころか血の一滴もつかず、非現実的な光景が繰り広げられている。


俺は〈心眼〉でじっと視ている。


エマは魔物モンスターと呼吸を同調させて、全ての魔物モンスターに合わせて動いている。


まるで舞のような奇術のように動き、気付くと振るった大鎌の刃の前に魔物モンスターの首があった。


「天才か………」


俺の口から言葉がこぼれた。


動きからは研鑽を感じる。

だが、根幹は唯一絶対のものを感じる。


俺は目を耳を肌を鼻を舌を魔力を感じることのできる器官の全てを使い、〈心眼〉にいたった観察能力を使い動きのこんかんを視る。


全て、取り込めるとか、そんな傲慢なことは言わない。


少しても己の技に取り込む為に視る。


独特のリズムを……予想を外す理外の業を………俺は最後の一匹を殺しきるまで視ていた。


全てを殺し終わると、血糊を落すように大鎌を大きく振って、ステータスカードに大鎌をしまった。


「ふぅ、どうでした~?」


「すごかったな」


俺は、さっきまでの動きを頭の中で再生させていたので、かなりそっけない声だったと思う。


「そうですか~」


エマは俺のその対応に、一切気を悪くしたようなものを見せず、むしろ嬉しそうに答えた。


「その鎌も何かあるのか?」


俺は明らかに普通じゃなさそうな反応を見せた鎌に対しても聞いてみた。


「あ、分かります~。これアーティファクトなんですよ」


アーティファクト………確か魔物モンスターの魔石のような魔力を作り出す物質でできているもので、それ単体で魔法を使うことができる。

作られている材料は特定出来ていないが、魔石と同様アーティファクトも大きく形を変えようとすると能力を失う。迷宮ダンジョンから手に入り、初めからその形で作られたものと言われている。


「よくそんな武器があったな」


「そうなんですよ~。

ああ~、でも、大安売りされていたところを買ったんですよ~。

しかも、見た瞬間にビビッときて買うしかないですね~と思いまして~」


コイツって直感で動いているのか?

まあ、こいつとこの武器は始めらか、セットになることが決定しているかのような相性の良さだよな……


「しかも、これは持ち主には軽く感じる能力があるんですよ~」


「ああ、だからあんなに軽そうに扱っているのか」


「はい~、こんなに使い易いのに何で売れなかったのでしょうね~」


「いや…………お前みたいに、身体を軸に使って完全に円になってもいないのに、フラフープみたいに回すなんてできないだろう?」


こいつはそのように使う為、身体の表面直前にも斬撃を打てる。

本当に刃のとどく範囲全てからは様々な方向から飛んでくる。


「え~、できませんか~?」


「できないよ」


本当に天才肌だよな。


俺たちは話を取り敢えず打ち切って解体にうつった。

何だか〈解体〉と〈心眼〉のスキルのおかげかかなり慣れてきた。

牙や爪、革使える骨や内臓などを手早く切り離していく。


一匹を解体しきるのに一分もかかってない。

エマも相当なれているようで俺と同じくらいの時間で終えている。


十数分間、解体を続けエマの倒した魔物モンスターの剥ぎ取りを終えた。


「いや~、それにしても、ハヤテの魔物モンスターの発見能力は便利ですね~。

もしかして、魔物発見機ですか~?」


「何だ、それは………」


俺は苦笑しながら返した。


なぜ、苦笑気味に答えているかと言うと………称号に出るんだもん〈魔物発見器〉………



…魔物発見器…


魔力を感じ取り、魔物モンスターの中にある魔石を感じ取り、魔力の量に応じた範囲内の魔物モンスターを発見する。


PS


あっはははっは!!あはははっはあははは!!

…………いや~、笑った笑った。

名前は変だけど便利だよ?

よかったね!!



こいつは…………ホントにどうにかできないのだろうか……

ちょっとね、見るたびに変な感じにさせられるな………


と見た時は思った。


まあ、本当に便利なんだけどね。

と言うか、このPSが本当に要らない機能だろう。


ん?


シュカが俺をじっと見てきた。


「………戦う」


魔物モンスターと?」


「……ん、戦える」


え………と、ステータス値は低くなかったから、戦えるだろけど……


「…………」


「分かった」


俺は目力に負けて承諾した。

〈心眼〉と〈魔物発見器〉の称号で新たに手に入れた〈魔石探知〉を使って魔物モンスターを探す。


見つけた。


醜子鬼ゴブリンの群れだ。


だが、数が相当多い……大丈夫かこれ?


「…………ん」


シュカは俺の思考を読んで、さらに大丈夫だと言わんばかりに頷いた。


「大丈夫ですよ~ハヤテ。

それに問題が起これば、助けに入ればいいだけですよ~」


「まあ、そうだな」


俺はエマにそう言われて移動を始めた。


………それにしても、ここは妙に群れて動いているのが多いな。

それに街の方へむかってきていると言うか………何か、街の方へむかってきている危険な魔物モンスターでもいるのだろうか?


十分程移動して醜子鬼ゴブリンの群れの近くに来た。


「大丈夫か?」


「………ん」


俺の問いに頷いて俺たちの一歩前に出る。

大きく息を吸うと、シュカから膨大な魔力が、しかし、静かに重々しく身体に纏っていく。


「…………狐炎」


シュカが呟くと頭上に直径十数メートルの炎球が出現した。

膨大な魔力とその炎球を見て醜子鬼ゴブリンたちは逃げようとした。


「…………行け」


しかし、シュカの作り出した炎球の方が速い。

直ぐに追いつかれ焼かれた。


「おお~、すごいですね~」


「…………」


エマは楽しそうに言って、俺はその炎が森を一切焼かず、売れる素材…………魔石以外の全てを焼き尽くしているのを見た。

しかも、このような現象が起こっているにもかかわらず、空気中の酸素が減っているように感じないし、熱も感じない。

まさに魔法のような光景だった。


俺は理法と言うものを使っているので、この世界に魔法があることは分かっているが、このように目に見えて魔法と言えるような強烈なものだった。


その光景に俺は目を奪われた。


単なる劫火なら見たことはあるが、このような対象だけを焼くような理外の劫火は見たことがなかったからだ。


「フフフ、小さいのに大魔法使いといえるかもしれませね~」


「やっぱり、これはすごいのか?」


「くふふ~、ハヤテ~、貴方もしかしてこれができて普通って思っているのでしょうかね?

普通はできませんよ~?

まあ、貴方もできそうですから、そう思っても仕方ないのかも知れませんね~」


「そうでもないさ」


ただ知らないだけだとは言えない………


さっきと違って剥ぎ取りをする必要がなく魔石を拾うだけで終わった。


ふと、シュカが見て来ているのに気付く。

もうちょっと声に出して自己主張しようよ?


「………」


拒否ってことかな?

まあ、別にいいけど。


「すごかったよ」


「………」


何だ、もっとってことか?


「頼らせてもらうね」


「ん」


あ、正解みたいだな。


「それにしても、エマ。この辺りはこんなに魔物モンスターが出るものなのか?」


俺は疑問に思っていたことをエマに聞いた。

比較にしているのはあの森だが、明らかに数が多い。


「僕もあんまり詳しくないですが、日に日に出て来る量が増えている気がしますよ~?」


「…………上位種が生まれた?」


「ああ~、有り得そうですね~」


シュカが言ったことにエマが頷く。


今日はシュカがさらにアイスをエマが財布の中身が…………と言うまで食べた後、お金がないですと言ったので手っ取り早く、金を得る手段の魔物モンスター狩りをしている。

その中で一番殺しているのは醜子鬼ゴブリンだ。


ハッキリ言うと一番金にならない。


醜子鬼ゴブリン系か?」


「それが可能性が高そうですね~。

醜鬼将ゴブリン・ジャネラルか、醜鬼王ゴブリン・キングでもいるんでしょうかね~」


これは、お金になりますね~と機嫌がよさそうに言っている。


それらがいると周りに醜赤鬼ホブ・ゴブリン醜鬼士ゴブリン・ナイトもいるだろうね。


「どうします~、全部やります~?」


「まあ、そうだな………今は良くないか?」


「ええ~、取られちゃったら困りますよ?」


エマは文句ありげに返してきた。


「誰かに見つかってからの方が、素材等は高く買ってくれるだろうし、ギルドにいたやつらなら多分倒せるようなやつらはいないだろうから、人数集めに緊急依頼が出るだろうから…………」


「から~?」


「露払いをしてもらって、俺たちは将か王を殺せばいいだろう」


「ああ~、そうですね~、参加義務がないので自由に動けますしね。

あ、でもどこで売るんですか?」


「知り合いに商会の会長をしている奴がいるからそこでいればいいだろ?」


「そう言う所に知り合いがいるって言うのは便利ですね~」


「そうだな」


俺とエマは笑いあった。


「じゃあ、街の方に戻ろうか」


「了解です~」


「……ん」


俺たちは街に戻った。

翌日に醜鬼王ゴブリン・キング討伐の緊急依頼がギルドから出た。


次話投稿は2/22 12:00です

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