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逸般人たちが勇者召喚に巻き込まれたようですよ  作者: satori
第二章 逸般人にテンプレ?が降り注ぐようですよ
24/39

022

何所か落ち着ける場所がないかとシュカと話していたら、俺とさっきまで剣戟を繰り広げていた金髪の子が、いいお店知っていますよ~と、言ったのでそこへ行くことにした。


その店は裏道に少し入った所にあった。


外見は寂れていて、中に全く人がいないと感じる。


「おばさん~、お客さんですよ~」


扉を開けて中へ入った。


「おっと~」


身体をそらした。

先程まで頭の会った場所にナイフが通り過ぎた。


「危ないですね~」


「お前がその程度、当たる訳ないだろう」


金髪の子がおばさんと呼んだのは、長身で真っ黒な髪と赤い眼のおばさんと呼ばれるには、かなり若い見た目の女性だった。


「それに私はまだ、50だ。人族ヒューマンと一緒にするな」


つまり自分はまだ若いと言いたいようだが、女性たるものそう言われるのを許容することはできないようだ。


「僕は人族ヒューマンなので、基準は人族ヒューマンのものですよ~」


まさに、ドンピシャとしか言えない理由を金髪の子は言ったと思う。

まあ、俺としても50はもう若くないと思う。


「私に合わせろ。ん?何だ、本当に客がいたのか?」


かなり横暴なことをいって、ようやく俺たちの方を見てきた。

と言うか、一瞬睨まれたように感じたは、俺の被害妄想だろうか?


それにしても、妖森族エルフではなさそうだし、種族は何だろう?


「珍しいな、お前が人を連れて来るなんて」


「お気に入りです~」


会ったばっかり何だが?


「………人嫌いのお前が珍しい」


ん?こいつ人嫌い?


俺はギルドの建物の中であんなことをやったようなやつが人嫌いとは思えなかった。


「人嫌いじゃなくて~鬱陶しくて面白くない人が嫌いなんですよ~」


面白い人ね………

さっきの対応を見ていれば、こいつからすれば面白い奴と言うことにはなるか。


「まあ、いいか。私はアンリだ。エマ、こいつらは?」


金髪の子におばさんと呼ばれた女性………アンリは自分の名前を言い、彼に俺たちの紹介をしろと言った。


「あ、ぼく名前知らないです」


「は?お前………何言ってんだ?」


アンリさんはあきれ顔でかなり辛辣な、ことを言ったが金髪の子……エマは全く気にしていない。


まあ、全面的にその反応は同意できるが……


「さっき会ったばっかりなんですよ~」


「そんなのでお気に入りとか……どうしたんだ?」


アンリさんは訳が分からないと言う表情だ。


「こう、ビビッと来ました~」


エマは身振り手振りを交えて説明した。


「だったら自己紹介くらいしろよ。こいつらもお前の名前知らないんじゃないのか?」


アンリさんは呆れたようにため息をついてエマに言った。


「あ、そうでした。忘れてましたね~。僕はエマ、エマ・ノーサンバースランドと言います。好きなことは楽しいこと、嫌いなことは面白くない人がよって来ることです~」


アンリさんにそう言われると、エマは俺とシュカの方を見て自己紹介をした。


随分と好き嫌いがはっきりしていると言うか、自分勝手と言か……まあ、いいや、人のことを言える程、俺も人のことを考えてる訳じゃないし。

まあ、いいか。


俺としては、そう言う自分の言いたいことをしっかりと主張する奴は嫌いじゃない。


「俺はハヤテ。好きなことと嫌いなことはそうだな……お前と同じかな」


「……シュカ………同じく」


……シュカ、合わせただけだよな……


言葉に嘘と思えるような、反応がなかったので、俺は多少不安になった。


「ハヤテ、シュカ。よろしくお願いします~。

色々とお話したいことがあるので、注文してからお話いましょう~。

ここは、甘いものが美味しいですよ~」


この街って意外と甘いもの多いのかな?


俺はそう思いながらエマに促されて店の中に入った。


おい………


俺は中に入った時、目を疑うようなものを見た。


店の壁にはナイフが刺さったような跡が大量に有った。


「じゃあ~、おばさん………いつものヤツ、お願いしますね~、おばさん………」


………ああ、そう言うことね………


エマは本当に遊んでいるだけではないかと思える。


………アンリさん、完全にからかわれているだけですんで、おばさんと言われるたびにナイフを投げるのは、どうかと思いますよ?


俺は、エマの弾いたナイフがシュカにあたらないように、シュカの前に立ちながら思った。


サクサクと気持ちのいい音を鳴らし、壁にナイフの跡が増えていく。


………まあ、ナイフに魔力を流してないから、そこまでの威力はないからいいか。

そうしてあれば、壁に跡どころか貫通して穴が空くだろう。


俺はそう思いながら、店の奥の部屋に入った。


ここにはナイフの跡がない。


多分、アンリさんがここだけは大切にしているのだろう。


こいつもある程度の自制?くらいできるのだろうか?


「さてとっ、何であの時に入ってきたんですか?」


席に座り、エマは俺の顔をハイライトの消えた瞳で見上げてくる。


「ハヤテは、人を殺すなんてことまったく気にしていませんよね?

だから、あの場で彼が殺されたとしても、全く気にしなかったはずですよね?

武器を合わせればそれくらい分かりますよ?」


何だろうね……ここだけ聞くと、まるで俺が殺人鬼みたいだな。


「そうだな、俺は人の死に何かを感じると言うことはない」


「そうでしょう?

そう考えると、入ってきた理由が分からないのですよ~?」


「ん~、しいて言うなら………」


俺は言葉を切る。


「言うならです?」


エマは俺の言葉をはんすうする。


「床が汚れるからだな」


「………床?………ですか………?」


あ、こいつが呆けた顔をするのって面白いな。

と言うか、シュカが横で声を殺して笑ってる。


「そうだぞ、ギルドの床は木の床だったじゃないか、木は血が染み込むと中々落ちないんだぞ?」


「ぷっ、アハハッ………………あは、あ~あ。

何だか、はぐらかされている気が、しますけど………面白かったからいいです」


エマは息が切れ、絶え絶えになるまで笑った。


「お気に召したようなら、満足だ」


「……ん、確かに………雰囲気の合わなささが良い」


いや、シュカそんなふうに解説してくれなくていいぞ。


シュカは俺の方を向いてさり気なく親指を立てた。


いや、もしかして、結構そう言うブラックジョークが好きなのか?

何と言うか、見た目にそぐわないと言うか何と言うか………


「よう、エマ~、随分と笑ってんな、そんなに面白いことがあったのか?」


ぬうっと、気配もなくアンリさんが入ってくる。

手には、色とりどりの果物とアイス、フレークが入ったパフェが持たれていた。


「ええ~、ハヤテの言うことはとっても面白いです~」


エマは胸の前で手を合わせて笑いながら言った。


そんなに面白いか?

ずれてるだろ。


「へぇ………それは、それは」


怪訝そうな顔を向けられた。

おそらく彼女の中で、エマに気に入られると言うのは変人と同義なのだろう。


「何ですかいったい」


「いや、いや~。見た目によらずお前って変な奴だったんだな」


ニヤニヤと言うのが、当てはまるだろう表情を向けてきた。


「もう少し、オブラートに包むと言うことができませかね?」


俺は苦笑しながら言った。


「する必要ないだろう」


「まあ、そうですけどね」


まあ、気にしてはいないので、俺はケロリと表情を変えて言った。


「溶ける前に食べましょうよ~、アイスって言うんですけど、この街では氷の魔人さんのアンリにしか作れないんですよ~?」


エマには、あまり秘密を教えない方がよさそうだな。


「へぇ、魔人なんですか」


「何だ、問題があるか?」


俺の発言にアンリさんがすかさず反応してきた。


「別に俺も魔人ですし」


俺はシュカの方を見る。


「……ん」


俺の視線から意味をくみ取り、了承の意を伝えた。

それよりも食べていいかと、視線が語りかけてくる


「シュカも魔人です。嫌悪感をいだく何てことはありませんよ」


「冗談だ。気にしてないさ。

こいつが普通の奴を連れて来るとは、思ってもいないしな」


「ひどい言いようですね………」


俺に対してもエマに対してもね。


「まあ、ゆっくりしていけや」


そう言って、アンリさんは部屋から出ていった。


「さあ、食べましょう」


「そうだな」


「………ん」


シュカの内心を読むとはやく、はやくだろうか。


「ん~、やっぱり冷たくておいしいですね~」


「よくこんなところを見つけられたな、この街にいて長いのか?」


「いいえ、最近来たばかりですね~、大体二週間くらいでしょうか~」


「そうなのか?」


エマとアンリさんは信頼があるように見えたのだが、


「ああ、アンリとなら斬り合ったら、仲良くなれましたよ?」


「そうか………」


斬り合うって………結構アンリさんも好戦的なようだな。


「………ん」


俺とエマが話している間、シュカは一心不乱にパフェを食べていた。

そして、お代りを要求するように、空になった器を俺の方へよせてくる。


俺のをわたそうにも、自分の分は大体食べ終わっているエマも同様だ。


「お任せです~。アンリ~、お替りお願いします~」


「ん~、分かった」


エマが台所の方へ声をかけるとアンリさんが返して来る。


「シュカ、気に入りましたか~?」


「………ん」


「ハヤテは、何だかアイスの食べ方、こなれているような気がしますね~。

もしかして、ハヤテっていい所の出ですか~?」


「いや……そうとも言えるか」


「そうなんですか~、お仲間ですね~、僕も元は結構そう言う貴族だったんですよ~」


「へぇ~」


その後、エマのことを色々と聞いた。


「なかなか、壮絶だなお前


「いや~、そうでもないですよ~。

ハヤテもじゃないですか~」


俺は異世界人であることを誤魔化して自分のことを話した。


「………ん」


シュカが俺の前に空の器を差し出す。


「まだ、食べるの?」


「…………ん」


シュカの目の前には空の器が十数個ほど並んでいる。


「アンリ~、お替りお願いします~」


「まだ、食うのか!?」


エマは気にした様子もなくアンリさんに注文した。

何だか、アンリさんはかなり普通の反応をしているように感じる。


まあ、いいや………


何だかんだで、シュカはその後さらに食べた分と同じくらい食べた。


…………クレープも食べたのによく入るね。


俺は今日だけでかなりシュカの印象が変わった気がする。


まあ、親しみやすいけどね。

別段悪いことでもないな。


次話投稿は2/21 12:00です

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