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逸般人たちが勇者召喚に巻き込まれたようですよ  作者: satori
第一章 逸般人が異世界からきたようですよ
13/39

012

カミラさんたちとその後、聞きたいことを聞きグエンさんと戦う………模擬戦をする時間が近くなったのでそこを出た。


リリちゃんと共に俺用に用意された小屋に向かって歩いている。


「驚きました。ハヤテさんが召喚者で【魔王】だなんて」


そうはいっているが別に驚いているような印象は受けない。


「ごめんねいわなくて」


「いえなくて当然だと思いますので気にしないでください」


「さっきは聞けなかったんだけどこの世界で【勇者】ってどう言う位置づけなの?」


「【勇者】ですか………」


あれ、何だろう物凄く機嫌が悪くなった。

【魔王】があまり印象が悪くないから反対に【勇者】が悪いのか?


「神律教の国では英雄として扱われますけど、亜人デミ・ヒューマン、獣人、聖調教の国での印象は最悪でしょう」


「最悪?」


「彼らは………神律教は侵略者です。その侵略者たちの象徴が【勇者】です。彼らは良く分からない理由をもって私たちを殺しに来ます」


「ああ、それは最悪だね」


リリちゃんはそうはいってはいるが言葉ほどの嫌悪感は感じない。


「ああ、分かります?【勇者】なんて昔にいたというだけですからね。今はその頃を知っている人なんていませんし。知ってるとしても森精族エルフや魔族、龍人、くらいでしょう」


「結構多く感じるね。後、魔族っていったけど魔人どう違うの?」


「彼らは長寿ですから生殖能力が低いので数は少ないですね。魔族というのは、獣ではなく魔物モンスターの因子を持った亜人の総称です。魔人というのは個体の変化なので種族というものには数えられませんね」


へえ、まあ、魔人は人間とかでも出てくる個人差と考えた方がいいかな。

で、魔人になった奴は、才能を開花させた天才みたいなものと。


………………いや、これは止そう。

自分がまるでそういっているみたいだ。

そう考えるのは絶対に悪いことになる。


天才っていうのは、紫苑姉やむこうのそう呼ばれていた奴のことをいうのだろう。

俺は紫苑姉にくらいつくので精一杯だったし………


「ん?」


俺の顔をリリちゃんがじっと見ていた。

不思議そうな表情をして言う。


「どうしたの?」


「いえ………何だか、嬉しそうな顔をしていたので………」


「嬉しそう?」


先程までに思考の中に自分が、そう思うようなものがなかったか考えてみるが、思い浮かばない。


「その表情はハヤテさんは、とっても認めたくないでしょうが、うちの父が大型の魔物モンスターに一人で挑んでいくときの表情と同じでしたよ」


俺が挑む?

別にそんなことは思えない。

力を得ることは、手段でそれを楽しむなんてことはなかったと思う。


「そんなことはないよ」


「まあ、いいです。そろそろ、お爺さんが指定した時間なのでいきましょう」


「あれもうそんな時間?」


「はい」


俺とリリちゃんは村の狩人や守備隊の人が集団で訓練をする為に作った広場へ向かった。


十数分間歩くと広場へついた。

そこへいくと村の人たちが集まっていた。


俺が昨日予想していたよりも人がいた。


軽く見ただけでも三百人近くいる。


………集まっているだけではなくまるでお祭りのような雑多とした騒がしい雰囲気だ。


俺はそう思った。


あ、あれは昨日俺が狩ってきた猪だな。

後、酒を飲んでいる奴もいる。

完全にできあがっていて飲み比べをしている感もする。


ガウルさんも飲んでねえかあれ?


俺が辺りを見渡すと知っている人物を見つけた。

昨日狩りへいっていたものたちとかたまっていて、木でつくられたジョッキをかたむけている。


ガウルさんは俺も見つけて手でこっちへこいと手を振っている。


「何で飲んでるんですか!?今日はガウルさんもやるんじゃないんですか?」


近づいて見るが本当に酒臭い。


俺は酒にめっぽう弱いので近づくだけで酔いそうだ。

というか、このアルコール濃度は蒸留でもしてるのか?


柑橘系の果実の臭いがするが、果汁酒ならこんな高くならないだろう。


まあ、この世界にそういった特徴がある植物があっても不思議ではないが………ありそうだな。

もしくは魔法でつくれるのかも知れないが、それは考えるだけ無駄だろう。


「俺か?俺はいいさ。昨日ほんの少しだがやっただろう?あの時点でもう勝てないと分かってるさ」


ああ、酒臭い。

うちの皆伝位の爺さんが、北の方の高濃度の酒が好きでよく飲んでいたが、それと同じくらいだな………

それをジョッキで飲んでいればこのくらいの臭いにもなるか………


「ん?どうしたリリちゃん?」


俺が臭いに顔をしかめているとリリが驚愕の顔を向けて来たので聞いてみた。


「ハヤテさん、お父さんに勝ったんですか!?」


「あはは、そうそう。見たことのない技であっさりとな!!」


俺が答えようとすると、それよりも早くガウルさんが答えた。


何だろう。

ガウルさんは、負けたといっているのに楽しそうだ。


良く分からない心情だ。


リリちゃんも良く分からないというような顔をしている。


「そうそう、俺が負けたってことは、知れわたってるから気を付けろよ。親父、本気でやるから」


「………」


本当にうれしくない情報だ。

あの人が本気で来るとかやばいな………


周囲がさらに騒がしくなった。

周囲のものたちが見ている方にいたのは、ついさっき話しをしていた四人。


「へぇ、珍しいなアイツらが外に出るなんて」


「そうなの?」


「はい。特にカミラさんとシュカちゃんは一年に数える程しか外に出ません」


「へぇ」


何とも不健康な生活しているね。

俺は色素が薄くても日に弱いってことはなかった。

弱かったら俺もそうなっていたのかな?

運が良かったのかな、そういった面では。


「ハヤテさん。多分それは違います。シュカちゃんは白狐族という種族で、さらに魔人で魔力が他のものたちと比較すると高いので、周囲から怖がられているんです」


身体が弱いのではなく、他の理由があったということをリリが教えてくれた。


「何それ?」


俺はリリに向けるのはおかしいというのは、分かっているが多少の怒りを込めて聞いた。


「私もそう思うんですけど、閉鎖的な村なので………」


リリちゃんは、それがくだらないことと思っているようだ。

ガウルさんもリリちゃんと同じ表情をしている。

………村の中心は悪くないみたいだけど、それを末端までさせることができないのかな?


周囲を見てみると多いのは猫、犬、狼、熊の亜人、獣人たち狐の特徴を持っているものはいないし、髪の色も茶色に金色、濃い灰色(黒ではない)、緑色でシュカちゃんのような真っ白はいない。


「表立っているものは無いが、子供のちょっとしたものがな……」


ガウルさんがそういったことで、俺はそれで多少納得した。

村の人たちを見ると子供たちの方が人数が多い。

多分、これは狩り等にいった時には、不幸なことが起きてしまうからだろう。


確かに、まあ、シュカちゃんへの嫌悪感とかは見ているものたちからも、そんなに感じ取れないからその通りなのだろう。


それ以上に身体能力が低いのが問題なのだろうね。

身体も細かったし、動けるような鍛え方もしていないだろうが、他の子供を見るとかなり動ける感じがする。

それは生粋のものなのか、訓練等をしているからなのかは分からないけど。


まあ、ちょっとした違いからくる行き違いなのだろう。


ん?


シュカちゃんを見るものの中に、熱っぽい目で見ているものがいた。


ああ、そういうものもいるのか。

あれだよね。

好きな子には、嫌がらせをしちゃうっていう小学生の男子みたいな。


俺は露骨に出していないものも、見つけようとすると結構多く見つかった。


………問題はなさそうだな。


シュカちゃんは何というか、守りたくなるような感じだ。

他の女の子を見ると見た目だけの判断になるが、結構活発というか気の強そうな印象を受けるから、そういった他にいないタイプというもの関係してそうだな。


俺はそう考えていると、ふと、なんでシュカと同じ種族がいないのに彼女はここにいるのだろうと思った。

リリちゃんに聞いてみようと思ったら、彼女たちがこっちにきたのでそれを聞くのはやめた。


「こんにちはガウルさん」


「久しぶりだなカミラ。身体を弱いのは知ってるが、少しは外に出ろよ」


「耳が痛いですね」


「飲むか?」


ガウルさんはカミラさんに勧める。

俺からするとそれをお年寄りに進めるのはどうかと思うのだが………


「もらいましょう」


カミラさんはジョッキを受け取って一息に飲んだ。


え!?飲むの!?しかも一気!?


俺は予想外の行動に驚いた。

別に大酒を飲むお年寄りは知っているが、カミラさんの雰囲気とあまりにも違ったからだ。


人は見かけによらないな……


よく知っていると思うマルタさんもため息をついている。

というか、酒飲みなら外に出ると思うのだが違うのだろうか?


ん?


俺のコートの裾が引っ張られた。


「………」


「どうしたの?」


引っ張っていたのはシュカだった。

恥ずかしそうに俺を見上げている。


「………頑張って」


シュカちゃんは顔を赤くしながらそういった。


「ありがとう」


俺がそういうとリリちゃんの後ろにいき、そこから覗き見るような感じで俺を見てくる。

それと同時に背筋に悪寒が走った。


「珍しいですね。シュカちゃんが誰かに話し掛けるって。ハヤテさんのこと気に入った?」


「………(コク)」


「あ、やっぱり」


シュカちゃんはリリちゃんの発言に頷いた。


気に入られるような覚えはないのだけどな………

先程よりもさらに悪寒が強くなる。


………お前らそう思うのなら見て無いで話し掛ければいいじゃないか。

いや。俺も紫苑姉と上手くすることは、できなかった。

人にそういう資格もないか………


再びざわめきが大きくなった。

グエンさんが歩いてくる。

朝に振るっていた巨大な大剣も背負っている。


グエンさんに周囲に意識がいったので悪寒も消えた。


そういえば、説明されたことが正しければ、あれは牙を加工して作られたといっていたな。

それが本当だとすれば相当巨大な生物もいるっていうことだよね。


ファンタジーの定番の巨大生物といえばドラゴンだけど、どうなんだろう?

これが終わったら聞いてみようかな。


「親父………あれを使うのか………」


………この反応は絶対に不味いヤツだ。


「あれなんですか?」


ここは聞いておかないとな、もしかすればあれの元もいいそうだし。


「あれはこの村に伝わる唯一の宝みたいなもので、森の主を一対一で倒せたものにのみ使うことが許される武器だ」


俺の聞きたいこととは違うが、あれを使わなくともあの主を倒すことができるということか………


………相手の方が強いということを前程にやろう。

そして、できる限り得られるものを得よう。


次話投稿は本日の18:00です

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