姫様には 秘密 があるのです
メイド達が動き出す音で目が覚める。 でも まだ寝ていたい。
…慌ただしく歩き回るメイド達の足音が聞こえて 眠れない。 寝かせてくれたっていいじゃないか。
仕方が無いから、思いっきり伸びをして、 残っている眠気を吹き飛ばす。 だが ベッドからは出ない。
今私が出て行っても、 メイドさん達の邪魔になるだけだから。
今日の予定を思い浮かべて、にやっとする。 夕方から 今年一番のパーティーが開かれるのだ。
問題は、つまらない隣の国王と『パパ』の会談について行かねばならないことだ。
『パパ』は王様だから よく会談をするのだ。 偉い人と。
『パパ』は、お仕事に私を連れて行くのだが 何も楽しくないのだ。 やめてほしい。
時計を見て、朝ごはんまで あと10分しかないことに気がつく。 危ない 遅刻する。
ここは 走ったら怒られるのだ。 なのにメイドさんは、よく走る。
私が走るとみんな 私を引きとめようと、大声で名前を呼ぶ。
ようやく食堂にたどり着いて 中に入る。
そして 『パパ』が入ってくると 家族全員で 〈いただきます〉をして、食べ始める。
食べ終わると メイドさんがつきっきりで、 身嗜みを整えてくれる。 別にそんなこと、しなくてもいいのに。
綺麗になって、落ち着いたところで『パパ』がやってきた。
ぐえ。 もう行くのか。 今日は 早く終わったらいいなと思いつつ 『パパ』の後ろについていく。
黙ってついて行くと、馬車に乗り込んだ。 何時もなら移動しないのに、今日は 何処に行くのだろう。
結局ついたのは、敷地内で 歩いてもいい距離だった。
ただ 歩いてもいいが、遠いので多少疲れるだろう。
私は始めの世間話に使われて、そのあとは完全に放置だ。
もしかしたら 私がいなくなってもだれも気づかないのではないか。
そっといなくなろうか。
でも 扉の前の兵隊さんの目を掻い潜らなければならない。
それって結構難しいと思う。
うつらうつらしていたら、会談は終わるようで 挨拶をしていた。
『パパ』は 私の頭を撫でて、疲れたな と言っていたが 私は疲れなかった。 寝てしまったから。
でも、このあとパーティーがあるから 『パパ』もウキウキしていた。
パーティーの 始めの言葉を言ったら 『パパ』は『ママ』と 踊り出した。
その間、私は自由だ。
したに降りれば、誰か彼かが構ってくれるから降りて行く。
でも あまりウロウロしていたら、足とかを踏まれるから そういうことはしない。
別に、私が嫌われているわけではないと思う。 不可抗力だ。
踊りの中に入っても、踏まれるから 踊りもやらない。
ご飯も美味しそうだけど、健康に気を使わないといけないから 食べない。
パーティーの雰囲気は好きだが、これと言ってすることがないのだ。
『パパ』と『ママ』が 踊り終わったら 『パパ』のところに 駆け寄って、 抱っこしてもらう。
そして 上からみんなが代わる代わる踊るのを眺めるのだ。
パーティーにパピヨンがいても邪魔だから。
ある国の王様は有名な愛犬家でした。
子供がいなかったので、娘のように可愛がっていました。
ある国の王様のパピヨンは賢い犬でした。
そして、王様が大好きでした。
王様たちの言葉を理解し、娘のように振舞っていました。




