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桜舞う季節に  作者: 神賀
21/21

xx.後書 [ExtrA] -ネタにまみれた人物紹介-

 Q.エロゲっぽく仕上がっていたでしょうか。


 この小説は元々、大昔にノリに任せてテキトーに書いていた物でした。投稿を決意するまでは11話までしか書いておらず、しかも一話の文字数が少なめでしたのでちょっと文字数を水増しすることにしたものの、結果的にテンポがクソ悪くなるというオチになっちゃいました。描写を増すんじゃなくてネタを追加するべきだったと後悔してます。


 しかも流れ(というか構成?)を修正するのがめんどくさかったので、割とよくある若気の至り的な書き方も残したままにして、敢えて伏線に使ったりもしたのですが、そのために一話目で読むのを止めた方も多いと思います。姉の初登場あたりはもうちょっと何とかならなかったものかとも思うのですが、もう修正するのめんどくせえです。


 伏線といえば、最後の舞台もどこかでこういう不思議パワーが満ちた曰く付きの場所があるよ、的な文言入れたかったんですけど、ぶっちゃけると忘れてました。陰陽術関連は他にもうちょっと匂わせることはできなかったものか。18話以降マジ急展開、超展開。


 12話以降については、11話までの加筆修正+投稿が終わってから真面目にプロットを立てたので、それ以前とは感じが違うなと思った方もいたかもしれませんし、なんの違和感も受けなかった方もいたかもしれません。どちらにせよ、単純につまんねえとかくどすぎるとか誠うぜえとか文句を言いたい方はおおいにいるでしょうが、そういう方は運が悪かったと思って一つご勘弁を。


 あと、別にTSとか意識して書いてなかったし、あまりこだわりもなかったので、そういうものを求めていた方にはお詫び申し上げます。TSモノとして考えるとちょっと変則的だったかもしれません。「この小説をお気に入り登録している人はこんな小説も読んでいます!」の欄を見たときは本当に申し訳ない気持ちで一杯でした。


 なにはともあれ。


 最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。

 ここだけ読んでくださった方、もう十分です。本編スルーが吉です。





 それでは、最後に人物紹介でも垂れ流すとしましょう。

 ネタバレありきです。


 ※尚、人物紹介だけで14000字近いので読む方は御覚悟下さい。





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◆人物紹介 (スタッフロール)

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城崎誠しろさきまこと 17歳/男/高校三年生


 エロゲテキスト風小説『桜舞う季節に』の主人公。


 尊大、変人、性格悪いと三拍子揃った高校三年生だったが、

 捻じ曲げられた運命を正し、心のままに人を愛することをようやく許され、

 解放された心は徐々に本来の実直さを取り戻していく。

 その過程が描かれることはおそらく無いが、最終的には身も心も

 正しくイケメンになっていった。

 そうした果てに再びかつての好敵手ライバル相見あいまみえ、

 真の決着へ向けてひた走る事となる。




横田真尋よこたまひろ 17歳/男→女/高校三年生


 エロゲテキスト風小説『桜舞う季節に』のヒロイン。


 男だったのにヒロイン。

 若干影薄めだったけどヒロイン。

 愛ゆえに壊れてしまったという、その生い立ちは割と悲劇そのもの。

 それでも彼は元気に、何事もなかったかのように生きていく。

 自らの感情に蓋をしながら、それがいつ爆発するかと怯えながら。

 葛藤は彼の心を確実に蝕んでいくが、愛する者の努力が実り、

 彼は彼女となってその心は主人公と同じく解放された。

 解放された心はもはや止めようが無い。

 鬱屈していた分を吐き出すかのように愛を求め、愛を与える。

 そうして主人公と互いの傷を癒していき、やがてその愛は結実する事となる。




柳川光やながわひかる 17歳/男→女/高校三年生


 ライトノベル『女装陰陽師の何が悪い!』の主人公。


あらすじ)

 代々陰陽師としての力と資格、その義務を受け継いできた柳川家。

 その中で若くして際立つ才能の片鱗を開花させ、父から現頭首の座を

 受け継いだ柳川光には困ったことがあった。

 男として生を受けたものの、自らが女であるとしか思えなかったのだ。

 柳川家に受け継がれてきた秘事を知り、加えて前世の記憶が蘇ることで

 尚の事確信は深くなる。

 柳川光は本来女として生まれるべきであったと。

 その想いはやがて願いへと変わり、真実の自分を求めて走り始める。

 戦いは始まった。

 彼を女装陰陽師と嘲り笑う悪の陰陽師組織と戦いながら奔走し、

 その果てにようやく呪いの元凶と悪の陰陽師組織を滅ぼすことに成功する。

 歪められていた認識は正常になり、ようやく彼女は葛藤から解放された。

 その功績は正しく讃えられ、彼女を指して陰陽師たちは口々に言う。

 柳川の女装陰陽師は現代の英雄だ。でも女装はちょっとね。

 「私は女です!女装して何が悪いのよ!」

 今も尚、彼女の叫びは虚しく響く。




柳川法全やながわほうぜん 享年20歳/女/陰陽師


 伝奇小説『宮中奇伝 紅の炎』の主人公。


 あらすじ)

 時は平安。

 宮中の貴族達は自らの力を誇示するにあたり、陰陽師という存在を重宝した。

 中でも、久世家のお抱えである柳川一族の力は凄まじいものだった。

 一貫して政治の表舞台へと出ようとしない久世家であったが、

 事実上の影響力は裏の皇家と仇名される程であった。

 されど世は栄枯盛衰、盛者必衰の理は貴賎を問わず平等に滅びを与える。

 始まりは柳川の鬼才、紅の異名をとる柳川法全の乱心であった。

 自らの使える主人である久世くぜ清弦せいげんに身分違いにも

 懸想していた法全は、主人に振って沸いた縁談を破局させようと暗躍する。

 その影にはかつて勢力争いの果てに宮中から追われた貴族の怨霊があった。

 怨霊は法全を介し宮中を混乱に巻き込むことによって

 恨みを晴らそうとしていたのだ。

 嫉妬の炎は彼の怨霊の力を持って極限まで燃え上がる。

 が、その野望は同じく陰陽の使い手であった父と兄、そして

 陰陽の手ほどきを受けた想い人自身の手によって阻まれた。

 正気に戻った法全は操られた事に憤慨し、怒りのままに怨霊を消滅させた。

 半ば操られたも同然の所業ゆえ、叱責と無期謹慎のみで

 済まされた法全であったが、主人への恋焦がれるその思いは

 決して消えることなく、更に燃え上がり続ける。

 法全を紅の術師と評したのは誰であったか。

 純粋であるが故に一度ついた炎は消え去ることはない。

 とはいえ、正当な手段では願いが叶わない事は明白。

 立場上のこともそうであったが、本人達の気持ちが何よりそれを物語っていた。

 争いの中で、互いにその身をかばい、殺すならば己をやれいと訴えるその胆力。

 清弦とやがて妻になる十輝子の間にはつけいる隙がこれっぽっちも無かった。

 ならば、と彼女は一計を案じた。己には常人にはない力がある。

 研鑽に研鑽を重ね、彼女は今世が駄目ならば次世にかけようと禁忌の術を

 編み出した。それこそが天命捻転てんめいねんてんの禁術。

 理論は完成した。術式の構築も済んだ。

 しかし発動させる時点になって彼女は挫折を味わうことになる。

 必要な霊力が莫大過ぎたのだ。

 その頃には既に清弦と十輝子は祝言を挙げていた。やがて子を成すのだろう。

 そんなものは見たくない。愛する人が別の女と作った子供など、見たくない。

 あるいはそれも必然だったのか。

 彼女は足りない分を己の命で補うことにした。

 もはや現世に未練はない。

 否、正しくはあるが、次世で晴らすことができるはず。

 彼女は言葉通り全身全霊を賭けて禁術を発動させた。

 燃え上がる命は散っていく───。


 経過千年。輪廻の果てに彼女は歓喜の声を上げた。

 清弦であるが清弦ではない。

 その彼がかつて夢見たように華奢な体を抱き寄せる。

 恋の紅は変わることなく燃え続け、一層煌いていた。




城崎美琴しろさきみこと 21歳/女/大学三年生


 木曜ドラマ『ブラコン女の華麗なる日常』の主人公。


 あらすじ)

 捻じ曲げられた運命の産物として生まれた彼女だったが、彼女にとって

 そんなことはどうでもいいことだった。彼女は弟が好きだった。

 どうしようもなく好きだった。

 捻じ曲げられたとかそういう事はどうでもいい。

 弟が幸せになれるならなんだってしよう。

 なにせ、彼は私なのだから。

 誰にも悟らせず、裏から手を回し、彼女は弟のために力を尽くした。

 彼女のいびつな愛情は生来の傲岸不遜さと類まれなる資質を持って

 遂に成就する。

 気付けば、彼女の足元には大勢の男達が奴隷の如くひざまずき、

 周りには彼女に憧れる女達が侍従の如く付き従っていた。

 「美琴様、彼は幸せを掴み取りました。これから如何致しましょう?」

 「そうねえ、あんた達に手伝ってもらった恩を少し返してあげましょうか。

  この国をもっと住みやすい国に変えてあげましょう。

  きっと弟も喜ぶはず。ああ、楽しみだわ。ふふふ、あはは、あははははは!」

 やがて、この国に女性初の総理大臣が誕生する。




小池恵子こいけけいこ 17歳/女/高校三年生


 四コマ漫画『寄生生物アホ毛』の主人公。


 あらすじ)

 高校入学と同時に突然少女の頭にできたアホ毛。

 その正体は意思を持った寄生生物だった!

 彼らは思念で会話し、人の情念を活動エネルギーとするらしい。

 「それで一体キミはなんなのかなー?」

 「我輩はアホ毛である。名前はまだ無い」

 「じゃあアホ毛って呼ぶねー」

 アホ毛は言葉を話さない。声帯が無いのだ。当然である。

 アホ毛は欲望を持たない。感情が無いのだ。当然である。

 しかし動く、動くのだ。

  ゆらゆらと揺れるアホ毛は宿主の少女に思念を飛ばす。

 「その、もうちょっと可愛い名前つけて欲しいのである」

 「んもー、めんどっちぃなー」

 結局アホ毛と呼ばれ続けるそれは宇宙人だったことが、

 いきなりNASAからやってきた美人調査官から明かされる。

 すわ人体実験、解剖調査かと思いきや、その調査官も実は

 アホ毛に寄生されていた。アホ毛の目的とは一体何か?

 アホ毛は人間社会に興味を示す。アレは何?コレは何?

 怖いぐらいに色々興味心身だ。見たい聞きたい喋りたい食べたい!

 「ああ、この前のイエローケーキは素晴らしかったのである!」

 「全くアホ毛の癖に感情豊かだよねー。欲望まみれだよー」

 「我輩の種に感情は無いのである!欲望とは一体何か知りたいのである!」

 勿論説明の必要はない。アホ毛はつまるところアホなのだった。

 アホに寄生された人間は何かに誘われるかのように次々と集まってくる。

 「アホ毛達にはさー、リーダーとかいないのー?」

 その言葉に端を発し、開始されたのは壮絶なバトルロワイヤルだった!

 振り乱されるアホ毛、アホ毛、アホ毛!その力は大地を切り裂き空を割る!

 最強のアホ毛が今ここに!もちろん四コマ目で決まる!




田仲彼方たなかかなた 17歳/男/高校三年生


 異世界トリップ小説『ブラステッドホームレス!~回文の怪物~』の主人公。


 あらすじ)

 それは、25歳を迎えた夏の蒸し暑い日に起きた事だった。

 トラックに轢かれそうになった子猫を救おうと思わず車道へ飛び込んだ田仲は

 全くその行為に意味を持たせることも出来ず、子猫と共に死んだ。

 「田仲君。ちょっと僕達の世界救ってきてよ」

 目を覚ました彼にそう言う白いもやは神だと名乗った。

 田仲には悪魔にしか思えなかった。要はこういうことだ。

 生き返らせてやるから現世の何もかもを捨てて異世界を救え。

 あまりにも荒唐無稽でかつ、割に合わない要求である。

 それでも彼は承諾した。共に居た子猫の魂を救うためだけに。

 「なんて欲が無いんだ君は。いいだろう。その子猫も生き返らせてあげよう。

  なに、これはただのサービスだ」

 そんなことは望んでいない。彼は子猫の魂の安息を願っただけだ。

 剣と魔法の異世界に放り出され、彼は子猫と共に生きていくことを

 余儀なくされた。

 言葉が通じず、意思も通じず、常識すらも通じない。

 彼はホームレスとなった。

 世界を救う?馬鹿馬鹿しい。この世界にいる魔物はさして脅威ではない。

 それよりも余程人間のほうが頑強で、醜悪で、尊大で、

 まるで昔の城崎のようだ。

 ああ、城崎。名実共に完璧超人となったお前がいればどんなに良かっただろう。

 お前なら言葉も魔法もすぐに覚えて、この傲慢なる人類を正して

 世界を救うことすらできたかもしれない。

 けれど俺はお前じゃない。ただの平凡な人間だ。

 にゃあ、と子猫が鳴く。ああ、お前にも迷惑をかけてしまっている。

 俺はお前が狩ってくる食料でなんとか生き長らえている。ありがとう。


 そして時は流れる。

 おおよそ一年。世界の理はさらに彼を絶望の底へと叩き落す。

 子猫は巨大で強大な魔物となっていた。

 人里から離れ、魔物の肉を食べ続けたせいだった。

 子猫と同じ物を食べていた彼もそうだ。今やほとんど人間ではない。

 姿形は御伽噺で聞く悪魔そのものだ。額には一本角が生え、肌は黒く染まり、

 指先には獲物を抉るための鋭利な爪がある。歯は肉食動物のように尖っていた。

 「俺はもう、怪物だ」

 にゃあ、と子猫が鳴く。相変わらず甲高い可愛らしい声だった。

 あるとき、勇者と名乗る一行が彼の前に現れた。

 「なんて強力な魔力だ!」

 「危険な魔物だ!街に来る前に排除しないと!」

 「違う!俺は、俺は田仲彼方!人間だ!お前達と同じ人間だ!」

 「タナカ・カナタ……?何か妙な言葉すら話すようだ。油断するなよ!」

 強力な魔と化した彼の前にその人間たちはあっけなく倒れた。

 命は奪わなかった。俺は人間だ。獣じゃない。同種族の人間を殺しはしない。

 例えどんなに蔑まれようと、俺は人間だ。彼らと同じ人間だ。

 タナカ・カナタ。やがて、生きた伝説となるその魔者は、

 コネコと共に回文の怪物と呼ばれるようになる。


 さらに時は流れ数千年。

 文明は発達、隆盛し、飽くなき探求の果てに

 異界を開く技術すら構築されていた。

 人間達は知的生命体の居ない異世界の物資を自分達の世界へ持ち込み始めた。

 最初は順調だった。しかし、ある異世界への扉を開いたことで彼らは自らの

 思い上がりを悔やむ事となる。

 テラーフォウム。そう呼ばれる異界生物はとてつもなく凶悪な存在だった。

 剣も魔法も、科学の刃ですら彼らには届かず、この世界のあらゆるもの、

 人も魔物も動物も虫も植物も鉱物も、生きとし生けるもの全てが、

 有機無機の区別なく衰退していく、滅びてゆく。

 まさに世界の危機だった。

 「君の出番だよ。タナカ・カナタ君」

 遙か昔に聞いた声が怪物の耳朶を震わせる。

 これか。これが世界を救うと言う事か。遅すぎる。あまりにも遅すぎる。

 それでも彼と子猫は戦った。人類を守るために戦った。

 人が成すすべも無い相手に対し、この世界最強の存在は猛威を振るった。

 蹂躙した。殲滅した。滅ぼしつくした。

 だが、そんな彼を人々は恐れた。勿論彼と共に戦おうとした人間もいた。

 心を通わせようとしてくれる人間もいた。しかし皆戦いの中で死んだ。

 真実を知る人間は残らない。残るのは事実だけだ。

 回文の怪物が異界生物を悉く食い尽くしたという事実だけ。

 もう、彼に関わろうとする存在はいない。

 生きた伝説は再び思い知る。やっぱりこの世界とは相容れない。

 この世界は俺のホームじゃない。俺は永遠にホームレスだ。

 帰りたい。帰りたい。帰りたい。

 嘆いた。彼はそれから永く、永く、啼き続けた。

 怪物は再び人前から姿を消した。


 それからしばらく後の事、疲れ果てた彼の前に一人の人間が現れた。

 「おい、田仲」

 人間は逃げ出すことも恐れることもなく、田仲の前で佇んでいた。

 その手には一部分を掴まれてぐったりしているよく分からないもやがある。

 それを見て田仲は泣いた。

 「こいつイラつくからぶん殴っておいた。帰るぞ」

 「なんかもう、全部台無しだよ。お前は本当に無茶苦茶だな」

 「こいつらの方がよっぽど無茶苦茶だ。マジで洒落にならねえよ。

  お前以外にも酷い目にあってる奴いるんだぜ?

  規律違反だってウチの世界のがマジギレしてたよ。どうだ、お前も殴るか?」

 「はは、はははは……」

 にゃあ、と子猫が鳴く。

 疲れきった(ブラステッド)ホームレスは、ようやく家に帰れたのだった。




蔵野葉樹くらのはき 17歳/女→男/高校三年生


 TSコメディ漫画『祝福のちち』の主人公。


 あらすじ)

 ある朝、目が覚めると蔵野葉樹は男になっていた。

 心当たりはあった。彼の友人がそういう魔法を己に使っていたからだ。

 ただ見ていただけの自分にまでまさかその効果が現れるとは思いもせず、

 青天の霹靂に葉樹は震えた。震えただけだった。

 まぁ、別に困らなくね?

 彼の生き方を一言で片付けるならば「大雑把」である。

 元々、あまり女性としての振る舞いをしていなかったこともあり、

 大した問題ではない。とはいえ、既に常識は女のそれに近い物がある。

 男ならば知っている朝の生理現象を妹に見せつけて嫌がられたり、

 女ならば誰しもが苦痛を感じる月のものが無くなった事を喜んだり、

 妹が可愛いことをようやく客観的に見れて男共の排斥を始めたり、

 と、確実にその行動は変わっていったものの、周りも自分も

 すぐにそれで良いのだと納得した。

 それどころか男の気持ちも女の気持ちも理解する彼は、完全に

 クラスの人気者になっていた。

 そんなある日、同級生男子とおっぱいの話題で盛り上がった彼は

 ふと昔を思い出した。彼は女であるとき、実は結構な巨乳だった。

 陸上部として活動していた際には、その巨乳がどれほど邪魔な物だったか。

 だが、その邪魔な物がどれほど男を魅了する物か。

 「巨乳こそ至高だ!」

 「ちっぱいの魅力に叶うもの無し!」

 自らの性癖を赤裸々に語るクラスメイトの意見は確かに頷ける。

 しかし女性からしてみれば、巨乳は邪魔な物、垂れるかもしれない、

 変な視線を集める、かといって貧乳だと、悔しい、男に蔑まれる、などと

 ネガティブな面があることを彼は知っている。知っているが故に吼えた。

 「俺、おっぱいの大きさを自由に変えられる薬を作る!

  進路も決めた!薬剤師になるために薬学部へ進むぜェ!?」

 周囲の無茶だ、バカなことはやめろという声をはねのけ、彼は薬学部へ進学し、

 大いなる野望を数十年の月日を経て現実にしてしまう。

 世界中の誰もから現人神、即ち乳神として崇められるのであった。

 その過程で様々なドラマが派生したのだがここで多くは語るまい。

 ただ、これだけは言っておこう。この薬は男にも使える故に常識は瓦解した。




蔵野麻衣くらのまい 16歳/女/高校二年生


 青春小説『風を切って』の主人公。


 あらすじ)

 陸上が好きな少女の目標は一人の男だった。

 彼を初めて見たのは何歳の頃だっただろうか。

 小さな頃から彼の足が速いことは知っていた。たまたま見た彼の走る姿。

 その爽やかで邪念を一切感じさせず、ひたむきに、純粋に走ることを

 楽しんでいる彼の姿は憧れになっていた。思えば、初恋だったのかもしれない。

 少女は一心に己を鍛え始めた。彼のようになりたい。彼の隣を走りたい。

 中学に上がって陸上部に入り、少女は彼とようやく話す機会を得たと思った。

 だが、彼はもう一人の才能の前に敗北し、姿を消した。

 それでも彼女の内から彼に対する憧れは消えなかった。

 確かに憧れの少年に勝った少年も才能はある。でもそれだけだ。

 彼女がかつて見た走ることに対する真摯さ、純粋な想いが欠けている。

 それを理解できない他の陸上部員の批判が許せなかった。

 でもそれを更に批判して何になるというのだろう?

 彼ら彼女らと同じことをしても意味がない。なら、見せればいい。

 彼が体現していたその走りを、憧れるその姿を、己が魅せればいい。

 少女は走り続ける。挫折もあった。後悔もあった。喜びもあった。

 そしてその先には彼がいる。何者をも打ち負かし、頂点で待つ彼がいる。

 私は彼のようになりたい。

 少女はいつか聞いた教えをその身で示し、風となる。




横田八尋よこたやひろ 15歳/男/高校一年生


 超次元サッカー漫画『オーバーアクセル』の主人公。


 あらすじ)

 「横田。高校でも俺と組まないか?」

 才能溢れる相棒の誘いを蹴り、横田八尋は地元の高校に入学した。

 何故だ、と相棒から聞かれるようなことは無かった。

 一度、本気で戦ってみたい。

 言葉を交わさずとも、彼らは同じ想いを抱えるに至った。

 強豪校に推薦で入った相棒とは違い、八尋が所属することになった

 地元の高校のサッカー部はそれほど強くはない。

 かといって滅茶苦茶に弱小というわけでもない。

 同級生と先輩達の実力を見て、八尋はこの先に思いを馳せていた。

 このチームを俺の在籍する三年間で強豪にしてみせる。

 普通なら不可能だと言われるだろう。だが、彼はそれに挑んでみたかった。

 敬愛する男がまさに不可能を可能にする男だったからだ。

 チームでの彼は当初浮いていた。あまりにもレベルが高すぎたのだ。

 彼に合わせられる人間はたった一人、部長だけだった。

 それも彼が特殊能力とも呼べる才能を発揮すると途端についていけなくなる。

 オーバーアクセル。彼の力を敬愛する幼馴染はそう呼んだ。

 遅滞する世界、その中で唯一限界を超えて加速する自身の感覚と体。

 そんな彼を見て、チームメイトは臆するどころか、その才能についていこうと

 努力し、足掻き続け、やがて秘められた才能を次々と覚醒させていく。

 高校二年になり、部長となった八尋のチームは確実に自力をつけていた。

 数々の強豪を破り続け、ついにかつての相棒を有するチームと

 対戦する事となる。

 相棒も超人的な能力を開花させていた。

 試合の流れそのものを操るその能力は自身の力より余程魔法のようだった。

 といっても万能ではない。操るといってもそれは新たに流れを作るものであって

 相棒が基点となることが最低限の発動条件。しかし一度発動してしまえば、

 その流れには誰であろうと逆らえない。どうすればいい?

 八尋はその答えを自らの進化する力の中に見出す。

 加速する感覚はやがて目に見えない流れまでも捉え始めたのだ。

 相棒の力が発動する流れまでも見て取れる。

 ならば、発動の流れ自体を前もって叩き潰せばいい。

 それは確かに成功した。成功したが余りにも消耗が激しく、そう何度も

 できる事ではない。

 だから、能力発動はその機会を潰すことのみに絞ることになる。

 超常の戦いは互いの能力を持って打ち消しあい、必然、

 その力を必要としない純粋な肉体だけの勝負へと移行していく。

 「楽しいなあ、楽しいなあ、八尋ぉぉ!!」

 相棒が笑い、八尋も口の端を歪める。純粋な肉体と技術だけの勝負。

 だが、超常の戦いの中で釣り合うように自然と磨かれていたそれらも既に

 一般から見れば超常の領域に入っていた。

 ボールがネットへ突き刺さる。果たしてそれはどちらのチームの物だったか。

 グラウンドに力尽きて倒れる二人の片割れが、力強く拳を突き上げる。

 鳴り響くホイッスルの音が、決着を告げていた。




横田千尋よこたちひろ 15歳/女/高校一年生


 テレビアニメ『物理的魔法攻撃少女☆ヴァンダム』の主人公。


 あらすじ)

 俺と一緒にレッツヴァンダム!

 そんな合言葉と共に横田千尋はフリルの付いたまるで魔法少女のような

 姿で民家の屋根上を飛び跳ね駆ける。追いかける先には異形の影があった。

 その異形の頭部に強烈なかかと落しを決めながら、

 千尋はつい先日のことを思い返していた。


 出会いは突然だった。双子の弟のサッカーの試合を見に行った帰り、

 暴走する車の屋根に掴まったおっさんが叫びを上げているのを目撃したのだ。

 「なにあれ。映画?」

 当然の疑問である。暴走した車は電柱にぶつかり、ひしゃげたフロント部分が

 煙を上げる中で、そのおっさんはくそったれ(ファッキン)!と吐き捨てた。

 「ッデム!エクスペンタクルズのクソ野郎共めッ!!」

 「あ、あのー、大丈夫ですか?」

 筋骨隆々のおっさんは千尋のてっぺんからつま先まで見渡すと

 ひゅうと口を鳴らす。

 「いい鍛え方してるじゃねえか、お嬢ちゃん。

  どうだ、俺と一緒にクソ共をぶちのめさねえか?」

 彼は異世界ヴァンダボーの妖精でクロードという名前だと話した。

 意味が分からない。妖精ってもっとファンシーなものじゃないの?

 ていうかただのおっさんじゃないの?というか筋肉具合からして格闘家?

 好奇心旺盛な千尋はこのとき興味に突き動かされてさらに質問を重ねた。

 それが間違いだった。

 「良い子のお嬢ちゃんには秘密の呪文を教えてやるぜッ!」

 おっさんは華麗な回し蹴りを放ちながら叫んだ。

 ジャンジャンジャジャンッ!ジャンクロードッ!

 ヴァンヴァンヴァヴァンッ!ヴァンダミンッGOッ!!

 「さぁ、叫べッ!」

 気圧されて、ついごにょごにょと呟いてしまうが、おっさんはそんな彼女に

 怒り心頭だった。バンじゃねぇヴァンだ!もっと腹から声を出せェッ!!

 ジャンジャンジャジャンッ!ジャンクロードッ!

 ヴァンヴァンヴァヴァンッ!ヴァンダミンッGOッ!!

 嫌々ながらも千尋が叫ぶと、体が光に包まれ魔法少女のような格好に

 変わっていた。

 さらに勝手に口が動く。

 「世界の歪みは許さねえ!肉体言語が全てをデストロォォォイッ!!」

 え、あたし何言ってるの?

 「お前はその力でこの世の邪悪を撃ち滅ぼす役目を負ったッ!!!

  それこそが正義の魔法少女☆ヴァンダムッ!」

 キョドる千尋を見て満足そうに頷くおっさん妖精は急に視線を鋭くして叫ぶ。

 「でやがったな、クソッタレの化け物が!」

 そのまま流されるようについていって、結果が今時分の踏みつけられた影だ。

 エクスペンタクルズと呼ばれるこの影は人の欲望が切り取られ、一週間に一度、

 木曜夜九時に生まれるらしい。ちなみに発見当初は数百体いたが、

 クロードがほぼ全てをその拳で打ち砕いた。

 自分の存在意義に疑問しか出てこない。

 「もっと魔法っぽいことできないの?」

 「男に拳以外の魔法はいらねえんだよ」

 「あたし、女の子なんだけどなあ……」

 「その姿になれたってことはお前の心に男が住んでるってぇ事だ」

 「それはないない」

 「好きな男の事だぞ?」

 おどけるクロード。顔を赤くする千尋。からかうクロード。憤慨する千尋。

 戦うクロード。見てるだけの千尋。はしゃぐクロード。呆れる千尋。

 そんな二人は木曜夜九時に戦いをはじめ、次の日曜までに全てを殲滅することを

 繰り返した。そんなある日、ついに最強最大のエクスペンタクルズが生まれる。

 沈黙のスティブ、導のスタロ、鋼のアーノル、青のマクレーン。

 その強さは折り紙つきだった。

 さらに虚栄のハリッドと呼ばれるエクスペンタクルズの力の源泉であり、

 生みの親でもある存在がその姿を現し、世界を混沌の渦に叩き込もうとする。

 「ヴァンダムッ!俺と合体(レプリカント)しろッ!そうすりゃ奴らなんざ一網打尽だッ!」

 「いや!絶対にいやーッ!!」

 世界を賭けた戦いは彼女の悲痛な叫びを持って、わりとあっけなく終わった。

 クロードはこの世界にもう用はねえと、なんの感慨も無く去っていった。

 この先年老いても、今までと同じく異世界ヴァンダホーで危機に備えて

 筋トレの日々を続けるのだろう。別れの悲しみもなく溜息しか出てこない。

 家に帰ると、双子の兄が微妙な顔で出迎えた。

 「今日の日曜洋画劇場、B級どころかクソ映画だったよ」

 「奇遇だね……あたしもそんな感じの見てきた……」

 気落ちする双子は互いの大きな溜息を聞いて、妙に悲しくなるのであった。




●城崎(父) 男/会社員

●城崎(母) 女/主婦


 格闘アクションゲーム『拳神フルブレット』の主人公ズ。


 あらすじ)

 城崎少年が合コンに呼ばれて出向いた先で出会った女子高校生は

 セーラー服を着た化け物だった。里霧さとぎりと名乗る少女は

 持ち前の怪力と代々家に伝わるという古流武術を使い、ドームを破壊する。

 ドーム?そう、ドームである。どこをどう間違ったのか、

 少年は合コンの場でなく、筋骨隆々の殺気を放つ人間達がいる

 ドームの中にいた。

 ここは何?俺場違いじゃね?

 しかし間違えたとはいえ元々ナンパな性格とタダでは帰れないという貧乏性が

 ドーム内に唯一存在していた女子高校生、里霧を発見させた。

 その結果がドーム破壊である。

 ナンパな少年の話し方、発言内容、華奢な肉体、馴れ馴れしい態度、その全てが

 里霧の癇に障った結果であった。

 里霧は言う。

 「男ならば戦え!戦って勝ち取れ!

  拳の神、フルブレットとなってから願いを叶えるがいい!!

  でなければ神が許しても私が許さんッ!!」

 呆気に取られたのは少年だけであった。

 大声で啖呵を切った少女を契機にドームに集まっていた人間達が一斉に吼える。

 そう、ここは格闘家が文字通り死力を尽くして己の力を競い合う裏の戦場。

 少年は震えた。何かの間違いだ。俺は一般人。こんな奴らに勝てるわけがない。

 しかし、この場にいることは即ち参加表明に他ならない。

 もはや引き下がることはできない。少女もまた吼えた。

 「戦え、戦うのだ城崎ッ!!」

 数千人規模のバトルロワイヤルが開始された。

 少女は胆を練り気を発して筋力に勝る男達を次々と吹き飛ばしていく。

 「どうした、戦わないのか城崎ィッ!

  筋肉に頼らずともコレくらいはできるのだ!

  お前にもその片鱗、あるはずだ!見せろお前の気をッ!!」

 出来るわけがない。少年は一端のスポーツ選手程にも鍛えていない。

 もし気が使えたとしても、彼女のように武術が使えるわけでもない。

 行き着く先は敗北───あるいは死か。

 襲い掛かってきたプロレスラー然とした男が拳を振るう。

 少年は覚悟した。避けるは不可。迎撃も不可。ならば取れる手段は一つ。

 耐えろ。耐えるしかない。己の名を示す城の如く、鉄壁の城砦と化せ。

 要は頑固者だ。俺の意思は何者にも曲げられやしないッ!

 果たしてそれは奇跡か必然か。

 少年はその拳に殴られつつも微動だにしなかった。

 次々と叩き込まれる拳にも同様に耐える、耐える、耐える。

 そこには筋肉で出来た山が出来ていた。

 「良くぞ耐えた!それでこそ城崎の名を継ぐ者だッ!!

  祝いだ!受け取れぃッ!!」

 少女は特大の気をその拳に乗せて大気ごと少年を打ち抜いた。

 それは今まで耐えたどんな拳よりも死を予感させた。

 拳神。少女が語ったその名が脳裏で閃く。だが耐えた。

 他の格闘者全てが盾になったことも原因ではあったが、

 それでも耐え切ったことには変わりない。

 屍の山が築かれるドーム上で、少年はへたり込む。生き残れた、と。

 だが、戦いはここからが本番だった。生き残った16人。

 彼ら、彼女らの最強の座を賭けた戦いが始まった。

 そうして、戦いの果てに残り四人となった時だった。

 一人の男がふらりと現れた。


 ───剣神。それは拳と異なる力の神。

 剣と拳はそれぞれの領域で戦い、決して相容れない。

 だが今代の剣神となった男は考え方が異質だった。

 剣と拳。どちらが強いか。磨いてきた技術はどちらが上か。

 それを知るためならば掟すら斬って捨てよう。


 ───答えは出た。

 残った四人全てを打ち倒した剣神はそう言った。

 凄まじい強さだった。研ぎ澄ました刃は全てを切り裂いた。

 だが、それでも。

 「耐え切れる!」立ち上がった少年。

 「捌ききれる!」起き上がった少女。

 拳とは何か。それは言葉を交わす以上に語らい、繋がるための絆の証。

 フルブレットとは即ち。全ての好敵手達を讃え総じた暑き魂の咆哮。

 少年は叫ぶ。

 「里霧ィ!好きだあああ!!結婚してくれえええええッ!!」

 少女は叫ぶ。

 「良かろう!ならばお前も応えろ!我等が拳は全てを背負い、全てを穿つ!」

 二人が放った最後の拳は剣神の刃を砕き貫き、その傲慢を滅ぼしていく。


 全てが終わり時は経ち、少女は子供達にそんな事を聞かせて語る。

 「嘘っぽい」「無いわー」

 からからと笑い、かつての少女はかつての少年の帰りを待っていた。



横田忠尋よこたただひろ 男/会社員

●横田(母) 女/主婦


 少女マンガ『縦横無尽の恋』の主人公ズ。


 あらすじ)

 疲れたので割愛。たぶん普通の恋愛漫画。

 番外編に『横田くんの災難』、『縦川さんの情熱』という漫画が存在する。



坂西健吾さかにしけんご 17歳/男/高校三年生


 十八禁PCゲーム『狂い咲く薔薇の花』の主人公。


 あらすじ)

 十八禁なので割愛。




佐古田吉弘さこたよしひろ 53歳/男/高校数学教諭

 

 恋愛小説『年の差なんて関係ない!』の主人公。


 あらすじ)

 クールで知的な数学教師である佐古田吉弘は、非常に

 女生徒から人気があった。しかし彼は実直な青年である。

 理性的に教師と生徒の恋愛など許されないと考える。

 何より、彼女達の気持ちは一時的な気の迷いであることも多い。

 青年は彼女たちの事を第一に考え、熱烈アタックを巧みにかわす。

 それが不味かったのか、彼女達の想いと行為はどんどんと強く、

 激しくなっていく。ライバルを蹴落とし、駆け上がろうとする彼女達は

 最早魔物だ。卑劣な手段も厭わない。

 その熾烈な争いの中、青年は心身を磨耗し、その髪を否応無く散らしていく。

 それは崩壊の序曲であった。

 徐々に塵行く髪の前に次々と嘆き、諦め、見捨てていく少女達。

 その中に最後まで彼を想い続けた一人の少女がいた。

 青年はその純粋な強い想いに絆された。

 年の差など関係ないのだ、法律だって許している。

 だが時既に遅く、彼に残っていた毛は僅かばかりだった。

 それでも、見た目に拘らず、彼を愛しぬいてくれる真実の伴侶を得た彼は

 幸福の絶頂にあった。

 それから時は流れ数十年。経過した時間に負けることなく二人の絆は

 強いまま。年の差ゆうに12歳の中年バカップルが誕生していた。




舞坂桜児まいさかおうじ 17歳/男/高校三年生

 

 ヴィジュアルノベル『それは芽吹いた桜のように』の主人公。


 あらすじ)

 この世界は僕を中心に回っている。

 その少年はとある陸上の勝負でそれを確信した。

 己を超える才能を下したが、満足感は何一つ得られなかった。

 勝ちを決められていたから勝った。ただそれだけだ。

 アカシックレコード。

 現在過去未来全ての事象を記したそれに触れてしまえる少年は

 その力を制御できず、絶望と諦めの中にいた。

 それでも少年は走る。見たくもない未来を振り切るかのように走る。

 しゃにむに走り続けて時は経ち、いつしか少年は青年となっていた。

 いくら走っても何も見えない真っ暗な道筋の先に、

 あの時下した男が再び現れた。

 どうせ勝てないのに。呟いた青年に男は言う。

 決まった未来なんてありえねえ。あったとしても俺が変えてやる。

 信じられないなら見せてやろう。吠え面かくなよ。

 青年の心は躍る。彼には何か得体の知れない力がある。

 幼い折にも感じていた不可能を可能にする何かがある。

 半ば諦めていた現実に希望の灯がともる。

 当然、手は抜かない。走れ、誰よりも速く。

 そうして結末。

 結果は記されていた事実と違った。

 失っていた感情が新たに芽吹いた桜のようにとめどなく溢れ出てくる。

 「もう一度勝負をしよう。正直、悔しくてたまらない」

 「いいだろう。結果はさっきと変わらないけどな」

 青年の心に桜が舞う。

※人の人生かくありき。誰もが物語の主人公だ!

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