表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/84

第三十三話 明るいぼっち



俺の友達、小原エイカに会ってから数日。俺はまたクエストに来ていた。もちろん、蛇はなしで。

「それで?今回はなんの魔物なんだ、フラム」

「ふふん、それはお楽しみね」

「いや、教えてくれよ」

対策出来ないだろうが。そういうのはクエストじゃなくて日常生活とかでやって欲しい。トラブルを招きそうなサプライズはいらん。

「冗談よ、今回の目標はオークナイト!推奨レベル40程度の大物よ!」

オークナイト?オークって確か豚頭のあいつだよな……強いのか弱いのかよくわからんやつ。いや、ナイトって何?

「オークナイトってなんだ?聞いたことないけど」

「オークナイトは、金属製の鎧や武器を身に着けたオークよ。凄く知能が高くて、高レベル冒険者と互角を取れる個体もいるわ」

ガチ強いやつじゃねぇか。確かに蛇以外とは行ったけど、もうちょいマシな奴はなかったのかよ。と、俺が不安そうにしているのを感じたのか、シオンが安心させるようにそう言った。

「大丈夫じゃ、オークナイトは人間の騎士道と似たようなものをもっているのか、戦意を失ったものを殺そうとしないのじゃ」

なるほど、死ぬことはないってことか。……ん?待てよ?

「なら倒す必要は無くないか?魔物に困ってるからクエストが出てるんだろ?」

俺が出した問いに、同じくシオンが答える。

「……正常な個体は、の話じゃからな」

「なんだよ、どっちにしろやばい奴じゃん!俺ほんとに大丈夫なのかよ!」

「「大丈夫大丈夫」」

俺の低いレベルを忘れたらしい二人が声を揃えて言う。……でも、マンティコアとかは無理だしなぁ……仕方ない。

「わかったよ。その代わり無理そうになったら撤退だからな」

「もちろん。私も死にたくはないもの」

「うむ、儂は天才魔族じゃから大丈夫じゃ」

二人はぐっとサムズアップをした。


「あいつがオークナイトか?」

「ええ、そうね。頭に黒くなっている鎧があるから、間違いないわ」

そう言って木陰から豚頭の魔物を指すフラム。シオンから聞いた話だと、オークナイトは自ら防具を拾う習性があり、見つけたらなんでも拾ってしまうらしい。それで時々呪われた装備を身に着け、暴走する個体がいるのだとか。いや、怖いよ。なんだよ呪われた装備って。

「よし、シオン、作戦通りで頼むぞ」

「任せるのじゃ!≪メガスポーン≫!」

大型の魔物がオークナイトに飛びかかる。それを察知したのか、オークナイトがこちらを向いた。……顔がいかつい。

「…………!」

「来たぞ!」

オークナイトはシオンの魔獣を切り裂き、盾と剣を構えてこちらに走ってきた。身のこなしが熟練の兵士のようで、本当に勝てるのか不安になってくる。

「≪ランダムスチーム≫!」

勢いよく突進してきたオークナイトが煙に包まれる。毒の状態異常を引いたのか、オークナイトは苦しそうに身をよじった。そこを逃さず斬る。最も、俺の腕力なんてたかが知れているので、斬るのは俺ではない。

「せいやあああ!」

「…………!?」

フラムがオークナイトの()()()を思い切り叩く。黒い鎧は砕け、オークナイトは糸が切れたかのように動かなくなった。

「よし、やったな!」

「……まさか、こんな倒し方があるとはの」

オークナイトを見て驚くシオン。そう、オークナイトは普通こんな倒し方をしないらしい。だいたいは呪いの武具ごと倒されてしまう。しかし、俺にははっきり言ってそんなことは出来ない。だからこう考えた。――呪いの武具を壊したらどうなるのかと。思ったより上手く行ってよかった。

「ねぇ、オークナイトが起き上がっているわよ」

「えっ」

見ると、意識を取り戻したのかオークナイトが先程の所に立っていた。オークナイトはこちらに歩いてくる。やばい、やられる……?と、剣を構えたところ……

「失礼、あの黒い武具を破壊したのは貴殿か?」

その後の紳士な発言にあっけに取られた。今の誰?えっ、もしかしてオークナイト?

「うっかり呪いの武具を拾ってしまって困っていたのだ。感謝する」

「あ、はい」

え、オークナイト……?めちゃくちゃ紳士じゃん。人間の言葉ペラペラじゃん!ふと、フラム達の方を見ると、戸惑ったような顔をしていた。

「えーと……助かったなら良かったです」

「本当にありがとう。良かったら貴殿の名を教えてくれないか」

「ユウって言います」

「ユウ殿か。死ぬはずだった私を救ってくれたこと、礼を言う。それでは、私はここで」

そう言ってオークナイトは去っていった。声がすげぇダンディーだったな……と思った。


紳士なオークナイトと別れて、ギルドに。どうやらあの方法でも倒したという判定になるらしく、無事に報酬が貰えた。流石は高レベルのモンスター。報酬も高レベルだった。財布が重くなった俺は、いつもの通り食堂に。なんだろう、最近食べるくらいしかやることがない。虚しい。

「おう、どうしたんだ?ユウ。そんな暗い顔してよ」

「あっ、アカギさん」

席について顔を上げると、アカギさんが料理を持ってきてくれた。今日はアオイさんが厨房らしい。この店ってなんで従業員が二人しかいないんだろう。不思議だ。

「いやー最近暇になることが多くてですね……」

「そうか。だったらこの店の手伝いでもするか?」

「え、いいんですか?」

「いいってことよ。丁度人手が足りなくてな」

「あー……」

納得。


という訳で、エプロンを着けて接客業をすることに。大丈夫かな?経験ないんだけど。変なことしたらどうしよう。

「店員さん、ちょっと注文したいんだけど―!」

「おい、飯はまだか!」

「はい、ただいま!」

そんな事を思っているうちに大繁盛である。なんともタイミングの悪い。一応、アカギさんにレクチャーを受けたのでなんとかなっているが……

「おい、ユウ!注文の品を早く運べよ!」

「はい!」

大変だ。日本でバイトしてる高校生もこんな感じなのだろうか。

「うわっ!サラダにマンドラゴラが!」

「ユウ、早く駆除するんだ!」

「ええっ!?」

……こんな感じ……ではないよな。そうして、マンドラゴラを駆除したり、お客の注文を受けたりと、俺はとにかく頑張った。

「ふー……疲れた……」

「お疲れさん。よく山場を乗り切ったな。もしかして、こういう仕事をしたことがあるのか?」

「いや、ないです」

「そうなのか。それでも良い働きぶりだった。少しだが給料も出るからな。それでゆっくりしてくれ」

マジか。なんだか得した気分だ。軽いノリで引き受けたのにいいのだろうか。アカギさんはそこで話を切ると仕事に戻っていった。さて、俺も夜まで引き受けるって言ったし、もう少し頑張るか。

「あの、注文したいんですけど……」

「はい!ただいま……?」

呼ばれた方に行くと、見覚えのある黒髪少女が座っていた。少女はこちらを見ると、目を見開いて驚く。

「えっ!ユーさん!?」

「小原?なんでこんな所に」

「そ、そりゃ私だってご飯くらい食べるよ。丁度仕事終わりだし」

「仕事?お前が?」

「どういう意味かなユーさん?」

いや、お前めんどくさがりじゃん。俺はお前が「休日はだらけるのが一番だよね」って言ったの忘れてないぞ。

「むー……私だってやるときはやるんですー」

「悪い悪い。それで何の仕事?」

「それはもちろん冒険者!」

なるほど。まぁこいつ運動神経はいいからな。何で帰宅部だったのか謎なくらいにはいい。

「つまり、同業者ってことか」

「そうなの!?じゃあ協力してよユーさん!どうしても一人じゃ受けれないクエストがあってさぁ!それをやらないとお金が尽きるの!」

小原が突然大声を上げたので、回りにいた一人二人の客がこっちを見てくる。そう言えば業務中じゃん。俺は慌てて小原を宥める。

「わ、わかった。その話はまた後でな。今仕事してるから。注文をくれ」

「う、うん。えっと、このパンケーキを……」

お前もパンケーキかよ。












 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ