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第二十三話 再会…?


翌日から、俺は引き続きユウへの接触を試みた。しかし、結果はどれも散々である。あるときは、

「ごめん、兄さん。フラムさんに街の案内をしてもらうんだ」

フラムとサオリとで出掛けるとか言ってそそくさと去っていった。またあるときは、

「ちょっと今、体調悪いから……」

熱が出たとか言って面会を拒絶(?)。後で聞いた話だが、ユウは健康そのものだったそうだ。それでも諦めずになんとか話そうとして、ついには、

「兄さんしつこい!」

と言われてしまった。とてもショックだ。今度はユウに嫌われてしまったのだろうか。そうだとしたら生きていけないんだけど。

「……はあー……」

いや、元はと言えば二人を避けてた俺が悪いんだけどさ。だからってそんな避ける……?お兄ちゃんショックでもう夜しか眠れないよ。……健康的でいいじゃん。

「お兄ちゃん、どうしたの?」

「あ、サオリか……いや、ユウに避けられててな」

どこからともなく現れたサオリに愚痴をこぼす。……ツッコミスルーしたけど、さっきまで誰もいなかったよね?するとサオリは少し顔を険しくした。

「ユウは何でそんなことを?せっかくお兄ちゃんに会えたのに」

「わからない。それを聞こうと思っても逃げられるし、どうしたら……」

「そんなの、ユウに聞いてみるしかない」

まぁ、そうだよな……

「……わかった。ユウにもう一回話しかけてみる」

「その意気。失敗したら私の胸で泣いたらいい」

十五歳の妹にそんなこと出来るわけない。というか、サオリはそこまで……いや、やめておこう。


「ユウ!」

「!」

そのまた翌日。俺はまたユウに話しかけた。しかし、ユウは明らかに俺を避けて逃げようとする。

「よし、捕まえた!」

「!?」

だが、通用しない。今日の俺は一味違う。

「な、何で……兄さんの運動神経はそんなに高くないのに……!」

「おい」

いくらなんでもユウには言われたくない。お前、俺より外出てなかったじゃないか。まぁズルを使ったと言われたら、そうなのかもしれない。

「お前の逃げる方を予測して、俺はそっちに走っただけだ。簡単だろ」

「……なんで僕の逃げる方を予測できるの?」

「目線と、身体の向きと癖。二人の行動パターンは全部読めるぞ」

「……うわぁ」

正直に答えただけなのに、生まれて初めてユウに引かれた。解せぬ。本気で引いている顔なのがより辛い。

「安心しろ。ユウとサオリ以外には効果ないから」

「サオリにも出来ちゃうんだ……」

「コホン。それは置いといて。……ユウ、なんで俺を避けるんだよ」

「……っ」

単刀直入に言うと、ユウは苦虫を噛み潰したような顔をした。うーん、言いたく無さそうだな……

「俺が嫌いなら嫌いって言ってくれ。なるべく近寄らないようにするから」

「……ち、違う!兄さんのことは大好きだよ!」

「…………」

違う意味でダメージを受けた。何こいつほんとに男?ヒロインみたいな反応するのやめてもらえませんか?照れちゃうでしょ?

「そ、そうか。なら、なんで避けるんだ?」

俺の問いに、ユウはまた顔を曇らせる。しかし、流石に言うべきだと思ったのか、ゆっくりと喋りだした。

「……兄さんは、僕の目の前で死んだから」

「……あ」

そうか。俺はユウの目の前で死んだ。それで何らかのトラウマを植え付けていてもおかしくない。というか俺なら絶対になる。……ユウは眉尻を下げ、俺から目を背けてこう言った。

「兄さんを見ると、あのときの顔が目に浮かぶんだ。……それで、怖くなっちゃって……また兄さんが目の前で死んだらって思うと……震えが止まらなくて……!」

「……ユウ」

俺は死んだ。それは何でもないただの事実。本来なら、ここで二人に会うこともなかったのだ。その事実は、ユウの事を蝕んでいたのだ。……俺、最低だな。

「……ううっ、ぐすっ……」

「ユウ、大丈夫だ。この世界なら、俺はいなくなったりしない」

「……ほんと?」

「ああ。もちろん」

だって死ぬ要因ないし。車もない、魔物もそこまで強くはない。…………あと仲間がいる。(他力本願)

「兄さん……!」

ユウは感極まったのか、涙を流しながら抱きついて来た。これで2回目だな。さて、話はここからだ。俺は名残惜しさを感じながら、ユウをゆっくりと身体から話す。ユウはあっさりと身を引いてくれた。

「さて、ユウ。ずっと気になっていたんだが……お前らは元の世界に帰れるのか?」

「……あ」

そう。二人は日本から来た。しかも死んでいないのだから帰る必要がある。というかそもそも、俺は二人がどうやってここに来たのかも知らない。

「……そうだった。僕達は、帰らないと……」

「そうだな」

ユウは不安そうな表情をする。きっと、今の状況の恐ろしさに気付いたのだろう。得体の知れないところに来て、帰る方法がわからないというのだから。

「俺で良ければ、協力するけど」

「……兄さんが協力してくれるの?」

ユウは途端に笑顔となり、いきなり立ち上がった。そして、俺の方を見て、

「……じゃあ、兄さんも一緒に帰れる?」

その言葉を理解するのに、俺は数秒の時を要した。

「……は?」

「だから、兄さんも一緒に僕達と元の世界に帰ろうよ。また、三人で遊ぼう?」

……元の世界に、帰る?俺が?いや、だって、俺は死んでこの世界に来たんだよな?そんな事が……果たして許されるのか?

「……今は返事はいらないからさ。考えてくれると……嬉しいな」

そう言って、ユウはその場を後にした。


その後、俺はクエストを受け、いつもの草原に来ていた。ほんとはもう少し高いクエストを受けてみたかったのだが、何故か全く無かったので仕方なくそこそこのクエストになった。

「ユウ!そっちにクモが!」

「待って待って無理無理無理誰か助けてぇ!」

クエストの内容はクモの討伐。日本なら、というか見たことないやつはいないあのクモである。最初は、簡単そうだと思って軽い気持ちで受けたのだが……

「何だよこのクモのデカさ!車くらいあるじゃねーか!」

そう、この世界のクモはとにかくデカかった。しかも、タランチュラのような形で毒も持っているとか。昔から虫が無理な俺からしたら恐怖体験である。いや、小さいのなら行けるって思ったんだって……!そんな言い訳を心の中でしながら、俺はガチダッシュする。

「≪スポーン≫!」

「キシャっ!?」

すると、紫の魔物がクモに飛び掛かった。こ、これは……!

「シオンー!」

「大丈夫かユウ!……ちょっ、何を抱きついておる!奴にとどめを刺すんじゃ!」

恥を全部捨ててシオンに抱きついていると叱責された。すいません。

「むむむむむ……」

はっ、殺気!?視線の感じる方を向くと、氷より冷たそうな表情のサオリがいた。後ろにはユウもいる。そう、今回の目的は、二人にクエストの様子を見せることだ。あと、お金を稼ぐためでもある。

「……サオリ?違うからな?」

何がだよ。火に油を注いでどうすんだ。

「……よくわかった。お兄ちゃんのすけべ」

「違うって!なあフラム!?」

「…………」

そっぽを向かれてしまった。心なしか怒っているように見えるのは気のせいか。……あ、クモにとどめ刺さないと。

「それっ!」

「キシャアア……」

「ふう、終わったか……」

「お疲れ、兄さん。かっこよかったよ」

純度百パーセントの笑顔を向けてくるユウは労いの言葉をかけてくれる。お前だけだよわかってくれるのは……

「お兄ちゃん、私にもハグして」

「もう抱きついてると思うんですけど」

いつの間にか背後を取っていたサオリが抱きついていた。仕方なく背中に手を回してやる。サオリは満足そうに笑った。

「ふふっ……お兄ちゃん、カッコよかった」

「ありがとう二人共。でも惨めになるからやめて……」

そういや、さっきの情けない悲鳴聞かれてるんだよな……穴があったら入りたい。

「そう言えば、何で兄さんは僕の名前で呼ばれてるの?」

ふと気付いたというように言ってくるユウ。うおお、説明忘れてたぁ……

「……いい名前が思いつかなかったんだよ。新しいところに来たから心機一転名前を変えてみようって思ったんだ」

「……へぇ」

嘘は言っていない。実際、そういう考えもあったし。俺ネーミングセンスないし。

「……ユウって、本当の名前じゃないの?」

「そうなのか?確かに、お主の性も知らないしのぅ。それが普通だと思ってたんじゃが……」

あ、またややこしい事になった……俺はそっちは説明せず、サオリに抱きつかれながら帰路についた。












 





 





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