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第十四話 三人よれば


「≪スポーン≫」

「ガアアア!」

「うわっ、すげー……」

俺達は今、新しくなったパーティーでクエストに来ていた。シオンの実力を見るためだ。当の本人は、魔物を召喚して魔物を屠っていた。

「凄い光景ね。ブラッドウルフがゴブリンをなぎ倒すなんて」

フラムは槍を構えながらそう言う。その言葉通りに狼型の魔物がゴブリンを噛んだり爪で切り刻んだりしている。結構グロい。シオンは召喚した魔物を消すと、こちらの方に駆け寄って来た。

「どうじゃ二人共。なかなかのものだったじゃろう?」

「そうだな。この前戦ったオーガより凄かったぞ」

「あなた、途中でよそ見してたじゃない」

俺の言葉にシオンはふふんと胸を張り、フラムは呆れた様子でこちらを見てくる。

「フラム。儂はどうだったかの?」

「……あー、良いんじゃないかしら?だけど、私の出番を奪わないでね」

「おお、わかったぞ!あちらにもゴブリンがおるから一緒に倒しに行くのじゃ!」

「ちょっ、待ちなさい!」

走っていくシオンをフラムは急いで追いかける。うん、だいぶ仲良くなったみたいだな。

「……俺もゴブリン倒すか」

そう言うと、二人が相手をしていなかったゴブリンがこっちに来た。もしかしてタイミング狙ってた?まあいいけど。

「よし。≪ランダムスチーム(仮)≫」

俺がそう言いながら偽剣のボタンを押すと、ゴブリンの体を赤色の煙が包む。やがてゴブリンは悲鳴をあげだした。よし、今だ!

「≪フレイム≫!」

「ギャギャ!?」

炎の魔法を使うと、煙に引火して辺りが爆発した。ゴブリンは倒れてそのまま炭になって消えた。爆発音を聞きつけたのか、二人が焦ってこちらに来る。

「ユウ!何があったの!?」

「大丈夫か!?」

「大丈夫大丈夫。二人共そんなに慌てるなよ。この剣使っただけだから」

俺が剣を指差すと、二人は怪訝な顔をする。まあ、そんな反応になるよな。

「……その剣は偽物なんじゃろ?どうやってゴブリンを倒したんじゃ?」

「そうね。あの剣みたく怪しい煙も出せないでしょ」

「いや、出せるように改造した。数回しか出来ないけどな」

「「え?」」

キョトンとしている二人に、俺はこの剣の説明をすることにした。剣についているボタンを見せる。

「この赤い奴を押すと、俺お手製の煙が出てくる。火点けると爆発する唐辛子を粉末にして煙っぽくした。当たるとめっちゃ痛いし、危ない」

「なるほど、あの爆発音はそういう……」

「……その唐辛子、どこで手に入れたのよ」

「あ、これ?アカギさんに捨てる予定だったものを貰ってきたんだよ。間違って仕入れちゃったんだと」

納得した顔のシオンと、呆れた顔のフラム。俺はその二人の顔を見てにやりと笑ってみせた。


「本物の剣はどこにある」

「この前渡したじゃん。だからこの拘束をといてくれ」

クエストから帰ってきた俺は現在、いきなり現れたリエによって拘束されてしまった。後ろにはナギもいる。俺の言葉にリエは少し怒っているような顔で、

「……本物?ふざけるな、あんな木の枝が力を持っているわけないだろう」

「そんなに実験台になりたいの〜?ならしてあげる〜」

キレてらっしゃいますね。フラムとシオンは不安そうにこちらを見ている。おいおい、助けろや。まあ気持ちはわかるけど!

「わかったよ、じゃあこの剣もやるからさ」

「いらんわ!くっ、こいつと話していては頭がおかしくなりそうだ。おい、ナギ。取るぞ」

そう言って、リエはナギのつけている眼鏡を外す。すると、ナギのまとっていたほのぼのした雰囲気が無くなり……

「ヒャーヒャッヒヤッ!いいから早く本物を渡せよ!お前の体をくずかごにしてやろうかー!?」

突如豹変したナギは、どこから取り出したのか、チェーンソーみたいなものを構えてこっちを見る。彼の近くにあった本も、なんか口の怪物みたくなっている。怖すぎる。こいつ目の焦点合ってないんだけど。

「……っ、そんなことはさせないわ!」

と、フラムがナギの前に立ちはだかる。おお!ありがたい!やっぱり持つべきものはパーティーメンバーだ!でもそれよりこの拘束をといてください!

「お前が僕の邪魔をするのか?なら壊すしかないなぁ!ヒャーヒャッヒヤッヒャッ!!」

「…………」

おい、フラムの顔が青くなってるんだけど。まさか見捨てるとかしないよな。お前高レベル冒険者だもんな?と、俺が不安に思っていると、俺を縛っている縄が切れた。見ると、シオンがこっそりと切ってくれたらしい。なるほど、そういう作戦か。

「フラム!逃げるぞ!≪ランダムスチーム(仮)≫!」

リエ達に煙を浴びせて、フラムの手を引いて走る。後ろから二人の声が聞こえる。

「くっ、こんなもの……!……!?体が動かない……!痛っ、痛い!」

「ふえ〜痛いよ~」

ナギが元に戻っとる。その豹変ぶりに本当に同一人物なのかを疑ってしまうが、今はそれどころではない。俺達は全速力で逃げだした。


「どうやら……まいたようじゃな……」

「はぁ……はぁ……何なのよあいつらは……」

息を切らしながら少しホッとする。後でユウには文句を言っておこう。私にこんな無茶をさせるなんて。当の本人は、今は走りすぎたためか、惨い状態になってしまっている。具体的に言うと、地面に突っ伏していた。

「ああ……しんどい……もうちょっと運動しときゃ良かった……」

……まだ余裕があるようね。思わず槍で殴りたくなってくるが、流石に可哀想なので必死に抑えている。

「軽口を叩くくらいなら、この状況を説明しなさい」

「えー……めんどい……」

「張っ倒すわよ」

全く、この人は何でこんなときにふざけられるのだろう。一度何を考えているのか頭の中を見てみたい。……ユウはなんとか体を起こすと、懐からお菓子を取り出す。……みたことないお菓子ね。今度紹介してもらいましょう。

「ふー……疲れが取れるー」

「ユウ、儂にも分けてくれんか?」

同じく疲れているシオンが、ユウにお菓子を求める。ユウは仕方ないなといいながら、お菓子をもう一個懐から取り出した。……今どういう仕組みで出て来たの?

「……さて、フラム。さっきの回答をすると、俺は今同郷の二人組に俺の剣を狙われている。だから襲われたってところだな」

「……ユウの剣を?何で?あの剣にそこまで執着する意味がわからないのだけれど……」

「おいこら」

ユウは不満そうな目でこちらを見てくる。……何か変なことを言ったかしら。……それにしても、同郷ね……

「前から思っていたのだけど、ユウみたいな人達はどこからやって来たの?」

私がそう聞くと、ユウはさっきとは変わって感情のないような瞳になる。普段見ないその瞳に少しゾッとした。

「……そうだな……まぁ一言で言ったら、クソみたいな国ってとこ。いいとこもあるけどな」

……自分の住んでいた所をそこまで悪く言わなくても。ユウはそのままの瞳で「お前らはどうなんだ?」と聞いてきた。

「私は……このイチの町生まれね」

「儂はここからうんと南の集落じゃ!」

ユウは一言、「そうか」と笑った。その様子はいつものユウのものだった。さっきの桃髪の少年も大概だが、たまにこの人は二つ人格があるように感じる。

「ふむ、考えてみればユウみたいな天使の推薦者の住処と言うのは聞いたことがないのぅ。儂は少し興味があるぞ。少し教えてくれんか?」

興味深々なシオンに、ユウは渋々自分の出身地について説明する。大きい鉄の塊が動き回っていたり、紙も魔法も使わずに文字を書けたりなど、信じられないような話が出て来た。

「それで、鬼のように金を巻き取るゲームとか、火を使わずに調理したりできる道具とか……後は……」

そうやって楽しそうに説明をしているユウにシオンと私は思わず聞き入っていた。しかし、何故か彼のまとう雰囲気は少し悲しそうに見えた。






 











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