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第十二話 関わりたくないタイプ


「うむむむむむ」

「なぁ、早くしてくれよ。カード一枚引くのににどんだけ時間掛けてんだよ」

「うるさい!儂は慎重派だから考える時間が必要なんじゃ!」

「ん――」

俺は今、ギルドの隅っこでカードゲームをしていた。この世界にはトランプもあるらしいので、暇そうにしていたシオンを誘ってみたのだが……

「うむむ……右か?いや、左なのか……?」

こんな調子で、もう十分も経っている。あの、そろそろ腕疲れてきたんですけど。シオンはそんな俺の内情を察したのか、ようやくカードを引いた。

「よし、ペアが出来たぞ!」

「……やっと俺か。よっ、と……俺もペアだから、次お前が揃ったら勝ちだな」

「そうなのか!よし、いくぞ……!」

「流石に思考時間長いから30秒で引けよ。引かないとお前の負けな」

「何!?さ、さんじゅう……うむむ……右か、左か……」

シオンはさっきより首を横に振って、熟考している。目が血走ってて怖い。シオンは悩んだ末、左の方を引いた。

「ああ、ババなのじゃーー!」

「俺の番な。さて、どちらにしようかな……」

シオンはカードを構えると、表情を顔に出さないようにしてるのか、凄い睨んでいるような顔になっている。

「…………」

「(ビクッ)」

「…………」

「フウ……」

…………わかり易っ。右を選んだらシオンの体が揺れて、左を選んだら明らかにホッとしたような顔をした。ガッツリ表に出てるぞ。俺は右の方を引くことにした。結果は…………

「ぬああああ……」

「…………お前勝つ気ないだろ」

「なんじゃとお主!天才的頭脳の儂を捕まえておいて何たる言い草!魔物攻めしてやるぞ!」

そう言ってポカポカと俺を殴ってくる。……地味に痛い。こいつめっちゃ子供みたいな反応するな。

「……自分で天才的頭脳とか言うのはどうなんだ」

「は?儂は天才じゃよ?ただ事実を述べて何が悪い」

おっと、絵に書いたようなナルシストだ。でも俺、こいつにレベル負けてるんだよな……世の中は理不尽だ。

「じゃ、もっかいやるか?今度は七並べで」

「さっきやった」

「じゃあ神経衰弱」

「それもやったぞ」

「じゃあたこ焼きな」

「なんじゃそれは!?そんな遊び方は聞いたことないぞ!」

何だよ……こいつ文句ばっかり言うじゃん。でも俺もそろそろ飽きてきたんだよな……

「…………何やってるのよ」

俺達が次なにするか悩んでると、通りすがったフラムに呆れたような目を向けられた。

「トランプだよ。お前も混ざるか?」

「……それ、かーどげーむってやつ?私、ルール知らないのだけど」

「じゃあシオンに説明してもらえば?」

「ふむ、いいじゃろう。儂が一から十まで教えてやるぞ」

「いえ、シオンの説明は長いから、あなたが説明しなさい」

またシオンが固まってしまった。ここまで邪険にされてるとちょっと可哀想になってくる。今度スイーツ奢ってやろう。

「……いいんじゃ……儂は所詮誰からも理解されない天才なんじゃ……」

いじけちゃったよ。とりあえず椅子の上で膝抱えるのはやめてほしい。ただでさえお前は変な目で見られてるのに、もっと変な目で見られるぞ。

「……ルールだったら説明してやるから、こいつを邪険にするのはやめてやれよ」

「えー……この子、ちょっと関わりづらいのだけれど……」

「……グスッ」

泣いちゃったよ。どうするんだよこの空気。俺は膝を抱えたまま泣き出したシオンに慰めの言葉をかける。

「気にするなよ、お前は天才なんだろ。凡人の俺でよければいくらでもゲームしてやるから膝抱えて泣くのはやめろ」

俺の言葉が効いたのか、シオンは顔を上げて涙を拭い、体制を元に戻す。あのままだと俺が女の子を泣かせてるように見られてしまうのでホッとした。

「フラムが酷いのじゃ……」

「そうだなーシオンはカードゲームしたいだけなのになー」

「なんでそんなに棒読みなのよ……わかったわよ、シオン、ルールを教えて」

「そうか!ならまずはババ抜きから……」

そうやって嬉しそうに説明するシオンを見て、なんだか穏やかな気持ちになった。


「ユウって、シオンと仲良いわよね」

「ん?そんなことないだろ」

どう見ても喧嘩してるだけの男女に見えると思うが。

「いえ、少なくとも仲が悪かったら一緒に遊んだりはしないと思うわ」

そう、だろうか?まあ人と仲良くするのは良いことだ。俺人見知りだからあんまりそんなことしないけど。

「そうか?儂としては、もっとフラムと仲良くなりたいのじゃが……」

「それって俺はいらないってことか?泣くぞ?」

俺が泣くような素振りをすると、シオンは慌てて弁解しようとする。……よくこんなやつにそんな優しく出来るな。サオリとかだったらスルーされるのに。

「……今まで儂は敬遠されとったからの。儂は天才魔族じゃから、どうしても仲の良いやつが少ないんじゃ。だから、一応ユウには感謝しておるよ?」

「一応て」

こいつとゲームするの止めようかな。まあ泣かれるからやらんけど。

「……ふーん、そう」

フラムは少し不満そうな顔でそっぽを向く。なんでお前そんな顔してるの?……ははーん、なるほど?

「もしかして、お前シオンに嫉妬してるのか?確かにお前も友達少ないもんな」

「あなたをフレイムバスターしてあげましょうか?」

それ内臓焼くやつじゃん。怖えよ。俺の内臓がレバーになっちゃうじゃん。

「フラム……素直になったほうが身のためじゃぞ」

「ふんっ」

何でシオン追い打ちかけた?俺の内臓がレバーになるって。フラムはこっちの方を見ると、胸を張って言った。

「私にはパーティーメンバーもいるから、友達はいなくても良いの。いつもギルドの隅っこでお菓子を食べてる人が何を言ってるのかしら」

……何で俺の方を見ながら言ってるんですかね。すると、シオンもこちらを見ながら、

「わ、儂は一人じゃないからいいんじゃ。最近はお菓子開発のためにアオイと話をじゃな……」

「ふっ」

何のマウントを取っているんだろう。あと二人共俺の方を見てくるのは何なんだ。俺も混ざれってこと?

「俺はぼっちだから、その話だと最弱だぞ」

「「…………」」

二人の目が憐れみの目に変わった。しばくぞお前ら。二人は生暖かい目をしながらこっちにすり寄ってくる。ちょ、撫でるな。肩を叩くな。

「大丈夫よ、私はパーティーメンバーだからぼっちじゃないわ」

「儂は友達じゃからな。今度美味いお菓子でも食べに行こう」

やめろ。そんな優しい声で言うな。ちょっと悲しくなってくるから。そういう反応されるのが一番辛いんだぞ。おい、だから撫でたりするのはやめろ。

「俺の事はいいから、とりあえず二人が仲良くしてくれよ」

「む、そうじゃな」

「またそこに戻るのね……」

シオンが嬉しそうな顔をしているが、フラムは微妙な顔だ。またシオンが泣くぞ。どうしたもんかなこれ……

あ。

「なぁシオン。フラムと仲良くなりたいか?」

「なりたいぞ!」

食い気味だ。ならこれも了承してくれそうだ。俺は二人に向かって、こういった。

「俺達のパーティーにシオンを入れようぜ」

フラムが固まった。こいつどうしたんだろう。目が点になってない?フラムの石化が解けると、フラムは焦った様子で、

「な、なな何を言ってるのかしら?この子とパーティーを組むですって?」

「そうだよ。その方が接点も増えるし、互いのことをよく見ることになる。つまり仲良くなりやすい。もちろんフラムとシオンがよければだけどな」

「…………」

フラム黙ったんだけど。シオンが不安そうにしてるって。この気まずい雰囲気に、シオンが口を開いた。

「儂は構わんが……フラムが嫌と言うなら良い。無理はさせたくないからの」

気まずい雰囲気が加速。これでフラムがシオンに嫌とか言ったら地獄なんだけど。さて、フラムはどう出るか……

「……いいわよ」

フラムは絞り出すようにそう言った。シオンはその言葉が飲み込めなかったのかポカンとした顔になっている。やがて意識を取り戻したシオンが、フラムに思いっきり飛びかかった。

「フラムー!」

「わっ、危ないでしょ!せめて宣言してから来なさい!」

フラムに抱き着いているシオンに、フラムはまるで母親のような反応をする。いやー良かった……地獄を見ることにならなくて。

「いいのか、フラム?」

「いいって言ってるでしょ。流石にこんなに仲良くしたいと言ってる子を拒否するわけにはいかないわ」

「そっか。……シオン、これからよろしくな」

「うむ。どんどんフラムと仲良くなるぞ」

俺は?まあ仲良くするのは良いことだ。そう、良いことなんだ……ぐすん。















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