新たな門出 ― ギルド登録
「成功への第一歩は、何をすべきかを決めることだ。」
— マーク・トウェイン
ルドルフは、異世界での生き方を模索するため、まずは冒険者としての足場を築く決意を固めた。街の喧騒の中、ひときわ重厚な木製の扉と、中央に大きな紋章が刻まれた建物が目に入った――これが冒険者ギルドだ。
扉を押し開けると、館内は活気に溢れていた。広いロビーには、鋼の装備をまとった冒険者たちが談笑し、掲示板には依頼書がぎっしり貼られている。ルドルフはまず受付カウンターへと向かい、受付嬢の柔らかな笑顔に迎えられる。
「いらっしゃいませ。初めての方ですね。冒険者登録をご希望ですか？」
「ええ…新規で登録したいのですが…」
ルドルフは、これが自分の新たな一歩だと心に誓いながら、用紙を受け取る。
受付用紙には「名前」「得意分野」など、複数の項目が並んでいる。ふと、ルドルフの脳内に、先ほど浮かび上がったステータスウィンドウが蘇る。
【プレイヤーネーム】ルドルフ
【レベル】1
【スキル】なし
【HP】100/100
【MP】50/50
【経験値】0/100
ルドルフは迷わず、スマートフォンで表示されている自分のステータスをそのまま写すことに決めた。これまでの冴えない日常とは違い、数値として自分の能力が刻まれている―それはどこか、ゲームで戦う主人公のような感覚だった。しかし、紙に数字を記入する手は震えていた。
筆を走らせる彼の心中には、「こんなんで大丈夫なのか…」という不安と、これまでの努力とは無縁な無力感が入り混じる。すべてを正直に書き写したとき、受付嬢がふと目を細めるのを感じた。
「……レベルが１って……すごく低いですわね。」
彼女は低い数値に驚いた様子で、困惑した表情を浮かべた。ルドルフは一瞬、心が揺れたが、受付嬢の声に励まされるように、無理に笑顔を作った。
「そ、そうです…でも、これからしっかりと鍛えていくつもりです！」
受付嬢はため息交じりに頷きながらも、淡い期待を感じさせる口調で続けた。
「では、次は適性検査に進んでください。こちらへどうぞ。」
受付嬢の案内で、ルドルフは奥へと通され、訓練場の広がるエリアへと向かった。そこでは、既に数名の新人冒険者たちが模擬戦闘に挑んでおり、審査官らしき中年の男性が厳しい目を光らせていた。
審査官は、重々しい口調でルドルフに近づく。
「さあ、まずはお前さんの腕を見せてもらおうか。」
ルドルフは心臓の鼓動が一段と速くなるのを感じながら、短い返答を返す。
「は、はい！」
その瞬間、模擬戦闘場は一気に緊張感に包まれ、すべての視線が彼に向けられた。ここから彼の本当の実力が試される――。
冒険者ギルド登録
異世界ファンタジーにおいて、冒険者になるためにはまずギルドへの登録が必要。登録用紙には、名前や能力を示す数値が記入され、これがその後の成長やランクアップの基準となる。
