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【全年齢版】軍人殿下と異世界奴隷【コミカライズ原作】  作者: 森川茉里


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十二章 再会 03

(私、馬鹿なのかな……)


 ディートハルトのキスを受け入れながら、有紗は心の中でつぶやいた。

『好き』と言われたくらいで動揺して、気が付いたらプロポーズのような言葉に頷いていた。

 切なげな表情で自分を求められ、抗えなかった。

 ここに連れ込まれた直後の強引なキスと違って、今はとても優しい。

 有紗がずっと抱いていた不満や悲しみを聞いてくれたからだろうか。全然嫌ではない。

 嫌ではないどころか、気持ちいいと感じる自分に驚いていたら、腰に手が回され、体重をかけられる。

 そのまま身を任せたら、ベッドに横たえられた。

 唇が離れていった。有紗は名残惜しさを覚え、思わずディートハルトを見上げてしまう。


「……そんな顔されたら止まれなくなる」


 拒否すれば、きっとすぐやめてくれる。

 断るべきだろうか。今の曖昧な気持ちで抱かれるのは、彼にとても失礼な気がする。

 ためらっていると、ディートハルトは苦笑いを浮かべ、身を離そうとした。

 有紗はその腕を掴み、引き止める。


「あの……嫌じゃないです……」

「本当に?」


 とても恥ずかしかったけれど頷いた。

 このまま離れたくないと反射的に思ってしまったのだ。

 もう何度もディートハルトとは体を重ねている。

(今更だし……)

 いや、それだけではなく、今の彼ともっと触れ合ってみたかった。


(やだ、私、何考えて……)


 混乱していると、耳を食まれた。

 くすぐったさに有紗は身を震わせる。


「あの、ディート様、浄化して欲しいです。走って汗をかいたので……」

「うん。少し待って」


 ディートハルトは体を起こすと、軍服の首元に手をかけた。

 着衣を脱ぐ仕草がなまめかしい。


(男の人なのに)


 彼の姿に有紗は目を奪われた。

 上裸になると、ディートハルトは有紗と自分を包み込むように魔術式を展開させる。

 有紗はハッと我に返ると、自分も服を脱がねばと思い、修道服のボタンを外していく。

 すると、浄化を終えたディートハルトの手が上から重なってきて、やんわりと引き離された。

 かと思うと、左手の指先にキスされる。


「その服、いけない事をしている気分になる」


 ディートハルトは囁くと、唇を手の平に、それから手首の内側に移動させた。

 とんでもない色気に、キスされた場所が熱を帯びる。


「その発言、俗っぽいです」

「そうだね」


 彼はクスリと微笑うと、今度は有紗の手をひっくり返し――中指に噛み付いてきた。


「痛っ……!」


 甘い仕草から与えられた突然の痛みに、有紗は悲鳴を上げる。


「何するんですか!」


 抗議すると、ディートハルトは不機嫌そうな顔を向けてきた。


「指輪。ここに付けてた」

「目の色を変える指輪ですか?」

「テラでは指輪には深い意味があるって聞いた」


 有紗は目を見張った。

 こちらの国では指輪に特に意味はない。だから、その考えをディートハルトが知っているのは意外だった。


「どうしてご存知なんですか?」

「アリサの思考を理解したくて調べた」


 地球でも全世界で指輪に意味がある訳ではないと思う。

 この国の地球の知識は五十年前のアメリカのものが最新だと以前に聞いたから、指輪の意味が現代日本と共通なのだろう。


「意味があるのは左の薬指だけです。他の指にはめる指輪は、ただのアクセサリーです」

「知ってる。それでも腹が立つ。なんであの性悪が先にアリサに指輪を贈ってるんだ」

「性悪って、クラウディア殿下の事ですか?」

「あいつの名前なんか呼ぶな」


 ディートハルトはムスッとした表情で吐き捨てた。


「仲が悪いんですね」

「突っかかってきて面倒くさい」

「私には優しかったですよ」

「俺には横暴だった」


 彼は盛大に顔をしかめた。


「なんで今あいつの話をしなきゃいけないんだ。アリサ、俺から指輪を贈ってもいい?」

「はい。嬉しいです」


(あれ?)


 自然に答えた自分に有紗は戸惑った。

 嫉妬した素振りを見せる彼を可愛いと思ってしまったから、頷いてしまったのだろうか。

 困惑していると、ディートハルトは嬉しそうに微笑み、胸元に顔を埋めてきた。

 服を脱ぎかけていたから、中途半端にはだけている。

 膨らみの部分を強く吸い上げられて、そういえば、いつもそこに痕跡を付けられていた事を思い出した。

 ディートハルトは体重をかけ、有紗を再びベッドに押し倒した。




   ◆ ◆ ◆




(孕めばいいのに)


 有紗を腕の中に抱きながら、ディートハルトは心の中でつぶやいた。

 その直後、自分の思考に呆然とする。


(種が違うからできないのに……)


 いや、仮にそれを乗り越える方法が見つかったとしても、母体にどんな影響が出るかわからない。母のように命を落とす可能性があるかと思うと恐ろしい。

 だけど、注いだものが実を結ばないのも許せない。

 自分と彼女が混ざりあった存在がこの世に産まれたら、間違いなく世界で一番尊い存在になる。

 また、子供孕むと言う事は、胎の中を自分のもので侵略したと言い換えていいのではないだろうか。その姿を見たら、自分の中の独占欲や渇望がより満たされる気がする。

 どろどろとした感情が湧き上がり、苦しい。

 ディートハルトはその感情を心の中に封じ込めるために、アリサを抱く腕に力を込めた。

カット版でのお届けとなります。


改稿版ではここは大人の描写を入れないでおこうかなと思ったんですが、担当さんから「ディート絶対我慢できませんって!」との指摘が入りまして追加しました。


大人な描写の入る作品はどれもヒーローヒロインがどんな風に体を重ねるのか自分が知りたいので(書いてみて初めて自分の中での解像度が上がります)結構がっつりと書く事にしているのですが、本作品についてはコミカライズとレーティングを合わせたいので現在お披露目の予定はございません。

※コミカライズは少女漫画の範囲になるよう表現を調整して制作されております

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― 新着の感想 ―
いい歳のおばちゃんですが、適度に艶っぽい表現は自分で想像できて、ちょっと切なくなる感じが私は好きですねえ。 ムーンライト版も読ませていただきましたが、個人的には全年齢版の方が心理描写が多くて、控えめな…
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