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08話 魔法

「へぇ〜」


「んでさぁ・・・」



「みんな待たせたね」


僕は暗い廊下を抜けそう言った。


「おっ来た来た」


「おせーぞぉ」


「ごめんって、で話を聞かせてくれよ。」


僕は情報を求めている、ただそれだけだ。


「この事は誰にも言うんじゃねえぞ!俺が命を賭け手に入れた情報だからなっ!言ったら首が飛ぶからな!もしかしたら。」


そこまでの話ならまず声を小さくしてほしいものだ、

そんな事を思いながら僕は話に耳を傾けた。


かつてこの国には魔法があった。いつ魔法ができたかは不明だ。唯一魔法の使い方を知っていたのは魔女と言われる人間達だけだったという。魔女達はある集落で平和な生活をおくっていた。しかしそれから時が経ち魔女の中は国の権力を奪い自分たちで支配しようとするものが現れた。それからその勢力は年々増え力をつけていった。そしていつしか魔女は脅威と見なされるようになった。魔女を見つけたら殺せ、これが一般的な考え方だ。中には昔のまま平和に暮らしている魔女もいたが彼らも皆平等に殺された。

そして悲劇は起こった、魔女達が国を襲撃したのだ。その圧倒的な戦力に国は壊滅しかけた。たがそこにある一人の魔女と勇者が現れた。その魔女は同族を次々と手にかけていった、勇者もまたその魔女に協力したという。そして国は壊滅を免れた、その後その魔法は魔女によって封印された。魔法は国を滅ぼす力を持っている、そして魔女も、

一人の魔女は同族が犯した過ちを悔やみ自害し、その後に続くかのように勇者も姿を消した。


もし魔法の存在が大地を巡ろうと、この魔女の魂と勇者の魂もまた大地を巡るだろう。


これはみんながよく知る国に伝わる御伽噺だ。

最後の言葉の意味はいまだ謎に包まれている。


「それでこの御伽噺はどうやら実話らしいんだ。」


確かにその可能性はある、最近よく聞く火事があったという話、どうやらそこには魔法についての本が大量にあったらしい、まぁほとんど燃えたと思うが。そしてそこに一人の少女がいたという。しかしその少女は光に包まれたと思えば消えてしまったらしい。それが魔法だとすれば辻褄が合う。


「最近噂になってる少女が光に包まれて消えたっていう話があるだろう?その時に使用されたとされている魔道書がどうやら支配者のもとにあるらしいんだ。」


支配者か、。そう言えばここの支配者は謎だ。国を攻撃するような大層な理由なんてそうそう無いはずなのにこの襲撃を起こした。しかも不思議なのは人だ。王家に不満を持っているものもそうそういないはずなのだ。なのにどうやってあんな大量の人を集めたのか、全員僕みたいに気分で話にのったとは考えられない。


「そんでその支配者とやらが、その魔道書を使って消えた少女を殺そうとしているらしい、」


「消えた少女をどうやって殺すんだ?」


「その魔道書で少女はある世界に転移してしまったらしい、つまり自分達も同じようにその世界に行けば殺しに行けるって事らしい。」


「そもそもなんで殺す必要があるんだ?」


「それがな、支配者は魔法の存在を信じている、いや確信してるんだ。恐らく魔法がこの世に普及するのも時間の問題だ。だが一つ問題がある、御伽噺だ。あの内容が本当だとすれば魔法の存在が魔女に消されちまうらしい。そんでその少女が魔女?らしくて・・・

まあ俺はよくわかんねぇけどよそういう事なんだとよ、」


消えた少女が魔女か、だがどうしてそんな事が分かるのだろうか。それに御伽噺が実話だなんていう保証も無い。さらには魔道書を使って転移した。その事実がどうして分かる?本当に謎が多いなここの支配者とやらは、


「支配者はどんな奴なんだ?」


「ここの支配者は謎に包まれた存在だ。たがそいつのことを知っている奴もいるようなんだ。そいつの話によると王家に恨みなんてあるはずない人物だったらしい。優しくて温厚だったんだとよ、しかしある日を境に性格が急変したらしい、まるで何かに取り憑かれたようだったといっていた。それからそいつは王家を襲撃する計画を立て始めた、周りの人は止めようとしたらしいんだが、誰にも止められなかった。止めようとした奴は殺されちまったらしい。そして仲間を増やし今に至る、

こんだけ仲間が増えるのも不思議だよな、脅しでもしたのか・・・?」


脅しはありえないな、脅しだけでここまで人数が集まるはずない、それに脅しだったらここにいる人達がこんなに気楽に過ごしているのはおかしい。一体なにがあったのだろうか、しかし考えても答えは出なかった。


「・・・これだけ聞ければ十分だ。ありがとう」


「なにをしようとしてるかは知らねぇが頑張れよ」


「ああ」






「ざわざわ、」


「あいつだよ勇気あるよな」


「狂ってる、」


「今まで転移に何人失敗したと思ってるんだ。ざわざわ」


「自殺行為だな」


「だがあいつが転移に成功すれば俺たちは死なねぇかもしれないな、」


「ざわざわ、ざわざわ・・・」



僕は今魔道書を手にしている。僕は今から異世界に行くのだ。自分からこの任務を受けることにすごく驚かれていたがそんなのどうでもいい。僕には強い感情と覚悟がある。(僕はあの少女に会うんだ、あの少女に。あの時の顔は良かった、希望から絶望に変わったあの顔。そしてここにいる僕たちを人として見ていなかったあの目。僕はあのとき隊にいるカカシの一人に過ぎなかった。だけど今度こそ僕の手で・・・。またあの顔を見させてくれよ、。そして僕こそが・・・。)


「魔法は存在する。この儀式が成功した暁には魔法が使えるようになるだろう。そしてあの少女を殺したまえ、魔法の力、いや、魔女の力が目覚める前に。」


支配者とやらの顔は隠れていて見えないが、かなり若いようだ。


僕は本に血を垂らした。本が燃えているように見える、書かれている魔法陣が光を発した。本当におかしな本だ。一体どうやって・・・呪文が頭の中を木霊する。

そして僕の意識は途切れた。









・・・ここはどこだろう?

ここは異世界だ。

僕は生きている。


「・・・??っ」


僕は目を覚ました。そこは紛れもなく異世界だ。見たことのない物体、景色。何もかもが僕の心を惹きつけた。


「僕は転移に成功したのか・・・」


、なにかを感じる。

・・・魔法。そうか魔法、今の僕には魔法があるのだ。使える魔法が少なくても少しずつ増やせばいい。


「よいしょっと、。まずは情報収集からだね。」


(これから楽しくなりそうだ。)

僕はこれからの日々に心躍らせた。








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