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28:詩『農業用水路に転落す』
ただの妄想
爪がちびる
小学生の2Bと6Bの鉛筆みたいに
四角い、パカッと開く筆箱の中
無意識にも意識的にも噛むから
右も左も、五本並んで全部ガタガタにちびている
時々、気合を入れて削ってみる
鉛筆は黒鉛と粘土の混ざり物
自分はどろどろした汚感情の不純物だらけ
焼いて固めた頭の芯
弱った心とおんなじに
事あるごとにボキッと折れる
素晴らしい人達に囲まれて
自分は醜いアヒルの子
羽が生え変わることもなく
真っ黒クロ助のまんま
心までもがドス黒く
服は汚れが目立ちにくい黒を着回す
夜道は暗く
自身も暗く
月も無く
一本の細い夜光タスキだけを心の頼りに
けれども
照らされなければ暗いまま
自ら光ることのない命綱
力まかせに塗り潰した6B色を背景に
自転車ごと、ただただ暗い水に沈む




