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7・吸血鬼先輩

7・吸血鬼先輩


「また、あの方が。(しもべ)を増やしたらしい……」


 生徒会室。セルフィナが頭を抱えている。何言ってんだコイツ?


「僕ってなんだよ? あの方って誰だ?」

「ジェイン・ドラクロワ。我々の一期上の先輩で……」


 セルフィナがそう言いかけると、ミオナが横から会話に割り込んできた。


「吸血鬼の血統の方です」


 吸血鬼? あの、人間の血をちゅーちゅー吸って、エナジードレインして。自らの僕にするっていうあの種族か。


「強いのか? その先輩。大したことないんだったら、ぶっ飛ばしてくりゃそれでいいじゃねーか? それから、ロザリオでも首にかけて吸血鬼の能力を封印しちまえよ」


 俺がそう言うと。


「強さ、という点ではさほどの方ではないのだが。昼間はな。ただ、下手なことをすると、吸血鬼の能力がフルに出る夜中に闇討ちをしてくる。夜のあの方の実力は半端ではない」


 また、ため息をつくセルフィナ。生徒会の手に余るってことか? 俺がそう聞くと。


「まったくもって。その通りなんですよ。しかも、あの方の実家は伯爵家。この学院にも多大な金銭的援助をしています。ゆえに、彼の行動に対し、学院側も余りな逸脱をしなければ目を瞑る。そういう状況です」


 俺のことを嫌いなシーズが、珍しく俺にそう声をかけてきた。


「黙認するか……。こっちの力が及ばないんだろ? 力が及ばないのに、その仕事に手を付けるのはバカのやることだぜ?」


 俺はそう言った。いかに「邪」の属性であれ。いや、力が全ての「邪」の属性であるからこそ。俺は「力の天秤」を心の中にしっかり持っている。

 「聖」の属性の連中のように、「正義に反するがゆえに、力が及ばなかろうが全力で立ち向かう!」と力むようなことはしないのだ。


「いや……。ここは立ち向かっとくべきだろう」


 俺の心中の思いとは反対の言葉を放ったのは、ヴォイゼ。


「ほぉ? どうしてそう思うんだ? 脳筋?」


 俺は、この頭の悪い奴がどういう理屈を頭の中で組み立てて、その結果を導き出したのかを聞いた。


「あの先輩は、ヴァンピールでな。ヴァンピールってのはハーフの吸血鬼の事なんだが。半分は人間の血が入ってるんだよ。そのために、吸血して僕にした人間に対する呪いの効力も限定される。つまり、僕を縛る呪いの効果も、永続的ではないんだ。僕を増やし始めたということは、今は僕の数の減っているときだという事だろう。ここは、叩くべきチャンスだと思うんだ。俺はそう考える」


 脳筋でも。頭が悪いとは限らないのか? 今回のヴォイゼの言葉は状況分析も、戦力分析もできていてる。俺は意外の意に打たれつつも、右手の指を鳴らした。


「そういう事なら。ぶっ叩くか。どうせ死なねえんだろ? その先輩。吸血鬼の血が入っている奴は、不死のパターンが多い」


 そう言った俺に対し、生徒会役員一同は頷いた。


「痛い目を見てもらって。少し行動に歯止めをかけるか」


 セルフィナはそういう。


「銀製の武器が必要になりますね。予算的には結構出ますが。まあ、任せておいてください。このミオナさんにかかれば、予算捻出は容易いのです」


 ミオナが、やたら自信をもって言う。さてと、吸血鬼先輩退治だ。気張るかね。

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