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4・強制辞令

4・強制辞令


「あ? なんだこりゃ?!」


 俺は、自室に訪ねてきた生徒会書記役の司祭職見習い野郎に封筒を渡されて。中に入っていた書類を引っ張り出して読んで、思わず叫んだ。

 意味が分からなかったからだ。


「なんで俺が? 生徒会の副会長やらなきゃならねぇんだよ?! しかも、拒否権はないってなんだよ!! なんで拒否すっと放校処分ってところまで話進んでんだよ!!」


 俺が書記野郎の襟首を掴んでガクガクやっていると。


「き、君が悪いんだよ! いっつも不品行ばっかりで! ボクたち真面目にやってる生徒が! どれだけ迷惑してるかわかってるの?!」


 眼鏡ブルブル言わせて叫ぶ書記野郎。俺は頭にきた。


「お前に! 俺が! 何の迷惑かけた?! 話すのだって初めてだし、そもそもお前がこの学院内にいることだって、俺は今日初めて知ったぞ?! 俺が不品行やったって、それは俺の問題だろうが!!」

「だ! ダメなんだよっ! 君みたいのがいると、みんなが悪いこと考えちゃうから! ボクらだって、女の子と付き合ったりしたいのを、勉学第一だって自分に言い聞かせているのに!! 君ときたら、ここは高等学院なのに女の子とエッチなことしてばっかりで!! 羨ましい……、じゃなくて、風紀が乱れて迷惑なんだよ!!」

「知ったことかぁ―――――――――っ!!」


 俺は思わず、眼鏡書記に頭突きをかました。


「い! いたいぃいいいいいい!!」


 眼鏡書記は鼻血を吹いたが。


「と、とにかく!! 生徒会からの辞令は渡したからね!! 断ったら、君は放校処分! ザマー見ろってんだっ!! ひゃははははは!!」


 眼鏡書記野郎は、逃げ出すように。というか逃げて行ったが……。

 俺の手元には、確かに生徒会の会長印が捺された辞令書があって。

 ご丁寧に、学院長の大判印まで捺されている。


 ご愁傷様、俺。

 楽しい学園生活さようなら。

 学校辞めます、俺。

 国に帰って、親父の下で僧侶としての腕を磨こう。


 そう思って部屋の荷物をまとめ始める俺。生徒会の副会長? 冗談じゃない。

 そんなものをやらされたら、俺は間違いなく発狂する。

 それだけは自分でわかる。


「……書記のシーズをこっぴどくやってくれたみたいね?」


 荷物をまとめ始めて三十分ぐらいした頃か。

 なんか、俺の部屋のドアを勝手に開けて、女が入ってきた。

 あー。またこいつか。セルフィナ生徒会長さん。


「お前さぁ。なんか俺に恨みあるわけ?」

「私は。生徒会長としての任を果たすために働いているだけよ」

「んで? その方針が、俺を生徒会の副会長にするって方に動くの?」

「そう」

「理由は?」

「邪な魔王を従えないと。聖なる神にはなれないでしょう?」

「? お前、頭大丈夫か? 神になりたいのか?」

「たとえ話よ。人の上に立つものは、色々な種類の人間を従えられないといけないって意味。ここであなたに云う事を聞かせられないようじゃ、私の生徒会長としての器もその程度ってことよ」

「……んで?」

「チャンスを頂戴。あなたは変わらなくていい。でも、私の言っていることが、あなたに通じるかどうか。聖と邪の狭間で、その双方に通じる大きな判断力を身に着けたいの、私」


 そんなことを言うセルフィナ。んー。俺は変わらんでいいのか。どうすっかな。

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