２・生徒会長がやってきた
２・生徒会長がやってきた
ガンガンガンガンガン!!
激しい音がする。うるせえ！ どこのバカだ！ 俺の部屋の扉をぶん殴るやつは!! こんな早朝に！
「ジェヴァ・ドライセン!! 生徒会規約により、貴様を勾留する!! とっとと制服に着替えて出てこい!!」
こりゃ……。この声は聞き覚えがある。
昨日、ホールの壇上で大演説ぶっかましてた美人のウゼエ生徒会長の声だ。セルフィナ？ いや、セラフィナだったか？
俺は、キセルに刻み煙草を詰めて火を点け。一息大きく吸って、目を覚ます。
それから、東洋から取り寄せた紅いユカタとかいうパジャマ代わりの着物を着たまま、自室の扉を開けた。
「うるせえぜ？ 生徒会長だったか？」
「……！ きっ！ きさまっ！ 何という乱れた格好で出てくるかっ!!」
生徒会長セラフィナは、なぜかすんげぇ赤面した。お？ こりゃ脈ありか？ 次の女はこのプライド高そうな生徒会長か？
「……フン。男も知らねぇ女が生徒会長とはね。お前処女だろ？」
俺がにやりと笑ってそう聞くと。
どすっ。
胸に激痛が突っ走った。
「侮辱は許さぬ。わが貞操は、しかるべき時まで捨てぬ。貴様のような邪神の僕ごときに邪視を許すほど、わが誇りは安くない」
「ぐ……はっがっ!!」
この……女！ セラフィナ！ 俺の胸に短刀をぶっ刺しやがった！
肺を抉ったな、こりゃ……。俺は吐血しながらもその短刀を引き抜く。
すると、短刀でふさがっていた傷口が開いて、大吐血する有様。
血が少なくなっていく感覚があるが、落ち着いて治癒魔法を自分にかける。
「セラフィナって言ったな？ やってくれたな？ 覚悟できてんのか？」
「セルフィナだ!! 貴様のような邪教坊主に恐れをなすほど、わが侍としての矜持は低くはない！！」
俺が恫喝の声をかけると。それには動じずに名前を訂正してくる、セラフィナならぬセルフィナ。まあ、いい。これで名前は覚えた。
「……ふん。ゾーム・ドライセン司祭長の三男坊をぶっ刺すとは。いい度胸だな」
俺は実家の権限の圧力を使い始めた。
しかし、セルフィナは。
まったく恐れた表情無く。
腰の鞘に入った刀を抜いた。
「ジェヴァ・ドライセン。女子生徒に対する辱めと。侍たるわが矜持に対する挑戦。この二つの過失によって、貴様は死ぬことになる。我、セルフィナ・イーダとの決闘を受けよ!!」
凛とそう叫ぶと。刀の切っ先を、俺の喉に突き付けてきた!!
