18・部活動の助っ人
18・部活動の助っ人
「おい、ジェヴァ」
セルフィナが、いきなり。気持ちよく寝ていた俺を起こした。学生寮の俺の部屋での話だ。
「……ねみい」
俺が、無視して毛布を掻い込んで寝ようとすると。セルフィナは毛布を引っぺがした。
「お前、今日は暇だろう?」
「……急用ができた」
「いつ?」
「たった今。街のコーヒーショップでカフェラテが飲みたくなった」
「奢ってやる。だから、今日は私に付き合え」
「あんだよ? お前、何か用事でもできたのか?」
「ああ。剣道部の連中がな。大会が今日なんだが、団体戦の大将が急性盲腸炎になってな。メンバーが足りんというか、今回の相手校は、補欠では相手をするのが苦しいらしい」
「で?」
「生徒会長の私が。その大将の任を担うことになった」
「やめとけ」
「そうはいかん。わが学院の威光にもかかわることだ」
「じゃあ、一人で行ってこい」
「いや。万一怪我をしたら、と思ってな。僧侶のお前がいれば、万事安心だ」
「カフェラテでワリが合うかバカ。そういう事なら、ディナー奢れ」
「……ラーメンでいいか?」
「……せめて、天麩羅そばにしてくれ」
「わかった。条件は飲むから。同行してくれ」
「ったく。朝っぱらから人叩き起こしやがって。お前じゃなかったら、犯してるところだぞ?」
「? お前は、私を性的な対象としてみているのか?」
「いや。全く見ていない。お前のことは嫌いじゃねーが、キャラが立ってるのを気に入ってる感じだ」
「安心したぞ。変な目で見られているのかと思った」
ほう、と息をつくセルフィナ。何を用心しているのかはわからんが、生気や清潔感はあれども色気はそれほどでもないコイツを性的対象として見るほど、俺はガキじゃない。
「剣道部の連中と合流するのか?」
ちなみに。昨今の剣道部の試合というのは、既に試合ではない。真剣による斬りあいで勝負がつく物騒なものだ。故に、剣道部のマネージャーには大体僧侶がいることが多い。
だが、アイゼントゥーア闘士学院の剣道部では。急性盲腸炎でぶっ倒れた大将が聖騎士で、治癒の術を使えるためにマネージャーに僧侶を入れていなかったらしい。
「剣道部の連中は、もう会場に向かっている。私たちは急いで後を追わねばならんというわけだ」
「……何時から始まるんだよ? 大会」
「あと二時間ない」
それを聞いたとたんに。俺はむくりとベッドから起き上がって、ユカタを脱いで。セルフィナの前でパンツ一丁になることになったが、そのまま僧侶のローブを身にまとった。
「……意外と。逞しい体をしているんだな、お前は。僧侶の癖に」
「何を見てるんだ、生徒会長さん。とっとと行くぞ。時間がねぇ」
「ああ、そうだな」
セルフィナの目が、若干。何か欲情したように見えなくもなかったが。
こんなめんどくさい女に惚れられたり、増してや肉体関係なんて持ったりしたら。
ハッキリ言って身の破滅に近いような目に遭わされそうなので、俺は余計なことは言わなかった。
学院の敷地を出て、大通りに出て。路面電車の停留所で待つことしばし。俺とセルフィナは、やってきた路面電車に乗り込んで、大会の会場に向かった。




