16・観光ビーチ
16・観光ビーチ
「? 早いな。もう実家に帰って。こちらに戻ってきたのか?」
俺が実家の陰鬱たる様子に嫌気がさして。さっさと学院に戻ってくると。
生徒会室で、セルフィナがキョトンとした顔をしていた。
「顔出しはしてきた。その上に、邪神崇拝の儀式にも出席した。親父を納得させてのことだ」
「……そうなのか。私たちはまだ海水浴には行ってはいないのだが。お前も来るか? ジェヴァ」
「明るい世界もな。嫌いじゃないんだ、俺は。間に合ってよかった。ぜひ連れて行ってくれ」
「わかった。いいだろう」
セルフィナは、何か水玉模様のついた浮輪を膨らませて。その中にすっぽりと身体を入れていた。
「生徒会長は。海が好きらしいんですよ。この前は、海岸の露店で食べる物のリストを作ってましたよ」
ミオナがくすくす笑いながらそんなことを言う。
「ジェヴァ。トランクスの水着と、マイクロビキニの水着。どっちがいいと思う? 俺の肉体の魅力を、海岸で思いっきり発散したいんだが」
ヴォイゼが相変わらず頭の悪いことを言う。お前のような筋骨隆々なやつが、マイクロビキニで海岸をうろつきまわっていたら。周囲の観光客が怯えるだろうが。
「トランクスにしとけ。俺はお前のマイクロビキニ姿は絶対に見たくない」
「……そうか」
すこし、落ち込んだようなヴォイゼ。いいから、お前はやたらと肉体を誇示するな。俺はそう思った。
「僕の美白の肌が。焼けたらどうしよう。陰キャラには、陰キャラのイメージってもんがあるから。あんまり自分のイメージ変えたくないんだけど」
シーズもシーズで。なら海行くなと言いたくなるようなことを言う。
「日焼け止めのクリームを。べったりと顔に塗っとけ」
「うーん。分かったよジェヴァ。そうしとく」
と、まあ。生徒会役員各々に、準備を整えて。
その翌々日に、俺たちは貸し切り馬車でビーチ向かった。
「んー!! この太陽の光の強さ! 最高ね!!」
セルフィナが、白いビキニ水着に麦わら帽子姿で現れて。
ミオナは眼鏡をはずして、黒い結構きわどいワンピースの水着を着ている。
ヴォイゼの奴は、一応トランクスの水着にしたらしいが、妙に小さいサイズにしたらしく、ケツに食い込んでいる。
シーズに至っては、日焼け止めクリームの塗りすぎで顔が真っ白だ。
んで、俺は。
ふつーに水にぬれても平気な短パンとTシャツ姿である。
セルフィナとミオナとヴォイゼは、まず海に入って、遊泳を楽しんでいるが。
シーズの奴は海に入ろうとしない。
「お前、泳がないのか?」
俺がシーズにそう聞くと。
「僕は金槌。泳げないよ。ビーチには、雰囲気を楽しみにきたんだ」
との応え。まあ、いいか。観光の楽しみ方は、人それぞれだ。
そのあと、海から戻ってきたセルフィナたちは。泳いで腹が減ったのか、焼き鳥だのヤキソバだの焼きイカだの。やたらと露店飯を食っていた。
俺? 俺は、屋根のある海の家で、メロンソーダとカレーを食ってた。
日の光は十分に浴びたし、波打ち際で水遊びもしたしな。結構楽しめたかも。




