12・恐喝犯一年生軍団
12・恐喝犯一年生軍団
「なんかさぁ……。さいきん、一年生の間で恐喝事件が多発しているらしいよ?」
シーズの奴が、生徒会の書類整理をしながら。そんなことを呟いた。
「なんだそれは? いかにここが闘士学院とはいえ。一年生など、まだ非力なものだろう?」
セルフィナが、眉間に軽いしわを寄せてそう言った。
「だからじゃねーか? 弱い奴らだからこそ。力に対して歪んだ考えを持ってるってわけじゃないのか?」
ヴォイゼが鉄アレイを使って腕を鍛えながらそんな風に言い捨てた。
「ミオナはどこにいるんだ?」
三人の話を聞きながら、今日はミオナの姿がこの生徒会室に見えないなと思って、俺はそう聞いた。
「ああ、ミオナさんは。特別授業を受ける日なので。今日はお休みです」
シーズが、俺に対して素っ気ないが、生徒会の仲間としては少しは認めたためらしく、無視はしないで教えてくれた。
「ミオナの特別授業? あいつは魔導士だが……」
「魔導士学級の特進生なんですよ。ミオナさんは。魔導士学級の中でも群を抜いて成績と技量が高い。教授方にも、特に目をかけられているんです。この前のジェイン先輩との一戦でも。とんでもない呪文を高速詠唱で放ったじゃないですか」
うん。シーズはいいやつだ。「聖」属性の司祭見習いだし。「邪」属性の俺に対し、敵視をすることはあるが、それを常に出すわけではない。だかもし、俺が邪性を存分に発揮したら、コイツは間違いなく敵に回るだろうが。
「そうか。まあ、一年生が暴れてるってんなら。俺とヴォイゼで一年生の方の寮。見回ってくるわ」
俺は、「中庸」属性のヴォイゼとは特に仲が悪くはない。むしろ、入学式直後からの顔見知りなうえに、決闘も一回したことがある。気心は知れている。だから、ヴォイゼの方を見てそう言ってみた。
「……ジェヴァ。お前、女にも見えなくはない容貌しているが……。俺の筋肉に惹かれたか?」
バカヤロウ。頭の脳みそが筋肉の奴は、とにかく人間の魅力というモノが筋肉にしかないとでも思うのだろうか? そんなあったま悪い答えに対して、俺は舌打ちをしてから答えた。
「おれは、別にな。同性愛者を厭うわけじゃないが。俺自体は女好きの美形青年だ。お前のようなむさくるしい奴に、人格にならともかく肉体的に興味を持つわけがないだろう」
「自分を美形青年というお前も大概だが……。人格は好きなのか? 俺の」
「お前の豪快な性格はな。見てて気持ちがいい。邪念邪知を張り巡らしてばっかりいる俺には、一服の清涼剤になるような意外な行動してくれるからな」
「そうか。まあ、いいや。お前の言っていることは込み入ってよくわからん時があるが。一年生の寮を見て回りに行くんだな?」
「ああ。肉弾バカのお前に対して、歯向かえるだけの実力持った一年生なんてモンは。まずいないだろうからな。その上に、治癒術のエキスパートの俺が付くんだ。まあ、間違いなくやられることはない」
「恐喝行為をやっている、一年生どもにか?」
「そういうことだ」
「どうすんだよ? ぶっ飛ばして、魂抜くか?」
「まあな。本物の度胸ってもん。叩き込めば大人しくなるだろうさ」
「そういうもんか……、いや、そういうもんだな。よし、行くか」
そういう意見のやり取りをした後に、俺とヴォイゼは一年生療の方に向かって学院内を歩いていたのだが。
一年生寮区域に近づくにつれ……。
「気づいてるか? ジェヴァ?」
ヴォイゼが言う。ああ、気づいてるぜ。相当な数の生徒が俺ら取り囲んでやがる。




